「ナマハゲは本来、大みそかの夜に面やわらの衣装を身に着けた男性が、各町内の家々を回る民俗行事」。観光向けの施設や行事があることを踏まえた一文ですが、やや問題があります。なぜでしょうか? 関連する話題をまとめました。
ナマハゲの数え方は
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された「来訪神」の一つ、秋田県・男鹿地方のナマハゲ。
地元では「1匹、2匹…」と数えるそうで、それに従い毎日新聞では用語集に「なまはげの数え方」を明記しています。この例を示している新聞・通信社等の用語集は珍しいようです。
「本来、大みそかの行事」?
「ナマハゲは本来、大みそかの夜に面やわらの衣装を身に着けた男性が、各町内の家々を回る民俗行事」。観光向けの施設や行事もあることを踏まえているのでしょうが、「本来」と書くとやや問題が。
民俗行事のナマハゲは戦後、大みそかに行われるようになったそうですが、元々は旧暦の1月15日ごろ(小正月)でした。(上の写真は大辞泉)
「一年の最初の満月の夜に神が来臨し、人々に祝福を与えたという古い信仰に基づく行事」の一つ(大辞林「小正月の訪問者」の項)ということです。
不正確な「世界無形文化遺産」
ところで、しばしば見かけるのが「世界無形文化遺産」「世界文化遺産」といった表記。
いわゆる世界遺産のようなものという感覚をもつ人が多いのかもしれませんが、「世界遺産」と「無形文化遺産」は別々の条約に基づいており、対象も異なります。
「世界遺産」(World Heritage)、「無形文化遺産」(Intangible Cultural Heritage)と区別して正確に表記すべきでしょう。