読めますか? テーマは〈鳥と人〉です。

東京・銀座の鳩居堂
和毛
(2016年05月09日)
選択肢と回答割合
あえげ | 21% |
わげ | 21% |
にこげ | 58% |
鴇色
(2016年05月10日)
選択肢と回答割合
とびいろ | 36% |
ときいろ | 42% |
ひわいろ | 21% |
容喙
(2016年05月11日)
選択肢と回答割合
ようかい | 42% |
ようしゃ | 20% |
ようたく | 38% |
お鳥目
(2016年05月12日)
選択肢と回答割合
おちょうめ | 15% |
おちょうもく | 58% |
おとりめ | 26% |
鳩居
(2016年05月13日)
選択肢と回答割合
きゅうきょ | 71% |
はとい | 8% |
くぐい | 21% |
◇結果とテーマの解説
(2016年05月22日)
Photo by Hisagi
この週は愛鳥週間にちなみ「鳥と人」がテーマでした。
「和毛」というのは「にこ」という響きがいいですね。古語辞典によると、「柔」とも書く接頭語で、「やわらかい」「くわしい」「細かい」などの意を表すとあります。「にこやか」とも関連があり「和(にこ)やか」に「①もの柔らかなさま」「②心からうれしそうなさま」という意味が並べられています。
「鴇色」が難しかったのは鳥のトキが普段カタカナ表記されるので無理からぬことかもしれませんが、「鴇田」など人名では時々見るのではないでしょうか。ただトキの漢字としては「朱鷺」の方がよく使われていると思います。また「鵇」「鴾」「桃花鳥」という表記もあります。故・谷川健一さんの「日本の地名」(岩波新書)には全国の「鴇」の付く地名を挙げたうえで
トキがいなくなっても、その地名が残っていることで、その生息地が推定できる
と記します。「続日本の地名」(同)では、千葉県に鴇ケ根城があり、鴇が古代にはトウとも読まれたことから、東金(とうがね)市の地名の由来となったと述べています。真偽はともかく、自然が豊かなうちに千葉県にも、復活したトキが訪れてほしいと思います。
「鴇色」と同率で「容喙」が今回正解率最低でした。喙の字は「くちばし」ですが、普通「くちばし」と仮名書きにするので、熟語の「容喙」くらいしか出番がありません。それさえあまり見なくなっているということをこの正解率は示しているのでしょう。
「お鳥目」なんてもっと使われませんが、漢字クイズに以前出題した「唐茄子屋」に出てきます。「いいえ、お鳥目が、これだけしかございませんので」という貧しい母子に、にわか唐茄子(カボチャ)売りをさせられた若旦那が苦労の末にかける情けがさわやかな人情ばなしです。
気の毒な人を助けるというのは、その時代では、ごくあたりまえのことだった。
というのはちくま文庫「落語百選 夏」(麻生芳伸編)の解説です。
最後に「鳩居」。国語辞典で引くと一様に「鳩は巣を作るのが下手なので自分で巣を作らずにカササギの巣にすむ」などと書かれているのですが、はてハトが巣を自分で作らないというのは本当なのかしら、という素朴な疑問がありました。藤堂明保「学研新漢和大字典」を引くと
この『鳩』は鳲鳩(しきゅう=カッコウ)のことという。カッコウは、他の鳥の巣に卵をうむ習性があることから
とあり、なるほど、カッコウの托卵(たくらん)のことかと納得しました。それが正しいとすると、国語辞典の語釈も正さなければならないのではないではないでしょうか。