読めますか? テーマは〈緩急〉です。

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漸く佳境に入る

答え
ようやくかきょうにいる
(正解率 74%)

「入る」は「はいる」とも。次第に面白さが増すこと。中国の「晋書」が出典。元は、サトウキビを先端から根元へと食べ進めることでだんだん甘みが増しうまくなることをいった。今は物語やドラマなどで「佳境に入る」と使う。

(2015年10月19日)

選択肢と回答割合

しばらくかきょうにいる 21%
まさしくかきょうにいる 5%
ようやくかきょうにいる 74%


釣瓶

答え
つるべ
(正解率 88%)

縄などに付けて井戸水をくみ上げるためのおけ。井戸の底に落ちる勢いから「秋の日は釣瓶落とし」ということわざになり、釣瓶そのものは見なくなってもこの言葉は生きている。なお野球の「つるべ打ち」は「連べ打ち」であり「釣瓶打ち」は当て字という。

(2015年10月20日)

選択肢と回答割合

つりびん 4%
つりべ 8%
つるべ 88%


間髪をいれず

答え
かんはつをいれず
(正解率 48%)

髪の毛一本いれる隙間(すきま)もないことから、あいだを置くことなく直ちに行うさまをいう。「間、髪」と切れるので「かんぱつ」というのは間違いとされる。

(2015年10月21日)

選択肢と回答割合

あいがみをいれず 0%
かんはつをいれず 48%
かんぱつをいれず 52%


徐に

答え
おもむろに
(正解率 79%)

ゆっくりと。9月発表の文化庁「国語に関する世論調査」では「ゆっくりと」の意味と答えた人は44.5%。「不意に」が40.8%で、若い人に多かった。調査の質問は平仮名。漢字では「徐行」「徐々に」の徐だ。

(2015年10月22日)

選択肢と回答割合

おもむろに 79%
かすかに 5%
やにわに 16%


逸早く

答え
いちはやく
(正解率 88%)

人に先んじて。首相官邸ホームページには9月の安倍晋三首相の演説をはじめ「一早く」という字が複数見られる。「逸」は当て字だが「一」は誤字とする辞書もあり「いち早く」と書きたい。1億総活躍よりは一国の首相の足元を見直しては?

(2015年10月23日)

選択肢と回答割合

いちはやく 88%
すばやく 8%
そらばやく 5%


◇結果とテーマの解説

(2015年11月01日)

この週は「緩急」。つまりは物事のはやさに関する表現です。早いもので今年もあと2か月になってしまいましたね。

「漸く佳境に入る」の「漸」は「ようやく」ですが、今のニュアンスとは若干異なっている気がします。今は「なかなか実現しなかったことが,待ち望んだ末に実現するさま」(大辞林)という意味が主流。つまり過程より結果が大事にされている印象があるのですが、古語の「やうやう」は枕草子の「春はあけぼの やうやう白くなりゆく」で知られるように、過程を楽しんでいることが感じられます。「漸く佳境に入る」の元の意味もそうで、サトウキビの甘みの薄い端のところから食べてだんだん甘みが増すのを楽しんだということに由来します。

by Rufino Uribe

ゆっくりと過程を味わうものなので、「物語はここでいきなり佳境に入る」という言い方は本来おかしいと思われます。ただ現在は「漸く」が失われて「佳境に入る」だけで使うようになったので、誤用とはいえません。一方「佳境」の「佳」にはまだ「いいこと」「面白いこと」というイメージが残っているはず。ですから例えば「予算編成が佳境に入った」のように単なる作業のピークにいうのは適切とは言えません。一部には予算編成を楽しむ人もいるかもしれませんが……。

さて、枕草子では「秋は夕暮れ」ですが、忙しい身には「いとをかし」とゆっくり味わういとまもないほどすぐ暮れてしまいます。「秋の日は釣瓶落とし」。「釣瓶」だけでも死語になっていないことが正解率からうかがえます。

「間髪をいれず」は読みも問題ですが、ここではそれ以外のこぼれ話を。「い」を平仮名にしたのは、元は「容れず」なのですが「容」の字は常用漢字表に「い(れる)」の読みがないためです。「入」にしなかったのは、大体の辞書が原典を尊重してか「容」にしているためですが、例えば「岩波国語辞典」「三省堂現代新国語辞典」や「新レインボー小学国語辞典」(学研)が「入」としているように、「間髪を入れず」でも間違いではありません。

なお、「三省堂現代新国語」は「かんぱつ【間髪】」と見出し語を立て「[俗語]間一髪」とした後で「――を入れず 『間髪(はつ)を入れず』の俗語的な言い方」と記しています。「岩波国語」と「レインボー」は「かんはつをいれず」を丸ごと見出し語にしています。他の多くの辞書は「間(かん)」の所にこの慣用句を入れているのですが、それでは引きにくいことを配慮したものでしょう。教育上は、俗語として立てるよりは「かん、はつをいれず」を見出し語にして「間、髪」と切れることを明示する方が効果的と思います。まあ辞書としては「、」を入れる見出し語はありえないでしょうが。

「徐に」は、9月発表の国語に関する世論調査で「おもむろに」の意味を問うものがあったことにちなんだ出題。同調査ではかつて「やおら」も調査対象になりました。これは当てる漢字がありませんが、「徐に」の同義語です。急いでの意味と誤解している人が多いようですが「やおら=おもむろに=徐々に=ゆっくり」とセットで覚えておいたらいかがでしょう。

「逸早く」は「一早く」と書いても一見、違和感がないかもしれません。許容している辞書はないかと探しましたが、これは「間髪を入れず」と違って見つかりませんでした。逆に「学研現代標準国語辞典」に「『一早く』はあやまり」とあるのを発見。ですから、首相官邸ホームページに安倍晋三首相のスピーチとして「一早く」という誤字を記したライターさん、次に使うときはちゃんと「いち早く」と書いてくださいね。もちろん取材記者さんたちも。

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