読めますか? テーマは〈建物〉です。

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納戸

答え
なんど
(正解率 98%)

物置部屋のこと。戦国武将・真田幸村の兄信之の位牌(いはい)が、長野県上田市の寺の隠し納戸で2015年見つかった。掃除中に偶然隠し納戸が開いたというが、NHK大河ドラマ「真田丸」に誘われたかのような発見だ。

(2015年12月28日)

選択肢と回答割合

なっと 1%
なんど 98%
のうど 1%


軒庇

答え
のきびさし
(正解率 58%)

屋根の端の張り出した部分。新国立競技場の整備計画に採用された案は、内部に大きく張り出した水平のひさしが特徴。法隆寺の五重塔の垂木(たるき)を思わせる。

(2015年12月29日)

選択肢と回答割合

けんぴ 32%
のきへ 10%
のきびさし 58%


長押

答え
なげし
(正解率 74%)

壁などの上部に付く飾りの横木。日光東照宮にあるうまやの長押の上に「見ざる、言わざる、聞かざる」として有名な三猿の彫刻がある。2016年は災いを見聞きしたり話題にしたりすることがないよう祈りたい。

(2015年12月30日)

選択肢と回答割合

ちょうおう 10%
なげし 74%
ながもち 16%


◇結果とテーマの解説

(2016年01月10日)

この週は「建物」。年末年始のお休みを頂いたため3語でした。

「納戸」は簡単でした。ただ、納という字は常用漢字表の音だけでノウ、ナ、ナッ、ナン、トウと五つもの読みがありますから複雑です。納戸のナンはその中でも特殊な読みのようです。

「軒庇」の庇は庇護(ひご)の庇。だから「けんぴ」という音読みが少なくなかったのは分かるのですが、「のきへ」にも1割の回答があったのはどういうことでしょう。「庇」と「屁」の字がよく似ていることからこの選択肢を設定したのですが、もしかしたらこれを選んだ人も、たぶん違うと分かっていながら出題者のちょっとした遊び心に同調したのかもしれません。もちろん、本当に間違いが出てしまうと笑いごとではすまないのですが。

「長押」。「ながおし」と読んでしまいそうですが、「なげし」の語源については「消えた言葉」(橋本治編著、アルク)の中で建築家・詩人の渡辺武信さんが記しています。

長押という言葉は、長い押材(へしざい)から来ている。太い原木から何本もの材料を取るのではなく、適当な太さの樹木から一本だけ削りだした均整の取れた角材を押角という(この字は「へし角」とも「おし角」とも読まれる)。長押は和室の室内に太い水平線を引いて意匠を安定させる化粧、つまり飾りなので、場所によっては柱以上に目立ち、したがって水平性を強調するようなきれいな柾目(まさめ)を持つ押角を使われることが多いので、この名が生じたのであろう。

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つまり、「おしあいへしあい」にも通じる「へし」の長い物「ながへし」がなまって「なげし」になったということですかね。

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さて、室内ではありませんが、有名な日光東照宮の三猿は長押の上にあります。この「見ざる、聞かざる、言わざる」は子供の成長にとって有害なものには触れさせず育てるべきだと解釈されています。しかし「岩波ことわざ辞典」(時田昌瑞著)には別の解説があります。

三猿の背景には、江戸初期に盛んになった民間信仰の庚申待(こうしんまち)がある。庚申の夜には人が寝ている間に体内の三尸(さんし=三匹の虫)が天に人の罪を告げ、命を縮めるため、申(さる)にちなんだ青面金剛(しょうめんこんごう=猿面)や猿田彦を祭って一晩中起きているというもの。人の罪が天に告知されるのを防ぐ意からか、庚申塚の石塔などにこの三猿が施されているものが目立つ。

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南方熊楠の「十二支考」(岩波文庫)にも

この夜男女の事あるを大罪として天に告げらるるを懼(おそ)れ、なるべく多数集って夜を守るを本意としたのだ。三尸は小鬼の類らしい。それを庚申の三猿もて表わしたというが通説だ。

とあります。この「男女の事」というのはセックスのことでしょうか。とすると、子供には「見ざる、言わざる、聞かざる」と耳・口・目を塞ぎたくなるのも分かります。子供の携帯電話にフィルタリングを付ける親の心にも通じますね。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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