読めますか? テーマは〈宮沢賢治〉です。

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狼森

答え
おいのもり
(正解率 35%)

宮沢賢治の童話「狼森と笊(ざる)森、盗(ぬすと)森」に出てくる森の名。小岩井農場の北の四つの森のうち一番南にあるという。この森に出てくる狼は優しく気弱で、行方不明の子たちを捜しに来た人々に「悪く思わないで呉(け)ろ」「うんとご馳走(ちそう)したぞ」と言う。

(2013年09月17日)

選択肢と回答割合

いぬがみもり 28%
おいのもり 35%
のろしもり 36%


苹果

答え
りんご
(正解率 39%)

リンゴは「林檎」とも書くが、賢治作品では「銀河鉄道の夜」など「苹果」の表記が圧倒的に多く使われている。原子朗「宮澤賢治語彙辞典」によると、「『林檎』は、もともと西洋リンゴ輸入前の小粒の和リンゴの総称で、西洋リンゴ(大りんご)の表記は『苹果』であった」。

(2013年09月18日)

選択肢と回答割合

いんが 8%
はっか 53%
りんご 39%


原体剣舞連

答え
はらたいけんばいれん
(正解率 16%)

宮沢賢治の詩の題名。「原体」は岩手県江刺地方の地名。「剣舞」を「けんばい」というときは面をつけ剣を抜いて舞う東北地方の民俗芸能を指す。dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dahという響きから始まる詩は、ほほえましい童話とは別の賢治の「修羅」の一面をうかがわせる。

(2013年09月19日)

選択肢と回答割合

げんたいけんぶれん 71%
げんたいけんまいれん 13%
はらたいけんばいれん 16%


瞋る

答え
いかる
(正解率 27%)

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の中で「欲ハナク/決シテ瞋ラズ/イツモシヅカニワラッテヰル」と使われる。瞋の字は目をむいて怒ることを表す。9月21日は賢治没後80年。

(2013年09月20日)

選択肢と回答割合

いかる 27%
みとる 24%
みはる 49%


◇結果とテーマの解説

(2013年09月29日)

この週は9月21日の没後80年に合わせ「宮沢賢治」がテーマでした。正解率はいずれも40%を割る結果に。「宮沢賢治関連なら余裕」という読者ツイートはありましたが、マニアックすぎる出題だったのでしょうか。

ところできのう最終回のドラマ「あまちゃん」で、BGMに何度も宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」が使われていたのはお気づきでしょうか。岩手つながりで採用されたのかもしれません。このメロディーはいろんなところに用いられ、アニメ「銀河鉄道の夜」(名作です!)でも一瞬流れました。

「狼森」は賢治生前出版の唯一の童話集「注文の多い料理店」の一編「狼森と笊森、盗森」から。それほど有名な童話ではないかもしれませんが、自然と人間との理想的な調和が描かれた美しい作品です。「水のやうにつめたいすきとほる風」などのいかにも賢治らしい文章。オオカミが「悪く思はないで呉(け)ろ。栗(くり)だのきのこだの、うんとご馳走(ちそう)したぞ」と言い(あまちゃんの声で朗読してほしい)、人間たちもお礼に粟餅(あわもち)を置いていくという優しさ。オオカミは実際、人間に危害を加えるだけでなく、農作物を荒らすイノシシやシカなどを「捕らえて食べるオオカミは焼畑地帯ではむしろ益獣であった」と、先日亡くなった民俗学者、谷川健一さんは東北における「狼」の付く地名にからんで記します(岩波新書「続日本の地名」)。

「苹果」は「銀河鉄道の夜」をはじめ賢治作品で何度も見かけます。試みに「青空文庫」で「苹果」を検索するとほとんどが宮沢賢治作品。別の作家と比べ突出しています。賢治の生きた時代でも「苹果」は少数派の表記だったのではないでしょうか。しかし中国語では今も「苹果(ピングオ)」だそうです。

「原体剣舞連」は最も正解率が低くなりました。「原体」も難読ですが「剣舞」を「けんばい」と読ませるなんて地元の人と民俗芸能関係者と賢治マニアしか知らないのでは。ただし毎日新聞用語集では「剣舞(けんぶ)」の注釈としてこの読みを入れています。この詩は難解で、理解するより原始的な情念を感じるしかないと思います(賢治の詩はそういうものも多い)。一節を引きます。

Ho!Ho!Ho!
  むかし達谷の悪路王
  まつくらくらの二里の洞
  わたるは夢と黒夜神
  首は刻まれ漬けられ

「悪路王とは、蝦夷のまつろわぬ民たちの王の名前」で、「賢治自身の修羅の姿に重なるものだった」と川村湊さんは「牛頭天王と蘇民将来伝説」(作品社)で読み解きます。

「瞋る」を読めた人も少なかったのですが、「決して瞋らず」で出題するとあの有名な「雨ニモマケズ」の一節だと気付いて読める人は増えたでしょう。ちなみに「瞋恚(しんい)」は、自分の心に逆らうものを怒り恨むこと。賢治は自分の内なる「修羅」を自覚していたからこそ「決シテ瞋ラズ」と自戒したのかもしれません。詩の最後はご存じの通り「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」。
春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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