読めますか? テーマは〈怪獣〉です。
本多「猪四郎」
答え
いしろう(正解率 32%)1954年11月公開の映画「ゴジラ」などの映画監督。広辞苑第6版には「ゴジラ」やその特撮監督「円谷英二」は見出し語になっているが本多猪四郎は立てていない。今年公開のハリウッド映画「GODZILLA」では登場人物に「芹沢猪四郎」の名が与えられている。
(2014年11月10日)
選択肢と回答割合
いしろう | 32% |
いのしろう | 49% |
ちょしろう | 19% |
猩々
答え
しょうじょう(正解率 81%)中国の想像上の怪獣。体は猿に似て毛が長く、顔は人間に似る。酒を好み、能「猩々」では酒に浮かれて踊る。また、オランウータンをも指す。ショウジョウバエなどの名にも取られている。ちなみに猿に似た特撮怪獣の代表はキングコングだ。
(2014年11月11日)
選択肢と回答割合
しょうじょう | 81% |
せいぜい | 6% |
ひひ | 13% |
迦楼羅
答え
かるら(正解率 75%)インド神話の怪鳥。その後仏教に取り入れられ八部衆の一つとされる。奈良の興福寺にその像がある。インドネシアではガルーダ航空の名の由来となった。なお「ウルトラマン」の企画段階のヒーローは迦楼羅をイメージした「ベムラー」だったという。
(2014年11月12日)
選択肢と回答割合
かろうら | 17% |
かるら | 75% |
がぼら | 8% |
饕餮
答え
とうてつ(正解率 43%)中国古代の殷周の青銅器に彫られた怪獣。曲がった角と大きく飛び出した目が特徴。この怪獣をかたどった文様を「饕餮文(とうてつもん)」という。「饕」「餮」ともに「ガツガツと貪り食う」という意味の字。
(2014年11月13日)
選択肢と回答割合
ごうちん | 35% |
ごじら | 22% |
とうてつ | 43% |
儒艮
答え
じゅごん(正解率 68%)怪獣みたいな名だが海獣、つまり海にすむ哺乳類。古来、人魚に擬せられた。日本では沖縄の浅い海にすみ、国の天然記念物で絶滅危惧種。普天間飛行場の移設予定地、沖縄県名護市辺野古周辺はジュゴンの生息域とされる。その沖縄県の知事選は11月16日投開票。
(2014年11月14日)
選択肢と回答割合
じぐら | 8% |
じゅごん | 68% |
じゅら | 24% |
◇結果とテーマの解説
(2014年11月23日)
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by Yongxinge |
この週は「怪獣」。ハリウッド版公開時よりも騒がれていませんでしたが、今月3日が第1作の「ゴジラ」からちょうど60年の節目でした。
その監督が「本多猪四郎」です。この読みが今回最も低かったのはちょっとしたショックでした。ウィキペディアにも「『いのしろう』とした書が多く出版されており、また本人もニックネームで『いのさん』『いのしろさん』などと呼ばれることが多かった」とあります。正しい読みが知られていないことの背景に、知名度が意外にないことがあるのだとしたら残念です。出題時の解説にも記したように、特撮監督「円谷英二」は辞書に載っていても「本多猪四郎」は広辞苑、大辞林の見出し語に採用されない現実があります。
しかし、ハリウッド版の登場人物は、出題者は未見ですが「芹沢猪四郎」だったといいます。「芹沢」というのは主人公以上に強烈な印象を残す登場人物「芹沢博士」からですが、「猪四郎」は本多監督へのリスペクトでしょう。「英二」ではなく「猪四郎」が選ばれたことに、海外での評価がうかがえるかもしれません。
さて、出題者は怪獣を見て育った世代なので、今回ちょっと間違いの選択肢に怪獣の名前を入れてみました。「迦楼羅」では「ウルトラマン」に出てきたウランを食べる(!)怪獣ガボラ。「儒艮」では「ガメラ」シリーズに出た「深海怪獣ジグラ」。そして「饕餮」ではゴジラ。ゴジラは漢字では「呉爾羅」だそうです。
「饕餮」は最も難しい読みだと思っていましたが、最低ではありませんでした。
ツイッターの反応に「十二国記ファンなら楽勝」というものがありました。アニメにもなった小野不由美さんのファンタジー小説です。しかし出題の元ネタは「漢字はすごい!」(山口謠司、講談社現代新書)。写真に示した「饕餮文」は、鬼瓦と同じように魔よけの役割があったのでしょう。怪獣を魔よけに使うというのは、なんだかゴジラがキングギドラなどその他の怪獣を倒す役を担わされたのを思わせます。
「猩々」でもツイッターの反応がありました。「ジブリファンなら楽勝」「『仮面の忍者 赤影』第2部の『まんじ党』のメンバーの中に『猩猩左近』というサルみたいな忍者がいました」。前者が「もののけ姫」に出てくるというのはすぐわかりましたが「赤影」は幼い頃見たはずなのに完全に忘れていました。忍者ものなのになぜか怪獣が出てくるのですよね。
なお「儒艮」は怪獣ではなく海獣です。沖縄県知事選に合わせました。温和でおとなしく、他の動物を攻撃する武器を持っていないというこの海獣にとって、その餌場を普天間飛行場移設のために奪おうとしている人間こそが怪獣に見えているかもしれません。