読めますか? テーマは〈紙〉です。

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漉く

答え
すく
(正解率 94%)

水に溶けた原料を枠の中に流し入れてならし、紙を作ること。「和紙 日本の手漉和紙技術」がユネスコの無形文化遺産に登録されることが確実になった。故赤瀬川原平さんは「和紙は健在である」というエッセーで「あらかじめ礼儀が漉き込んであり、人柄の柔らかさと懐の広さも漉き込まれてある」と記している。

(2014年11月04日)

選択肢と回答割合

かわく 2%
すく 94%
はじく 4%


楮先生

答え
ちょせんせい
(正解率 53%)

紙の異称。楮の字は訓読みでは「こうぞ」。「紙麻(かみそ)」の音便といい、木の皮を和紙の原料にする。「楮先生」は中国生まれの表現なので音読み。「者」がつくりで「チョ」と音読みになるのは「著」「猪」と共通する。

(2014年11月05日)

選択肢と回答割合

かみせんせい 30%
しゃせんせい 16%
ちょせんせい 53%


一筆箋

答え
いっぴつせん
(正解率 86%)

短冊形の便箋。箋の字に「幅の狭い美しい紙」の意味がある。しかし「一筆箋」は近年の語なのか、これを載せる辞書は「三省堂国語辞典」第7版くらいしか見当たらない。

(2014年11月06日)

選択肢と回答割合

いちひつせん 2%
いっぴつせん 86%
ひとふでせん 13%


答え
ぬさ
(正解率 67%)

神に供えたり、おはらいに使ったりする紙や麻など。御幣(ごへい)などともいう。百人一首に選ばれた菅原道真の「このたびは幣もとりあへず手向山もみぢの錦神のまにまに」に使われている。幣の用意ができずに旅に出るので代わりに紅葉を神に手向けるという意味だ。

(2014年11月07日)

選択肢と回答割合

しめ 23%
くじ 11%
ぬさ 67%


◇結果とテーマの解説

(2014年11月16日)

この週は「紙」。当初、赤瀬川原平さんの訃報を受けその著書からと考えていましたが、和紙がユネスコ無形文化遺産に登録されることが確実になったことと赤瀬川さんとをからめられると思い直して変更しました。

赤瀬川さんの「新解さんの謎」は、辞書を「読む」ことの面白さを世に知らしめた好著です。あんまり面白いのでその本(文春文庫)からなにか漢字をと思ってパラパラめくっていたところ、「新解さんの謎」本編ではなくその後にあるエッセー集「紙がみの消息」の中に「和紙は健在である」という一編が見つかりました。

「大きな字でざくざく書いていくと、すぐページが変って二、三枚になる。手紙というのはやはり一枚ではそっけないみたいで、やはり二、三枚で『草々』となるのが程良いわけで、(中略)そんなわけで和紙は便利だ。あらかじめ礼儀が漉き込んであり、人柄の柔らかさと懐の広さも漉き込まれてある」

ということで「漉く」を出題しました。結果、今回最も高い正解率となったのですが、ユネスコ無形文化遺産に「和紙 日本の手漉和紙技術」が登録へというニュースによるものかどうかは判然としません。

ところで、先のエッセー引用部分は普通サイズの便箋のことでしょうが、すぐページが変わってというのは今になって思えば「一筆箋」を連想させます。この「一筆箋」、なぜかほとんどの辞書に載っていません。それで出題時の解説に「近年の語なのか、これを載せる辞書は『三省堂国語辞典』第7版くらいしか見当たらない」と書きました。しかし「岩波国語辞典」第7版に見出し語ではなく「一筆」の中の用例として「一筆箋」があるのに後で気づきました。申し訳ありません。

「楮先生」は今回最も難しかった漢字。「楮」は訓の「こうぞ」だと簡単かなと思って音読みの語にしました。中国の韓愈という人が言い始めた表現のようです。擬人化表現というと、日本では「石部金吉」「小言幸兵衛」などが知られますが、中国でもあるのですね。

「幣」は紅葉の季節に思い出す和歌「このたびは幣もとりあへず……」から。「もみぢの錦神のまにまに」の「まにまに」が耳に心地よい、百人一首の中でも有名な歌ではないでしょうか。写真で示した「幣」は布も使われ、別に紙に限るものではないのですが、紅葉シーズンなのでタイミングとしては良いと思ってこの字を出題しました。「紅葉を『錦』に見立てるのは中国詩にない我が国詩人の発明」(三省堂名歌名句辞典)だそうです。さすがは菅原道真です。

赤瀬川さんの「紙がみの……」に戻ると、こんな文章も。「これはダジャレでいっているのではないけれど、紙と神は親戚のような気がする」「神社や神棚などに注連縄(しめなわ)というのがある。聖なる場所だというのを示す縄張りで、横に張った縄にカミシデというのを垂らす。紙を切ったり折ったりしたもので、紙幣と書いてカミシデと読む。つまりお札なのだ。神社の鳥居には横に張った注連にお札がぶら下げてある」「だから日本人はお札そのものを綺麗に大事にする傾向があり」などと赤瀬川節が続きます。約20年前の文章です。

その後、紙は辞書だけでなく小説などでも電子化が進みどんどん居場所を狭められています。紙の本を愛する者としては赤瀬川さんに改めて「紙がみの復活」を唱えてもらいたかったと思わずにいられません。
春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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