読めますか? テーマは〈河童〉です。

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河伯

答え
かはく
(正解率 72%)

川の神。また妖怪のかっぱのこと。かっぱには土地により「川太郎」など多くの異称がある。芥川龍之介は小説「河童」を1927年に発表後、「ぼんやりした不安」を抱え自殺した。7月24日は彼の忌日「河童忌」。

(2017年07月24日)

選択肢と回答割合

かはく 72%
がはく 10%
こうはく 18%


答え

(正解率 83%)

おならのこと。「屁のかっぱ」「かっぱの屁」は物事がたやすくできること。または取るに足りないこと。江戸時代の「俚言集覧」では「河伯の屁」と表記した上で、「木っ端の火」の変化だという説を紹介している。

(2017年07月26日)

選択肢と回答割合

ひさし 14%
83%
あま 3%


答え
くちばし
(正解率 93%)

「喙」とも書く。「口ばし」は誤字とはいえないが避けたい。かっぱの絵には嘴があるものが多い。芥川龍之介「河童」に出てくるかっぱにも「嘴」の描写がある。

(2017年07月28日)

選択肢と回答割合

くちばし 93%
かわうそ 4%
つるはし 3%


◇結果とテーマの解説

(2017年08月06日)

この週は「河童」――と、漢字でテーマ名を書いていましたが、実は毎日新聞や新聞協会の用語集では漢字は使えないことになっています。しかしいきなり「かっぱ」だと雨がっぱのことと誤解される可能性と、そもそも芥川龍之介の忌日「河童忌」に合わせたことから漢字としました。


by とまりん^^

 芥川の小説「河童」には題名の脇にこういう妙な注釈があります。   

どうかKappaと発音して下さい

これは、90年前にはまだ「河童」という漢字が読めない人が多かったということなのか、それともあえてこういう注釈をつけるというのが彼のユーモアだったのか。分かりませんが、これだけはいえます。今でこそ「河童」という表記と読みは全国共通になったものの、マスメディアの発達する少し前のこの時代なら、まだ河童という存在はその土地土地の名称で呼ばれていたということです。

 

 「日本国語大辞典」によると

河童小僧。かわたろう。がたろ。がたろう。川立ち男。川小坊主。川小僧。川子

と河童の異称が並び、最後に「河伯」が出てきます。また、同辞典の「発音」欄には東京・神奈川では「カーッパ」とあります。これは「かわわらわ→かわわっぱ→かあっぱ→かっぱ」という音変化の過程なのでしょう。東京・下町の育ちである芥川がどの発音を聞いて育ったか定かではないのですが、「どうかKappaと発音して下さい」というお願いには、いろいろな呼び方がある当時の状況をふまえたうえで、神経質的なこだわりを示す意図があるのかもしれません。そうすることでユーモラスな効果を狙ったとまでは確言しかねますが。

余談ですが、日本国語大辞典の「発音」欄には壱岐・鹿児島地方の方言として「ガッパ」とあり往年の怪獣映画「大巨獣ガッパ」を想起させます。なお、同辞典の語釈では

水中に他の動物を引き入れ、その生血を吸う

と、おそろしい面が書かれています。これは多分に、「水虎」という中国由来の妖怪のイメージをひきずっているようです。子供に川遊びの危険を教えるために言われていた面もあるかもしれません。しかし今では、相撲を取るのが好きだが弱いとか、いたずらをしかけて逆に捕まってしまうとか、

日本最初のユルキャラ

(小学館「水木しげるの遠野物語」)とも言われる憎めない妖怪というイメージが定着しています。

 
 
その憎めない面は「かっぱのへ」「へのかっぱ」という慣用句に表れています。これは語源がはっきりせず、「木っ端の火」からという説も昔から言われていたようですが、「河童の屁」というユーモラスなイメージの方が伝わりやすかったのでしょう。水木しげる「河童の三平」にも屁は繰り返し出てきます。

ところで「屁」の字は「庇(ひさし)」や「尼(あま)」の字に似ています。そこで間違いの選択肢を設定しましたが、思ったほどひっかかかった人は多くありませんでした。「河童」というテーマがヒントになったのでしょうか。

 
 
「嘴」は読みというより「口ばし」という表記はよくないと書きたいがための出題でした。「口端」が語源とされるので「口ばし」も誤字とはいえませんが、【口ばし】と漢字表記を掲げているものは手元の辞書では見当たりません。芥川「河童」でも当然のように「嘴」の字です。毎日新聞では「くちばし」の表記を原則にしています。ほかに気を付けたいのは「くちばしの青いひよっこ」などの間違い。慣用句としては「くちばしの黄色い」ですね。「青二才」と混同しないようにしたいものです。

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