読めますか? テーマは〈笑い〉です。

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口辺に笑み

答え
こうへんにえみ
(正解率 66%)

「口辺に笑みを漂わせる」などと使う。口辺は「口の辺り」のことだが口そのものではなく、「無表情に近い微笑」で、黒沢明監督の映画「七人の侍」の宮口精二がそれを浮かべていたと野火迅「使ってみたい武士の日本語」(文春文庫)はいう。

(2013年10月07日)

選択肢と回答割合

くちべにえみ 32%
くちへんにえみ 2%
こうへんにえみ 66%


空笑い

答え
そらわらい
(正解率 36%)

作り笑いのこと。民俗学者、柳田国男は日本人の高笑いや空笑いは「社交の一様式」という(岩波文庫「不幸なる芸術・笑の本願」所収「笑の文学の起原」)。

(2013年10月08日)

選択肢と回答割合

うそわらい 15%
からわらい 49%
そらわらい 36%


噴飯物

答え
ふんぱんもの
(正解率 91%)

「噴飯」はばかばかしくて飯を思わず噴き出すように笑うこと。文化庁「国語に関する世論調査」で「噴飯もの」の意味を「腹立たしくて仕方ないこと」と答えた人が49%で、本来の意味とされた「おかしくてたまらないこと」の倍以上だった。しかしその選択肢に違和感を示す声があった。「人の失笑を買うような代物」(集英社国語辞典)が一般的な解釈ではないか。

(2013年10月09日)

選択肢と回答割合

ふきめしもの 3%
ふんぱんぶつ 6%
ふんぱんもの 91%


咲面

答え
えみめん
(正解率 45%)

舞楽の「二の舞」で使われるおじいさんの笑顔をかたどった面のこと。これをつけたおじいさん役と腫(はれ)面をつけたおばあさん役のおかしな舞が「二の舞いを演じる」(同じ失敗をすること)の語源という。咲の字は元来「笑う」ことを表していた。女優、武井咲(えみ)さんの名の読みもその名残だ。

(2013年10月10日)

選択肢と回答割合

えみめん 45%
さきめん 12%
さきおもて 43%


笑内駅

答え
おかしないえき
(正解率 42%)

北秋田市にある秋田内陸縦貫鉄道の駅名。10月15日で開設から50周年。アイヌ語で「川尻に仮小屋のある川」の意味という。ちなみに今年10月14日は体育の日だが「鉄道の日」でもある。

(2013年10月11日)

選択肢と回答割合

おかしないえき 42%
しょうないえき 45%
わらうちえき 13%


◇結果とテーマの解説

(2013年10月20日)

この週は「笑い」。文化庁の「国語に関する世論調査」で「噴飯もの」がクローズアップされたことでこのテーマになりました。

その「噴飯物」が今回最も正解率が高くなりました。意味が問題であり読みはさほど難しくないだろうと思っていましたが、ほぼ予想通りでした。この調査が発表されるたびに「おれも間違って覚えていたよ」「こんなに誤解が多いのか」などの反応が上がるのですが、実は文化庁は「この使い方は間違い」とか「正しい意味」とかいう言葉は使っていません。「本来の意味」などと記しています。ある意味、言葉は変わるものだという前提に立ち、その動向を探っているともいえます。変わるものと割り切りさえすれば、「こちらが本来の使い方」と言われても「自分の使い方は間違っていたのか」と思う必要はないわけです。まあ「噴飯もの=腹立たしい」は今のところ間違いとみなせると思いますが。

しかし、以前から感じていたことですが、国語調査の選択肢は非常に単純化されていて答えにくいものが時々あります。今回の「噴飯もの」もそう。「腹立たしくて仕方がないこと」「おかしくてたまらないこと」という選択肢が用意されました。前者は違うとしても、後者にも違和感があるという声がありました。せめて「ばかばかしくて思わず笑うこと」などにすると、結果も多少変わったのではないでしょうか。(グラフは同調査の結果概要から)

「口辺に笑み」のねた元は「使ってみたい武士の日本語」(野火迅、文春文庫)ですが、柳田国男の「不幸なる芸術・笑の本願」(岩波文庫)でも、武士は「たまにほほえんでも片頰の筋肉を動かすくらいに止(とど)め、平素はまじめでいるのを男らしいとして」いたとあります。「口辺に笑み」はいかにも武士の笑いにふさわしい表現でしょう。

「空笑い」はその「不幸なる芸術・笑の本願」の初めの「笑の文学の起原」に出てきます。岩波文庫ではルビが付いていますが、ないと「そらわらい」か「からわらい」かで迷いますね。正解率は今回最も低くなりました。

「咲面」も低い数字です。「咲」を「えみ」というのは武井咲さんの登場で有名になったと思っていましたが、つい最近もあるイベントで司会者が「さき」と言って武井さんは笑顔で訂正したという話があったようです。「不幸なる芸術・笑の本願」には「女の咲顔(えがお)」という文章もあり、これが発表された1943(昭和18)年にはまだ「咲=えみ」という漢字の読みが生きていたことがうかがえます。出題者が初めて咲面という言葉に出合ったのは、わぐりたかし「地団駄は島根で踏め」(光文社新書)の中での「二の舞」の語源リポートで、咲面が腫面(はれめん)とともに写真入りで紹介されています。なお毎日新聞では「二の舞いを踏む」は以前「二の舞いを演じる」に直すことにしていましたが、現在は必ずしも間違いとはいえないと判断し、この規定はやめています。

「笑内駅」は他と異なり固有名詞ですが、鉄道雑学の世界では有名と思われます。JR根室線「大楽毛(おたのしけ)駅」と双璧をなす「楽しい駅名」ではないでしょうか。それにしても笑っていられないのがJR北海道の不祥事。安全第一の点検をお願いします。いや、記事の品質管理部門である校閲としても「他山の石」として厳しいチェックをしなければなりませんが。
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