読めますか? テーマは〈春の空気〉です。

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答え
もや
(正解率 70%)

大気中の無数の水滴が浮遊し遠方がかすむ現象。春の空の描写で「かすみ」はおなじみの語だが気象用語ではない。靄は気象学上は視程1㌔以上のもの。1㌔未満は霧。

(2013年03月04日)

選択肢と回答割合

あえか 8%
かすみ 22%
もや 70%


朧夜

答え
おぼろよ
(正解率 71%)

月がほのかにかすんで見える夜。「ろうや」とも読む。朧は「月の光がかすかにあるさま」を表す字。唱歌「朧月夜」で知られる。また「おぼろ豆腐」など料理の語でも使われている。

(2013年03月05日)

選択肢と回答割合

おぼろや 28%
おぼろよ 71%
ろうよ 1%


糸遊

答え
いとゆう
(正解率 20%)

かげろうのこと。暖められた空気がゆらゆら立ち上るさまを、糸が遊んでいると見立てた。光の屈折によって起こり、春の季語となっている。「糸遊に結びつきたる煙かな」(芭蕉)

(2013年03月06日)

選択肢と回答割合

いとあそび 16%
いとゆう 20%
しゆ 63%


黄塵万丈

答え
こうじんばんじょう
(正解率 64%)

土煙が高く舞い上がり空が黄色に見えるさま。黄塵は「煩わしい世間の俗事」という意味の比喩としても用いられる。万丈は非常に高いこと。

(2013年03月07日)

選択肢と回答割合

おうじんばんじょう 30%
こうじんばんじょう 64%
こうじんまんじょう 6%


霾る

答え
つちふる
(正解率 48%)

「黄砂」と同義で、主に俳句で使われる。中国大陸で巻き上げられた砂が風に乗って日本に降ってくること。霾(ばい)の字に「土降る」の読みをあてた。今年は微小粒子状物質「PM2・5」も襲来している。

(2013年03月08日)

選択肢と回答割合

かげる 21%
つちふる 48%
ぬかる 30%


◇結果とテーマの解説

(2013年03月17日)

この週は「春の空気」がテーマ。というと、春のうららかで暖かい空気に関する言葉を出したいところですが、昨今はスギ花粉に黄砂、PM2.5と、憂鬱になるものが多く含まれます。

全くの偶然ですが、このテーマの終わった直後の3月10日、関東はびっくりするほどの「黄塵万丈」に見舞われました=写真・竹内幹撮影。「絶対、黄砂と思った」という声が出題者の周辺でも聞かれましたが、「煙霧」と発表されました。ネットでは「マスコミは黄砂という真実を隠蔽(いんぺい)している」という言辞が飛び交ったそうです。

この排外的な空気には黄砂やPM2.5よりも危険なものを感じますが、それはおくとして、黄砂のせいにしてしまう背景には、「煙霧」という言葉が黄砂ほど知られていないという理解度の差があるのではないでしょうか。

以前この「読めますか?」で「黄砂」を出題したところ正解率は94%、「煙霧」は84%でした。どちらも高率ですが、煙霧が音読みでは「えんむ」しかありえないのに対し、黄砂は「こうさ」か「おうさ」か知らなければ迷うと思われるので、10ポイントの差以上に「聞いたことがある度」の差があるといえます。データベースでの頻度を比較しても、「黄砂」が「煙霧」の10倍以上現れます。

言葉自体よく知らないところにもってきて、あの近くも見えなくなるほどの土煙に直面してみると、「煙霧」という字面が生やさしく感じられ、気象庁やマスコミの発表さえも「そんなかわいいものじゃないだろう」という不信感を持った人が多かったのではないでしょうか。

さて今回の正解率です。最も高かったのが「朧夜」。しかし誤答「おぼろや」が28%にもなったのはこの語がさほど知られていないせいでしょう。「朧」より「夜」の方が「よ」か「や」かで迷い、難しいことがうかがえます。

次に「靄」「黄塵万丈」「霾る」「糸遊」の順。この週のうち字そのものは「糸遊」が最も易しいはずなのに、逆に最も読みにくいという結果が出ました。俳句以外で使われないことに加え、訓読みと音読みの「湯桶(ゆとう)読み」が意外だったのでしょう。しかし、「いと」の後に「ゆう」という音読みを使うことで、ゆらめいているという語感が生まれます。すばらしい言語感覚ではありませんか。ツイッターでも「美しい日本語」と書いてくださった方がいるように、もっと知られてよい言葉だと思います。ちなみに、ほぼ同じ意味の「かげろう」とその古語「かぎろひ」も美しい言葉です。漢字だと「陽炎」ですが、「ようえん」と読むと暑苦しい感じでしっくりきません。

「霾る」などもそうですが、中国から来た漢字を用いつつ、日本人の感覚に当てはめて伝えていった先人の努力のうえに、私たちは言語生活を営んでいます。漢字にいろんな読みがあることは厄介ですが、そう考えると、厄介さも含めていとおしく感じられませんか。
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