読めますか? テーマは〈北海道と北方領土〉です。
渡島半島
(2016年02月22日)
選択肢と回答割合
おしまはんとう | 48% |
としまはんとう | 44% |
わたじまはんとう | 7% |
枝幸町
(2016年02月23日)
選択肢と回答割合
えさしちょう | 72% |
えこうちょう | 14% |
しこうまち | 14% |
歯舞群島
(2016年02月24日)
選択肢と回答割合
はぼまいぐんとう | 87% |
はばまいぐんとう | 9% |
ほぼまいぐんとう | 4% |
木古内
(2016年02月25日)
選択肢と回答割合
きこうち | 9% |
きこない | 60% |
もっこない | 31% |
後志
(2016年02月26日)
選択肢と回答割合
ごしべ | 8% |
こうし | 23% |
しりべし | 69% |
◇結果とテーマの解説
(2016年03月06日)
この週は「北海道と北方領土」。北海道新幹線開業に加え、沖縄・北方担当相が歯舞を読めなかったという話題からのテーマ設定です。
北方担当相が読めないというのは確かに問題ではあるのですが、個人的にあまりとがめる気になりません。というのは、出題者自身、入社するまで「はばまい」と読んでいたからです。また、北方担当相が読めなかったことを伝える某新聞のネット記事で一時「ほぼまい」と間違った読み仮名が振られていたという、人ごととは思えない痛いミスもありました。他山の石としなければなりません。クイズの正解率は87%。今回最も読めている問題ですが、万人が読めて当然とはいいにくい数字です。
この週で最も正解率が低かったのは「渡島半島」でした。難読ではありますが、半数以上が読めないというのは予想外でした。渡島は半島の名前であるとともに、「渡島総合振興局」が管轄する地域でもあります。北海道在住なら天気予報のニュースで毎日接するはずです。
しかし「後志」もそうですが、北海道在住でないとほとんど見聞きすることがないかもしれません。渡島の場合「渡島大野駅」がそのまま新幹線の駅名になれば、この地名が全国に知られる機会になったはずですが、「新函館北斗駅」に。余談ですが、この駅の中に「北斗」の名にちなみ漫画「北斗の拳」の銅像ができるそうです。何のキャラクターになるかは北海道新幹線開業の3月26日まで秘密とのことです。
「木古内」は新幹線の駅になります。正解率60%の知名度は上がるでしょうか。また、新幹線開業と同時に並行在来線「江差線」は第三セクター「道南いさりび鉄道」に変わります。既に「木古内―江差駅」間は廃止されていますのでやむを得ませんが、「江差」という名がなくなるのも時代の流れでしょうか。
その江差と同音で「毎日新聞用語集」の「紛らわしい地名」のページでも注意喚起しているのが「枝幸町」。出題時には「この時期は流氷が接近するが、今年は接岸していない」と書きましたが、その後一部接岸したようです。
「後志」。ここにある羊蹄山について牧野富太郎は「シリベシ山をなぜ後方羊蹄山と書いたか」という文章を書いています(ちくま学芸文庫「植物記」所収)。日本書紀に「後方羊蹄」と書いてシリヘシと読ませているのが初めてだそうです。
かくシリベシを後方羊蹄と書くのは、如何にも奇抜至極な字を充(あて)たもので、これは余程ヒョウキンな書きぶりであることを失わない。
羊蹄をシと為るのはまず一般の人々には解り憎くかろうと想像するが、それもその筈、これは実はシと称する草の名(すなわち漢名)であるからである。すなわちシリヘの後方とシの羊蹄との合作でこの地名を作ったものである。
――と、書かれた内容もさることながら大学者らしからぬ「ヒョウキンな書きぶり」が楽しいのですが、それはともかくこれを読んで思い出されたのは、職場にある帝国書院の地図に「後志」のルビが「しりべ し」と分けて振られていることです。なるほど「後方(しりへ)」が元だったとすれば「しり べし」と分けるのではなく「後」に「しりべ」と当てるのが適切なルビだと感じ入った次第です。