読めますか? テーマは〈秋の気象〉です。

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素風

答え
そふう
(正解率 58%)

秋風のこと。この「素」は白を表す。「奥の細道」で「石山の石より白し秋の風」と詠んだ芭蕉のように、昔の人は無色のものに五感を研ぎ澄ませて何かを感じた。

(2017年09月04日)

選択肢と回答割合

すふう 18%
そふう 58%
そぶり 24%


白露

答え
はくろ
(正解率 64%)

二十四節気の一つで、2017年は9月7日。秋の気配が濃くなってくるころとされる。「しらつゆ」とも読み、白く光って見える露のこと。はかないことのたとえとしても用いられる。

(2017年09月06日)

選択肢と回答割合

はくろ 64%
びゃくろ 21%
しろつゆ 15%


秋霖

答え
しゅうりん
(正解率 77%)

初秋のころ降り続く長雨。普通は「しとしと」というイメージだが、台風などの影響で秋雨前線が活発になると集中豪雨になることも多いので要注意だ。

(2017年09月08日)

選択肢と回答割合

あきつゆ 10%
ながめ 13%
しゅうりん 77%


◇結果とテーマの解説

(2017年09月17日)

この週は「秋の気象」でした。

秋の気象といえばまず「風」。「古今和歌集」の藤原敏行の歌

秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる

は有名です。平易な歌ですが、「おどろかれ」を今の「驚く」の感覚でとらえてはいけません。突然強い風が吹いてその音にびっくりしていると解釈すると、この歌の繊細な季節感覚は味わえません。ここでは「自然と感じられる」(角川文庫、窪田章一郎校注)というほどの意味のようです。

「素風」の出題時には松尾芭蕉のこの句を紹介しました。

石山の石より白し秋の風

これは石川県の那谷寺(なたでら)で詠まれた句ですが、「石山」というのは近江の石山寺のことで、そこの石より那谷の石の方がもっと白いという情景を詠んだという解釈があります。しかしそれだけでは「秋の風」との関連に深みが感じられません。

加藤楸邨さんも「芭蕉の山河 おくのほそ道私記」(講談社学術文庫)でこう書いています。

私は「秋の風」が那谷の石より白いととりたい。秋風は蕭殺たる感じを持つので、それが石山を吹きめぐることで白さを感じさせるのである。秋は色に配したときは「白」とされることは人の知るところ、白秋、白帝などという漢語もある。

秋=白というのは中国の五行説に基づきます。そして「素」の字には「素人」の語からも分かる通り「白」の意味があります。そこから「素風」が秋風のことを表すようになったわけです。ただ、使用頻度がないぶん正解率が悪くなりました。

「白露」は二十四節気の一つとしての出題でしたが、「はくろ」と読めば二十四節気、「しらつゆ」と読めば露のことと決まっているわけではありません。例えば「大辞林」では「①つゆの美称。しらつゆ」とあり②に二十四節気の意味が挙げられています。

「白露降る」というのは「はくろくだる」と読みますが「しらつゆ」の意味。しかしややこしいことに、二十四節気としての「立秋」を三等分した七十二候の次候でもあります。二十四節気の「白露」は立秋の次の次にやってきます。

実は「白露降る」というのは中国版の七十二候で、日本版では「白露」の初候が「草の露白し」となっています。日本版の方が日本の風土に合うのはもちろん、漢字の整合性があるものになっています。

「秋霖」の「霖」は幾日も降り続く雨を表します。仮にこの字を知らなくても、つくりの「林」の音読みと同じですから、素直に読めば当たります。この週で最も正解率が多くなりました。しかし誤りの選択肢「ながめ」も全くの的外れではなく、大辞林で「ながめ」を引くと「長雨」とともに「霖」の字が掲げられています。

9月はまだ雨が多く、同じ意味で「秋湿り」「秋霖雨」「秋の地雨」「秋黴雨(あきついり)」という言葉もあります。いずれも趣深い言葉ですが、時に秋の雨は災害をもたらします。おりしも台風が接近中。くれぐれもご注意ください。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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さまざまな文学作品が築いてきた味わい深い日本語の一端を紹介しています。

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