読めますか? テーマは〈連声〉です。

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連声

答え
れんじょう
(正解率 48%)

漢語熟語などの中で後の字の読みが変化する現象。一例として「天皇」がある。「皇」には本来「のう」の読みはないが「てん」との連なりで「のう」となる。他に「因縁」「安穏」「観音」など。

(2017年01月30日)

選択肢と回答割合

れんしょう 24%
れんじょう 48%
こだま 28%


云々

答え
うんぬん
(正解率 81%)

「など」と同じくその後の言葉を略すときに使う。安倍晋三首相は1月24日、国会で「訂正でんでんという指摘は全く当たりません」と答弁した。「云々」を読み間違えたといわれている。云々は本来「うんうん」だがnとuの連声で「うんぬん」となる。

(2017年01月31日)

選択肢と回答割合

うんぬん 81%
いういう 2%
でんでん 17%


元和偃武

答え
げんなえんぶ
(正解率 74%)

1615(元和元)年の大坂夏の陣を最後に、戦乱が終わって太平の世になったこと。「偃」は伏せることを意味する。「げんな」は「げんわ」からの連声。

(2017年02月01日)

選択肢と回答割合

げんなえんぶ 74%
がんなねいぶ 7%
げんわえんむ 19%


正三位

答え
しょうさんみ
(正解率 70%)

位階の一つで、従二位の下、従三位の上に当たる。勲一等に該当。武士としては平清盛が初めてで、最近の政治家の例では故・加藤紘一氏が叙せられている。「さんみ」は「さんい」からの連声。

(2017年02月02日)

選択肢と回答割合

せいさんい 13%
しょうさんみ 70%
せいさんみ 17%


陰陽師

答え
おんみょうじ
(正解率 97%)

中国古代の説に基づいて天文や暦を扱い、吉凶を占う人。「おんようじ」ともいい「おんみょうじ」は古い音の連声という。平安時代の安倍晴明が有名だ。なお、漫画「陰陽師」(岡野玲子、原作・夢枕獏)には、節分のもとになった「鬼やらい」の宮中行事が描かれている。

(2017年02月03日)

選択肢と回答割合

うんようし 1%
いんにょうじ 2%
おんみょうじ 97%


◇結果とテーマの解説

(2017年02月12日)


安倍晴明像 by iichangm

この漢字クイズは「陰陽師」で2000語に達しました。あらためてお礼申し上げます。

2008年11月、毎日新聞社会面の「週刊漢字」と並行してインターネットでのクイズ「毎日漢字 読めますか?」を開始。それにタイミングを合わせたかのように発生したのが、麻生太郎元首相の漢字の読み違いについての報道でした。早速「話題の誤読」というテーマで「踏襲」「頻繁」「未曽有」「詳細」を出題しました。

そして2000語到達の直前、安倍晋三首相の「訂正でんでん」発言が飛び出したのはご存じの通りです。因縁(これも連声です)というか巡りあわせというか、不思議な偶然があるものです。

しかし、9年前と今とで明らかに違うのが、出題に対する反発の多さです。麻生さんの時は4本もねたにして抗議を受けた記憶がないのに、今回は「云々」だけなのにけっこう来ましたよ。あらためて安倍さんを支持する人々の多さに感じ入りました。

ということで安倍さんの名誉のために声を大にして言っておきましょう。あれは答弁の原稿を漢字で用意した人が悪い。平仮名で書いておけば安倍さんに恥をかかせることはなかったのです。そもそも、云という字は常用漢字ではないですからね。公用文や新聞では、基本的に使ってはいけない漢字なのです。その決まりを順守している文章にしか接していないとすると、安倍さんが読めないのも無理ないじゃありませんか。今回の正解率だって、81%しかないでしょ。読めない人がいるのだから、常用漢字以外の漢字はみだりに使ってはいけない。これを、首相自ら証明してくれたのです。さすがに政府の最高権力者ではありませんか。

お陰様で以前の「話題の誤読」なんて低次元のテーマではなく、今回は「連声」という極めて国語らしいテーマになりました。

山口謠司著「ん――日本語最後の謎に挑む」(新潮新書)によると

現在、日本語学では、二つの音が連続する時に起こる音の変化は「連声」と呼ばれ、フランス語の「リエゾン」に相当するとされている。これを安然や明覚は「大空の音」と表現した。

ということです。「たいくうのおん」と読むのでしょうか。「連声」という言葉もちょっと語感がかっこいいと思いますが、この真言密教由来の言い方もすてきですね。「存在はしているのに、どこから現れどこに行くのか分からない」という意味だそうです。

「元和偃武」の「わ」が「な」になるのは京都の「仁和寺」と同じ連声です。NHK大河ドラマ「真田丸」の大坂の陣の場面が鮮烈だったのでこれを選びました。

さて、反発も含め「云々」は大きな反響がありましたが、リツイート数でそれを軽く上回ったのが「正三位」でした。これは全く想定外でした。ゲーム「刀剣乱舞」の影響のようです。大河ドラマ「軍師官兵衛」の重要な登場人物で、この漢字クイズでも以前出題した「母里太兵衛」が福島正則からもらったやり「日本号」が、正三位の位を賜っていたそうです。それを知らずこの言葉を選ぶというのも不思議な偶然でした。

偶然といえば「陰陽師」の出題とほぼ時を同じくして、河出文庫から「陰陽師とはなにか――被差別の原像を探る」(沖浦和光著)が出ました。「史料を調べてみると、安倍晴明が式神を使ったり呪詛を行った事実は出てこない」と陰陽師のイメージを一新させるこの論考は、見方によっては夢枕獏さんの小説「陰陽師」よりも刺激的です。

ところで以前、ある辞書で「安倍清明」となっているものがあり、出版社に「『晴』でなく『清』としたのはそういう資料があるからでしょうか」と電話したことがあります。単なる間違いとの答えで、その後の新しい版では直っています。しかし「清明」とする文献もあるということを「陰陽師とはなにか」を読んで知りました。

室町期の「晴明」説話は、あとでみる『簠簋内伝(ほきないでん)』のように、「晴明」→「清明」と字も変えられて狐の生んだ超能力者とされているのだ。平安期の官人「晴明」とは、ほとんど別人格とみたほうがよい。

でも、だからといって辞書に載せる人名としては「安倍清明」が正しいなんていえないでしょう。「安倍」はよく「安部」などと間違えられる姓ですが、それが正しい字なので安心して「清明」の誤植に気づかなかったのではと想像されます。

思い出されるのは、首相官邸ホームページに「安倍普三であります」という誤字があったこと。これもスタッフが「安倍」の字だけ気を付け「普」が入るなんて思いもしなかったということだったかもしれません。氏名表記は最後まで気を抜かずにチェックしないといけないことを改めて肝に銘じる一件でした。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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