読めますか? テーマは〈月〉です。

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三五夜

答え
さんごや
(正解率 68%)

十五夜、つまり中秋の名月のこと。九九の3×5から。この用法は万葉集などにもみられる。なお旧暦8月15日は満月になるとは限らず、今年の場合、きょう9月8日は少し欠けた中秋の名月となる。あすが満月。

(2014年09月08日)

選択肢と回答割合

さぶごや 13%
さんごや 68%
みいつよ 19%


十六夜

答え
いざよい
(正解率 90%)

旧暦の16日の夜、特に8月16日(今年は9月9日)の月のこと。普通に「じゅうろくや」と読んでも間違いではないが、鎌倉時代の紀行文「十六夜日記」は「いざよい」だ。「いざよう」は「ためらう」こと。月の出が十五夜より遅くなるのを、ためらっていると見立てた。

(2014年09月09日)

選択肢と回答割合

いざよい 90%
とおむつや 5%
のちのつき 5%


立待月

答え
たちまちづき
(正解率 85%)

旧暦の17日の月、特に8月17日(今年は9月10日)の月のこと。遅くなってきた月の出を立って待つことから。以後、居待月、寝待月へと続く。

(2014年09月10日)

選択肢と回答割合

たちまちづき 85%
たちまてづき 6%
たてまつづき 8%


隈無し

答え
くまなし
(正解率 88%)

陰りがないさま。徒然草に「花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは」。月は陰りのない時だけ見るべきか、いやそうではないと吉田兼好はいった。満月でなくても気にすることはない。

(2014年09月11日)

選択肢と回答割合

くまなし 88%
すみなし 8%
つきなし 3%


二夜の月

答え
ふたよのつき
(正解率 56%)

旧暦の8月15日と9月13日の月。後者(十三夜)のみをも指す。昔は十五夜とともに十三夜も月見をする習慣があった。樋口一葉の短編に「十三夜」がある。十五夜に月見ができなかった人は10月6日(2014年)の十三夜に期待しよう。

(2014年09月12日)

選択肢と回答割合

にやのつき 30%
によのつき 14%
ふたよのつき 56%


◇結果とテーマの解説

(2014年09月21日)

この週は「月」。十五夜、つまり旧暦で8月15日が、今年の9月8日にあたることからです。しかも今年は十五夜が38年ぶりに早い日付ということがニュースになっていましたし、9月9日の満月は地球から見た月が通常より大きく見える「スーパームーン」であることも話題になっていました。

さて「三五夜」の解説で「十五夜、つまり中秋の名月のこと。九九の3×5から。この用法は万葉集などにもみられる」と書きましたが、読者から万葉集のどの歌かという問い合わせがありました。万葉集巻2・196の柿本人麻呂による長歌の中ほどに「三五月之 益目頰染(三五月のいやめづらしみ)」とあります。実は万葉集では「さんごや」ではなく「もちづき」と読ませています。別に「三五夜(さんごや)」と読む例としては能「羽衣」にありますし、白居易(白楽天)の「八月十五日、禁中に独直して月に対して元九を憶う」という漢詩の一節「三五夜中 新月の色」も知られているようです。それらを出す方が素直だったかもしれませんが、万葉集の時代に九九が既に歌に詠まれるほど用いられていたということが面白かったので、あえて例に出しました。だから「この読みは」ではなく「この用法は」とぼやかしたつもりです。

「十六夜」「立待月」は予想よりよく読めています。以後、月の欠けるとともに「居待月」、「寝待月」または「臥待(ふしまち)月」、「更待月」などと情緒豊かな語が続きます。面白いことに、満月になるまでは「三日月」「十三夜月」など数字の付いた月の呼び名が多いのですが、それを越えると月の出を「待つ」様子から来る異称が多くなります。昔は夜の闇が深く、月光をそれだけ待ち望んでいたということでしょう。なお、新聞の送り仮名原則では「立ち待ち月」となるべきところですが、季語としては普通送り仮名を省いていますのでそのまま出題しました。

「隈無し」の「隈」はいま「目の下にくまができた」など一般語としては平仮名で表記されることが多いのですが、大隈重信など固有名詞ではよく出てきます。校閲として注意しなければならないのは「隈」と「隅」がよく間違われることです。手書きの時代ならともかく今も多いのはなぜでしょう。一つには、変換候補に「くま」と打って「隅」が出るものがあることが考えられます。どうも固有名詞には「隅」で「くま」と読ませるものがあるらしいのです。しかしだからといって「くま=隅」が登録されているのは間違いのもと。もっとも、単純に思い違いや見間違いによるミスも少なくないでしょうから、パソコンの変換のせいにばかりはできませんけれど。

「二夜の月」が今回最も低い正解率です。この季語は毎日新聞「季語刻々」で紹介された「世の人に忘れられけり後(のち)の月」(正岡子規)の解説で知りました。後の月とは旧暦9月13日つまり「十三夜」のこと。「中秋の名月(十五夜)とを楽しむことを『二夜(ふたよ)の月』と言い、古来めでたいこととしてきた。でも、後の月はとかく忘れられがちだというのが子規の句」ということです。樋口一葉の「十三夜」でも「旧弊なれど」というせりふがあります。 しかし、今年の東京のように中秋の名月が雨で見られなかった地方では、10月6日の十三夜にはせめて古来の風習通り、後の月をめでたいものです。
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