読めますか? テーマは〈訓〉です。

更まる

答え
あらたまる
(正解率 71%)

一般的には「改まる」と書く。更の字は「新しいものに交換する」という意味。単に「新しくなる」のではなく「新しくなって再出発する」というニュアンスだ(円満字二郎著「漢字の使い分けときあかし辞典」)。

(2016年04月04日)

選択肢と回答割合

くるまる 7%
あらたまる 71%
かしこまる 22%


蒔く

答え
まく
(正解率 96%)

新聞では「まく」と仮名書きにする。円満字二郎著「漢字の使い分けときあかし辞典」によると「蒔」 は本来「植物を移し植える」こと。再出発の意味の「新規蒔き直し」を「新規巻き直し」と書くと誤り。

(2016年04月05日)

選択肢と回答割合

とく 1%
まく 96%
ときめく 3%


訓む

答え
よむ
(正解率 47%)

訓の字はもともと「何かのやり方を教える」という意味で、「訓示」などがその例。転じて、漢字の意味を「教える」ところから、「漢字の意味を、わかりやすい日本語に置き換えて表現する」ことを指すようになった。「『花』という漢字を『はな』と訓む」などと使うが「読む」と書く方がはるかに自然(円満字二郎著「漢字の使い分けときあかし辞典」)。

(2016年04月06日)

選択肢と回答割合

よむ 47%
くむ 10%
たしなむ 43%


愁い

答え
うれい
(正解率 68%)

季語に「春愁」があるように、春は楽しい季節とは限らない。「うれい」は 「憂い」とも書く。円満字二郎著「漢字の使い分けときあかし辞典」によると、「憂」 は現状をなんとかしたいという積極性、「愁」は現状につかってしまう消極性の違いと いう。

(2016年04月07日)

選択肢と回答割合

うれい 68%
はかない 6%
ものうい 27%


萌す

答え
きざす
(正解率 75%)

円満字二郎著「漢字の使い分けときあかし辞典」によると、「きざす」には「予兆」の意のほか「山の木々の芽が萌す」な ど「植物の芽が出る」という意味も。そこから「恋の萌し」という使い方も出てきた。

(2016年04月08日)

選択肢と回答割合

きざす 75%
はらす 7%
もだす 17%



◇結果とテーマの解説

(2016年04月17日)

この週は「訓」。「訓は音読み」ということを知って衝撃だったというツイートがありました。あまり意識していませんでしたが、訓は音で訓よみは「よみ」……確かにややこしいですね。

今回の正解率で最も低かったのは「訓む」でしたが、「たしなむ」の誤答が正解に迫るほどの回答を集めたのはどういうことでしょう。「たしなむ」の漢字は「嗜む」です。「酒をたしなむ」など嗜好(しこう)品としてのイメージが強い漢字ですが、「たしなみ」は「身だしなみ」などの言葉があるように、「心がけ」の意味もあります。一方「訓」には「教訓」「訓示」に使われるように「教え」の意味があり、「たしなみ」を連想させる……と関連付けるのは、うがちすぎでしょうか。

「和語はひらがなで書くべきだ」というご意見もいただきました。実は毎日新聞でも、例えば「蒔く」は「まく」と仮名書きしています。「蒔」は常用漢字ではないことが大きな理由ですが、「種をまく」は「蒔く」か「播く」かという選択の必要がなくなるわけですから、新聞記事の文章としては合理的といえます。ちなみに、この週で大いに参照させてもらった「漢字の使い分けときあかし辞典」(円満字二郎著、研究社)によると

《蒔》はもともとは“移し植える”という意味なので、“あらかじめ決めた場所に”という意味合いを持つ。(中略)そこで、種を「まく」場合でも、場所がかなり限定されているケースでは、《蒔》を用いる方が、漢字の持つイメージからすればふさわしい。

と「播」との違いの説明の上で「細かいニュアンスにこだわらないのであれば、どちらを使っても、意味は同じである」と添えられています。

その他、新聞表記では、常用漢字音訓表にしたがい「更まる」は「改まる」に、「訓む」は「読む」に、「萌す」は「兆す」に直すようにしています。もちろん漢字が違う以上、微妙なニュアンスの違いがあり「漢字の使い分けときあかし辞典」にもそれぞれ説明されているのですが、同書でも「一般的には《改》を用いる」「あえて《訓》を使うと、かなり古めかしい雰囲気になるので注意」「ほとんどの場合は《兆》を用いる」などとあり、新聞だけが漢字表記を強引に単純化させているわけではありません。

もっとも「恋の萌し」なんていう漢字は「兆し」にはない趣があります。同書にはその気持ちがこう「ときあかし」されています。

《兆》は“頭を使う”という理知的な雰囲気を持つ漢字。“ある気持ちを感じ始める”という感情が主になる場面では、《萌》を使う方がなじみやすい。

さて、今回の正解率で気になったのは「愁い」の68%です。「愁い」「愁える」は常用漢字表にあるのですが、「憂」に比べてあまり使われませんから、読みがわからない人が多いのでしょうか。「愁い」も情緒のある美しい日本語だと思います。「憂い」だけになるのは、憂いを禁じえません。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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