読めますか? テーマは〈書く〉です。
敲く
(2016年06月13日)
選択肢と回答割合
とどく | 9% |
つらぬく | 10% |
たたく | 81% |
認める
(2016年06月14日)
選択肢と回答割合
まとめる | 8% |
したためる | 70% |
あらためる | 22% |
花押
(2016年06月15日)
選択肢と回答割合
かおう | 82% |
かこう | 9% |
はなおし | 9% |
遺言証書
(2016年06月16日)
選択肢と回答割合
ゆいごんしょうしょ | 58% |
いげんしょうしょ | 7% |
いごんしょうしょ | 36% |
擱く
(2016年06月17日)
選択肢と回答割合
はじく | 36% |
おく | 25% |
かく | 39% |
◇結果とテーマの解説
(2016年06月26日)
この週は「書く」をテーマにしました。きっかけは、花押を記した遺言状が有効と認められなかったというニュースと、オバマ米大統領が広島演説の原稿を自分で推敲していたという報道です。
「敲く」の出題時「『叩く』とほぼ同じ意味」と書きましたが、「ほぼ」は全く同じとは限りません。どういう違いがあるのでしょう。「漢字の使い分けときあかし辞典」(円満字二郎著、研究社)によると
この漢字の右半分の「ぼくづくり」は“棒や鞭などで打つ”ことを表す部首。つまり、《敲》は“手や棒などで打つ”ことをかなり明確に表す。
そこで、勢いよく「たたく」とか、「たたく」音が響き渡るといった雰囲気を表現したい場合に用いるのが、ふさわしい。
ただし「叩」「敲」とも常用漢字ではないので新聞では仮名書きになります。
「したためる」も仮名書きです。「認める」だと、どうしたって「みとめる」と読んでしまいますからね。「したためる」は「書く」のほかにも「食事をする」「しかるべく処置する」「用意する」「治める」などの意味があるそうです。「暮らしのことば語源辞典」(講談社)によると、「『したた』は、心がこもっていて確かであることで、『したたか』などと同源」とのことです。
「花押」は今回最も正解率が高くなりましたが、常用漢字である割に、そう高い数字とはいえません。自分で使う人は現代では政治家くらいかと思っていましたが、一般の人でも実際に使う人がまだいたんだと思わされたのが、今回の遺書に関する裁判でした。
「遺言証書」は法律用語。新聞では「遺」の読みとして「イ」「ユイ」ともに認められていますので、通常ルビはつけません。だから読みが問題になることはないのですが、法律的には一般と違う読み方をするものが他にも少なくありません。例えば「立木」は法律用語では「りゅうぼく」と読みます。一般語として「たちき」と読むなら新聞では送り仮名が必要になります。どこまで法律用語に忠実にすべきかという判断は別として、一般語と誤解して校閲で反射的に送り仮名を付すのは避けたいもの。そういえば毎日新聞では一般的には「6カ月」と書くのに、判決では「ろくげつ」という読み上げに合わせてか「懲役2年6月」などと表記しています。個人的には妙な慣行だと思いますが……。
「擱く」は今回正解率最低。これも常用漢字ではないので新聞では「おく」と仮名書きにします。だったらなぜこんな字を問題に出すのかというと、「筆を置く」という表記に注意してほしいという思いからです。「擱筆(かくひつ)」という、筆をおいて書くのをやめることを表す熟語があるので、その意味では「筆を置く」ではなく「筆を擱く」が適切なのです。では、この稿の筆をおきます――とまとめようと思いましたが、パソコンなのでやめておきます。