「壮絶」は「すさまじい、悲惨の意で使うのは誤り」。「発覚」は「単に明らかになる、判明するの意では使わない」――
明鏡 国語辞典3版では“問題のある使い方”をされがちな言葉について新たに注意喚起が増えました。直す機会が多い校閲記者としても注目しています。
言葉遣いの正誤などの詳しい説明が特色の明鏡国語辞典(大修館書店)は、2020年12月に第3版が出ました。特に校閲として気になる変更点を紹介します。(画像は明鏡3版から。黄色の強調は引用者)
「壮絶」は勇ましいこと
3版で注意喚起が増えました。例えば「壮絶」。

「壮絶な被爆体験」のように使われる原稿を直したことがあります。
辞書を見れば「勇ましい」という意味が書いてあるので、過酷でつらいことにはふさわしくないとわかるはずなのですが、「すさまじい、悲惨の意で使うのは誤り」と注意喚起してくれました。
「駆り立てる」のは感情ではない
「駆り立てる」の使い方は以前から気になっていました。

後ろから追い立てるように、ある行動をとらざるをえない気持ちにさせたりすることですが、「不安を駆り立てられる」といった書き方を見ることがあります。
「不安から何かに駆り立てられるのかな」「単に不安をかき立てられるのかな」などと悩んで出稿部に説明していました。これからは明鏡の記述を見せれば出稿部にもすぐわかってもらえそうです。
「発覚」は判明と違う
「発覚」は「隠していた悪事・陰謀などが人に知られること」なのですが、「コロナ感染が発覚」と書かれてしまうと、まるで感染した人が悪いようにも見えてしまいます。何度も「判明」などに直してきました。

明鏡2版でも「隠してもいない事柄(特に吉事)に使うのは誤り」と注意喚起していましたが、3版では「単に明らかになる、判明するの意では使わない」となり、「感染が発覚」も書き換えた方がよいことがわかります。
「前倒し」には注意点二つ
「前倒し」という言葉については新たに2点注意喚起しています。

いずれもしばしば原稿に出てきては校閲で直しを入れています。
永続的なら「里帰り」ではない

「里帰り」は例えとして「国外に出ていた品物が一時的に戻ってくる」ような場合にも使うということは2版に書かれていましたが、3版ではそれが「永続的」に戻るような場合には使わないと注意喚起しています。
日にちが飛ぶ「順延」ない?
「順延」には以下のように入りました。

「日にちが飛ぶ場合に使うのは誤り」と書いてありますが、これまで意識したことはありませんでした。
確かに間があいている場合に「順」の感じはしません。ただ、例えば高校野球の全国大会などでは休養日が設けられていて、その日を飛ばすような場合は許容してもいいかなと思います。
【平山泉】