読めますか? テーマは〈言葉の変わり目〉です。

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痺れる

答え
しびれる
(正解率 92%)

体の感じがなくなったり動かなくなったりすること。また、音楽などにうっとりすること。これらのほか、三省堂国語辞典第7版(2014年1月)では「息づまる」という意味が加わった。用例「しびれる試合」。〔俗〕と付けてはいるが、新しい用法を積極的に採用する同辞典らしい新語釈だ。

(2014年02月10日)

選択肢と回答割合

かぶれる 2%
しばれる 6%
しびれる 92%


伸び代

答え
のびしろ
(正解率 98%)

まだ成長する余地があること。大辞泉第2版(2012年11月)によると、2005年前後からスポーツ界で使われ多方面に広がったという。毎日新聞のデータベースでは1996年の「声の伸びしろ」という例が最も早い例。

(2014年02月12日)

選択肢と回答割合

のびしろ 98%
のびだい 1%
のびよ 1%


鼓吹

答え
こすい
(正解率 58%)

本来、鼓と笛を鳴らしたことから励まし勇気づけることを指す。「鼓舞」と似た意味だったが、いま鼓吹は「脱原発を鼓吹する」など主に政治的な主張の意味で用いられることが多い。励ましとしての意味を記していない辞書もある。

(2014年02月13日)

選択肢と回答割合

こすい 58%
こぶ 30%
こふき 12%


悲喜交々

答え
ひきこもごも
(正解率 90%)

悲しみと喜びを代わる代わる味わうこと。「悲喜交々の当落発表」のように悲しむ人と喜ぶ人がまざった様子をいうことが多くなり、その意味を付記する三省堂国語辞典(第7版)のような辞書もあるが、大辞泉(第2版)は1人の人間が味わうことなので誤りとしている。

(2014年02月14日)

選択肢と回答割合

ひきこうこう 8%
ひきこもごも 90%
ひきまじまじ 2%


◇結果とテーマの解説

(2014年02月23日)

この週のテーマは「言葉の変わり目」でした。このテーマは、ぎりぎりまで決まりませんでした。

当初の一案として、ソチ五輪にちなんで「応援」などのテーマを考えていました。そのとき考えた問題の一つが「鼓吹」です。鼓笛隊の「鼓」と、吹奏楽の「吹」。字面からはいかにも「応援」にふさわしい語に思えます。ところが、毎日新聞のデータベースで調べると「脱原発を鼓吹する候補」など、主張の意味で使われていることが多い、というよりほぼすべてそうだということに気づきました。辞書をみると「①励まし、元気づけること②意見を盛んに主張し、他人を共鳴させようとすること」(大辞林第3版)とあります。しかし1973(昭和48)年の「新明解国語辞典」で既に「何かすることの意義をひとりひとりに宣伝し、積極的にそうしようという気持にさせること」という意味しか載せていません。今の小型国語辞典は応援・励ましの意味を全く記していないものの方がむしろ多いかも。思うに、「励ますこと」の意味では「鼓吹」は「鼓舞」という同義語の方が有名なので出番があまりなくなる一方、「吹く」「吹聴」などの語のイメージから「主張」の意味が増えていったのではないでしょうか。

「伸びしろ」は今回の五輪でも、羽生結弦選手について「今後の伸びしろへの期待」と使われるなど、使用例が少なからずみられます。しかし20年くらい前にはまだ新規な表現で、違和感もあったと記憶しています。出題時の解説に記したように「大辞泉」第2版では「2005年前後からスポーツ界で使われ多方面に広がった」とありますが、実際にはもっと前から使われていた言葉ではないでしょうか。ただ「多方面に広がった」きっかけがスポーツで盛んに使われたことであるのは間違いないでしょう。それはともかく「代」を「しろ」と読むのは常用漢字表にもあり、新聞でも堂々と使っていいはずですが、実際には「伸びしろ」という表記が圧倒的です。これは、学校の図工の時間や子供向け雑誌の付録などから「のりしろ」という表記になじんでいたことが関係するのではないかと個人的に思っています。

「悲喜交々」はやはり20年前くらいには「一人の人が代わる代わる悲しみと喜びを感じることだから、入試の合格発表などでいろいろな人について使うのは間違い」という話を聞いた気がします。しかし最近はそういう指摘がほとんどなく、もはや誤用と言えなくなるほど一般化したのか、と思っていました。そんな時に見つかったのが「大辞泉」第2版の補説「『喜ぶ人と悲しむ人が入り乱れる』の意で使うのは誤り」。一方、この意味を付記する「三省堂国語辞典」のような辞書もあり、校閲としては悩みます。

「痺れる」。今回の五輪でも毎日新聞に「百戦錬磨の葛西でも五輪の舞台はしびれる」という文章がありました。この「しびれる」の意味をぴたりと説明する辞書は、なかなか見いだせません。「音楽などに興奮して、うっとりとなる」などの意味を俗用として記す辞書は多いのですが、女性がコンサートで「しびれるわー」などと口にしていたのは昭和時代のことで、今の使い方は明らかに違うと思います。その新しい意味「息づまる」を加えたのが「三省堂国語辞典」第7版。「言葉の変わり目」に敏感なこの辞書の面目躍如といえるでしょう。

言葉の変わり目は、多くスポーツ選手のコメントなどに表れます。単なる間違いなのか、日本語の変化の過程なのかを見極めるのは大変難しいのですが、新聞としてはそのまま載せるかどうか一つ一つ検討して対処しなければなりません。そこがテレビやネットと違うところと思います。
春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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