読めますか? テーマは〈稲〉です。

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出穂

答え
しゅっすい
(正解率 50%)

稲などの穂が出ること。穂の音読みスイは常用漢字表にもあるが、難読のせいか「でほ」という読みもあるようだ。

(2017年08月21日)

選択肢と回答割合

しゅっぽ 6%
いずほ 44%
しゅっすい 50%


穂肥

答え
ほごえ
(正解率 30%)

稲の栽培で、出穂約25日前に追加する肥料。この頃に低温に遭うと冷害になる。宮沢賢治は「雨ニモマケズ」で「サムサノナツハオロオロアルキ」と案じた。

(2017年08月23日)

選択肢と回答割合

ほひ 20%
ほごえ 30%
すいひ 51%


稲魂

答え
いなだま
(正解率 67%)

稲妻のこと。元は稲に宿る霊を指したが、出穂の頃に多い稲光が交わることで稲を結実させると信じられ、稲光の意味に。同じ俗信から「稲妻」の語も生まれた。なおこの場合の「妻」は稲の方で、「夫」は稲妻に当たる。

(2017年08月25日)

選択肢と回答割合

とうこん 20%
いなだま 67%
いなづま 13%


◇結果とテーマの解説

(2017年09月03日)

この週は「稲」。関東では8月に雨続きだったため、稲の生育を心配しつつ出題しました。今のところ農水省の見立てでは、稲の生育に最も影響する7月は天候に恵まれたため、8月の日照不足の影響は一部にとどまっているとのことで、とりあえず一安心です。

農家ではない人にとって、宮沢賢治が

サムサノナツハオロオロアルキ

「雨ニモマケズ」で記した心情は心底から共有できるものではないかもしれません。しかし、大凶作で外国産米の大量輸入を余儀なくされた1993年の記憶がいまだ生々しい人にとっては、日本の米がいかに日本の風土に合ったすばらしい主食であるかが分かっていると思います。

そのおいしい米を、今でこそ当たり前のように毎日食べることができるけれど、少し前まで、天候次第でかなわなくなる現実があったということに思いをいたせば、イネそのものに霊力を見いだす「稲魂」という言葉が生まれる心情も少しだけ理解できる気がします。

「稲魂」は広辞苑などでは「いなずま」「いなびかり」としか出ていませんが、元は「稲に宿る神霊」(白川静「常用字解」)の意味でした。そして「いなずま」の語源は、稲が花や実をつける時期と雷が多い時期が重なることから、「稲+夫(昔は夫のことも「つま」といった)」→「稲+妻」→「いなずま」と結び付けたとされます。ただそれだけでは、イネと雷が結婚したから「いなずま」? 面白いけど何と非科学的な――と現代人は思うでしょう。

しかし、人間には手の届かない「天」と地を目に見える形で結ぶのが雷の光です。その破壊力は現代人も身にしみています。「地」にあるイネの魂を覚醒させ実りをもたらすのは「天」からの霊的パワーだと感じたのは、いつ凶作に陥るか分からない農家の切実な祈りだったに違いありません。

さて「出穂」は常用漢字表の範囲内ですが、穂の音読みスイは難読です。日本新聞協会の「新聞用語集」では

「穂が出る」などと言い換えるのが望ましい

となっています。「でほ」という読みが一部の国語辞典に載っていますが、それは採用していません。

「穂肥」はさらに難読で、見たことがない熟語と思った方も多かったでしょう。しかし新聞では、主に米どころの地域面ですが意外によく出てきます。「肥=こえ」の読みも常用漢字表内の訓ですが、「肥える」という動詞はともかく名詞の用法は都会ではあまり縁がなくなっているかもしれません。昔は「肥だめ」というものが身近にありましたが……。

ところで、餅をつくる米は「餅米」の漢字でよいでしょうか? 餅米でも誤字とまではいえませんが、毎日新聞では今「もち米」と書くようにしています。

そのへんの事情をもっと詳しく知りたい方はぜひ、出たばかりの「校閲記者の目」(毎日新聞出版)をご覧ください。その他にも、目からウロコの知識が満載です。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

当サイトの「読めますか?」をもとに、季節にちなむ言葉を厳選し加筆しました。

さまざまな文学作品が築いてきた味わい深い日本語の一端を紹介しています。

美しい季節の言葉を味わいたい方、間違えずに使いたい方におすすめです。

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