「妙齢」は「もう若いとは言えない年ごろ」を選んだ人が過半数でした。この「妙」は元々「若い」という意味ですが、今では伝わりにくさとともに、「年ごろ」を殊更に取り上げるという点で注意すべき場合がありそうです。

「妙齢の女性」がどのぐらいの年代を指すと思うか伺いました。

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「若いとは言えない年ごろ」が過半数

「妙齢の女性」といったら、どの年ごろをイメージしますか?
まだ若い年ごろ 33.9%
もう若いとは言えないぐらいの年ごろ 56.4%
どの年齢についても言える 9.8%

 

本来の意味の「まだ若い年ごろ」を選んだ人は3分の1で、過半数が「もう若いとは言えないぐらいの年ごろ」を選びました。回答時の解説で引いた「毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術」(岩佐義樹著)に述べられていた「『若いというには微妙な年齢』と思ってしまう」人は思っていた以上に多そうです。

「どの年齢についても言える」とした人は約1割で、「三省堂現代新国語辞典」(6版)に書かれた新しい用法「年齢相応の魅力をたたえていること」はまだそれほど広がっていないようです。しかし2016~17年に毎日新聞に連載された浅田次郎さんの小説「おもかげ」で、主人公を見守るベテランの看護師が「妙齢の美女」と表現されていました。「年かさの看護師」とも言われた登場人物ですが、ここでは単に「若いとは言えない」だけでなく「年相応の魅力をたたえた」の意味も含んでいそうです。

「妙=女+少(若い)」ですが……

「妙」の漢字の構造は見ての通りで、「女と、少(わかい)とから成り、年若い女、ひいて美しい意を表す」(新字源改訂新版)。お寺では少女を意味する隠語としても使われていた言葉だそうです。といっても、現在ではやはり「絶妙」「妙手」のように「巧みな、優れた」の意味や、「奇妙」「微妙」のように「不思議な、かすかな」の意味で熟語になることがほとんどです。「妙な人」といって若者を意味することもありません。「若い」という字義に意識が行かなくなるのは無理のないことかもしれません。

ちなみに新明解国語辞典7版の「妙齢」の説明は独特で「〔壮年以上の人や男性から見た〕女性の結婚適齢期の称」。しかし近年は晩婚化が進み、それこそ熟年以降の結婚も珍しくありません。狙ったわけではないでしょうが、結婚年齢の幅が広がるのに応じて「妙齢」の使われる幅も広くなるという、見事に時代に対応した語釈になっています。そしてまた「壮年以上の人や男性から見た」というただし書きによって、「妙齢」が偏った見方による表現になってしまう危険性にも気づかされます。

今や「伝わらない」「使いにくい」言葉かも

確かにおじさんとしては「あのような若くて美しい女性はそろそろ結婚を……」といった感じで「妙齢の」と表現してしまいそうになりますが、今の時代にはそぐわないでしょう。相手に「若い/若くない」がきちんと伝わるかということに加え、「年ごろ」を殊更に取り上げることは非礼に当たる場合があるということも、念頭に置くべきかもしれません。

(2018年11月30日)

質問に際して

辞書についての話題が豊富なブログ(「四次元ことばブログ」)で、10月に刊行された三省堂現代新国語辞典の6版が紹介されています。その中で触れられていたのが「妙齢」の用法。ほとんどの辞書では「若くて美しい年ごろ」などと説明されてきたものの、同辞書は近年の用法として「年齢相応の魅力をたたえていること」という意味を載せ、例文では50歳ぐらいの女性について「妙齢」と表現しています。この解釈ではどの年代であっても「妙齢」と呼びうることになります。

岩佐義樹著「毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術」でも、若くない人を「妙齢」と表現する用法を取り上げており、「『若いというには微妙な年齢』と思ってしまうことからこういう誤用が発生しているのかも」と推測しています。この推測からすると「微妙」ではなく明らかに若くない人は「妙齢」には当てはまらず、三省堂現代新国語辞典による対象とは範囲が異なりそうです。

「すごい文章術」では「妙齢」でイメージされる幅が広がっていることを踏まえた上で、使用する際には受け取られ方に注意が必要だと述べています。著者からは、使いようによっては女性の年齢をあげつらう言葉とも取られかねず、男性について使わない点を考え合わせても、今時には合わない言葉かもしれないとの指摘も受けました。皆さんの受け止め方はいかがでしょうか。

(2018年11月12日)

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