読めますか? テーマは〈落葉〉です。

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掃葉

答え
そうよう
(正解率 63%)

校正のこと。誤字を落ち葉に見立てた。確かに掃いても掃いてもなくならない。先週、首相官邸ホームページで安倍首相の「晋三」が「普三」になっていることをサンデー毎日で伝えたが、発見したのは同誌の校正担当者だった。漢字の誤りにはくれぐれも注意したい。ちなみに本日「今年の漢字」が発表される。

(2016年12月12日)

選択肢と回答割合

そうば 15%
そうよう 63%
はきば 22%


朴の葉

答え
ほおのは
(正解率 68%)

落葉高木、ホオノキの葉。「朴落葉」「朴散る」は冬の季語。ホオノキは日本特産。朴葉みそは岐阜県北部などの郷土料理。漢名は厚朴などと書くが、日本のホオノキとは別種。なお朴の字の「卜」には「ぽっくり倒れる」というイメージがあるという。

(2016年12月13日)

選択肢と回答割合

ほおのは 68%
ぱくのは 11%
とうのは 21%


答え
けやき
(正解率 93%)

落葉高木。「欅枯る」は冬の季語。「欅坂46」は日本のアイドルグループ。「けやき坂通り」という道は東京・六本木にあるが、けやきの表記は平仮名だ。

(2016年12月14日)

選択肢と回答割合

けやき 93%
ひのき 3%
かし 4%


鴨脚樹

答え
いちょう
(正解率 46%)

落葉高木。「銀杏」「公孫樹」などとも書く。鴨脚樹は葉の形がアヒルの足に似ることからの字。中国語で「ヤーチャオツ」と言うことから日本でイチョウとなったそうだ。

(2016年12月15日)

選択肢と回答割合

いちょう 46%
かものはし 20%
とねりこ 35%


無患子

答え
むくろじ
(正解率 70%)

落葉高木。黒い種子は羽子板でつく羽根つきの球にする。また、果皮をせっけんの代用にもした。中国医学では薬用にする。

(2016年12月16日)

選択肢と回答割合

むくろじ 70%
むべ 20%
なし 11%


◇結果とテーマの解説

(2016年12月25日)

この週は「落葉」がテーマ。

最も正解率が高かったのは「欅」でした。普通は片仮名で書かれるはずのこの漢字がこれだけ知られているのは、今年の紅白歌合戦にも出場が決まっている「欅坂46」の影響でしょうか。もっとも別の選択肢が「ひのき(檜)」と「かし(樫)」では消去法で答えられた人が多かったのかもしれません。

一応断っておきますが、このアイドルグループのファンだから出題したわけではありません。出題者は「欅って、書けない?」という奇妙なタイトルのテレビ番組の存在は知っていましたが見たことがなく、長らく漢字クイズの番組だと思っていました。この字は読めても正確に書く自信はいまだにありません。

「無患子」はその実が羽根つきの球になるということですが、いま正月に羽根つきをする女の子っているのでしょうか。毎年「変わり羽子板」はニュースになりますけど。

ちなみに大辞林で「むくろじ」の次に載せている語は、ムグンファ【無窮花】。「木槿(むくげ)。韓国の国花。粘り強く咲き続けるさまが、民族性を表すとされる」とあります。窮地に立つ韓国の朴槿恵大統領をどうしても連想してしまいます。紙の辞書のよいところは、このように調べる語とは関係ない別の語を発見する楽しみがあることです。

「朴の葉」を出題した背景にも韓国の問題があります。ただ大ヒットしている映画「君の名は。」の舞台の一つとされる岐阜県飛騨地方の郷土料理が「朴葉みそ」ということも意識しました。なお「ほう」ではなく「ほお」ですのでルビを振る機会がある方はご注意ください。

「鴨脚樹」はこの週で最も正解率が低くなりました。この表記と読みについては広辞苑の編者である新村出が著書「語源をさぐる」に1章を設けています。北京語のヤーチャオが日本語のイチョウの語源という説を、部分的に疑問を呈しつつ全体的には否定しないというところにこの学者の慎重さが表れています。ところでこの文章――。

鴨脚の場合のほかの脚はすべてキャといわれ、今疑問に上れる語の場合に限って北音のチャウが原音のまま維持されたというのは、少し不思議におもわれる。こういう疑問が言語学上必ず起ってくるはずであるから、支那の北音ヤーチャウの移入を無条件で容れるわけにはゆかない。無論些々(ささ)たる発音上の差異にとどまるのであるが、学問上にはそれを無視することはできないので一応こだわっておくのである。

1927(昭和2)年に書かれているのですが、ここで「こだわる」が、学者として細かいことでも無視せずきちんと追求しようという意味で用いられていることにご注目。かつて「つまらないことにこだわるな」というマイナスのニュアンスが強く、いまだに「こだわりの品」などの使い方が誤用とみなされることもありますが、90年前の国語学者による文章に既にその用法が転化しかかっていることがうかがえます。

そういえば珍しく校閲者が主人公のドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」の「地味に」は、どちらかといえは悪くない意味で使われていて、これも否定的から肯定的にニュアンスが拡大しつつある一例かもしれません。

校正を意味する「掃葉」は、広辞苑で別の語を引いているときにたまたま見つけた語です。以前出題した「校書掃塵」と同じく、掃いても掃いても誤字はなくならないという、校正(校閲)経験者なら誰でも思い知らされる現実を反映しています。昔から誤字と格闘してきた校正者の苦労がしのばれるとともに、校正の重要さをも表している語と思います。

では、全国の校正者のみなさん、2017年もともに頑張りましょう。

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