読めますか? テーマは〈観音〉です。

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大谷磨崖仏

答え
おおやまがいぶつ
(正解率 49%)

宇都宮市大谷にある洞窟内に彫られた仏像。国の特別史跡で重要文化財。そのうちの千手観音が大谷寺(おおやじ)の本尊になっている。大谷は石材「大谷石」の産地として有名。

(2016年10月17日)

選択肢と回答割合

おおたにまがんぶつ 24%
おおやまがいぶつ 49%
だいこくまがいぶつ 27%


泉涌寺

答え
せんにゅうじ
(正解率 32%)

京都市東山区にある寺。皇室の菩提(ぼだい)寺。国の重要文化財、聖観音像は中国の玄宗皇帝が亡き楊貴妃の冥福を祈って造らせたとの伝承があり、「楊貴妃観音」の別名がある。

(2016年10月18日)

選択肢と回答割合

せんつうじ 23%
せんにゅうじ 32%
せんようじ 45%


観音寺市

答え
かんおんじし
(正解率 32%)

香川県西部。四国八十八カ所の一つ、観音寺に由来するが、寺の読みは異なり「かんのんじ」。同市に属する伊吹島は瀬戸内国際芸術祭(11月6日まで)の開催地の一つ。ちなみに広島市西区の観音町も「かんおんまち」だ。

(2016年10月19日)

選択肢と回答割合

かんおんじし 32%
かんのんじし 61%
かのんじし 7%


甲賀市

答え
こうかし
(正解率 30%)

滋賀県南部。甲賀(こうが)忍者で知られるが、市名は濁らない。この地にある櫟野寺(らくやじ)の本尊、十一面観音菩薩坐像(ぼさつざぞう)が東京・上野で公開中(12月11日まで)。

(2016年10月20日)

選択肢と回答割合

こうがし 68%
こうかし 30%
かぶとがし 2%


桜井市初瀬

答え
さくらいしはせ
(正解率 33%)

奈良県桜井市の地区名。長谷寺の門前町。古くは「はつせ」といい「泊瀬」とも書かれ、和歌や「枕草子」などに登場。紅葉の名所だ。12月4日まで十一面観世音菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)に直接触れられる特別拝観を実施中。

(2016年10月21日)

選択肢と回答割合

さくらいしはせ 33%
さくらいしはつせ 34%
さくらいしうぶせ 33%


◇結果とテーマの解説

(2016年10月30日)

この週は「観音」についての固有名詞から出題しました。最も高い正解率が49%という難問ぞろいでした。


大谷寺

観音は「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」の略ですがこの「おん」が「かんのん」になるのは連声という現象です。しかし固有名詞になると連声にならないものもあります。

その例として出したのが「観音寺市」。高校野球ファンなら、センバツでの優勝もある「観音寺中央高校」が「かんおんじ」だと知っている人が多いでしょう。

ところで私ごとで恐縮ですが、出題者は広島市育ちで、広島県立広島観音高校のある観音という地名はなじみ深いものでした。その読みが実はいずれも「かんおん」だと最近知って、いささか衝撃を受けました。知人はみんな「かんのん」と言っていたように思いますが……。

「甲賀市」も、近くに住んでいても「こうがし」と思いこんでいる人が多いのではないでしょうか。正解率はこの週で最低となりました。

信楽焼で有名な信楽町があり、国の重要文化財である十一面観音菩薩坐像が本尊の櫟野寺(らくやじ)などもありますが、市名が濁らない「こうか」であることはあまり知られていないようです。

しかしなぜ濁らないのか。この地名は「角川小辞典 地名の語源」によると古くは「鹿深(かふか)」だったとのこと。「かふ」が「こう」になっても後の「か」は「が」にならなかったわけですね。

「桜井市初瀬」は奈良の長谷寺のある地名。古来の歌枕で、清少納言も訪れた所です。岩波書店「日本古典文学大系 枕草子 紫式部日記」では「長谷(はつせ)にまうでて」とルビがあります。

「初瀬」で「はせ」と読むのとは逆に「長谷」を「はつせ」とも読ませるということです。固有名詞の表記と読みの多様なこと、かくのごとし。白洲正子「十一面観音巡礼」(講談社文芸文庫)にもあります。

ハセは泊瀬、初瀬、長谷とも書くが、いずれも正しい。それは瀬の泊つる所であるとともに、はじまる所でもあり、長い谷を形づくってもいるからだ。

皇室の菩提(ぼだい)寺である京都の「泉涌寺」は、三笠宮さまが「御寺(みてら)泉涌寺を護(まも)る会」総裁を長く務め、皇室ゆかりの寺院の護持や文化継承に尽力されたそうです。楊貴妃をモデルにしたとされる「楊貴妃観音」についての二つの文章を引用しましょう。

気になったのは小さな紅唇の上下と、あごにひょろひょろと描かれているひげ。なぜこの美女に似せた観音像にひげをつけたのか、どうにもへんで納得ゆかない。

岡部伊都子「観光バスの行かない… 埋もれた古寺」新潮社

横の壁にこんな貼紙があった。

「口もとの曲線は慈悲を説かれる口の動きです。おひげではありません」

仏像の唇の回りにある線のことを説明しているのだった。まあ、ひげだと思われてしまえば美人も台なしだろう。

「本当に口の動きかねえ。ひげはひげじゃん」

“実際そう見える”ことにこだわるみうらさんは、ぴしゃりとそう言って御堂を出た。

いとうせいこう・みうらじゅん「見仏記」角川文庫

ひげかどうかという一見どうでもいい問題は、観音が女性か男性か、はたまた性別を超えた存在なのかを考えさせる、けっこう深遠なテーマなのです。

最後に「大谷磨崖仏」。昔「神様、仏様、稲尾様」というフレーズがはやりましたが、日本一になった日本ハムの大谷投手の人間離れした活躍も「神様仏様」とたたえられても不思議ではありません。「おおたにまじほとけ」と冗談で読んで投稿していただいた方もありました。

まあそれはともかく、今回は「おおや」という地名でした。谷というのは「や」「たに」に加え「長谷」の一部でもあるし、まことに読むのがやっかいな漢字です。

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