読めますか? テーマは〈体〉です。

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痩せ肉

答え
やせじし
(正解率 60%)

やせた体のこと。反対語は「太り肉」。森鷗外「高瀬舟」に「この痩肉の、色の蒼(あお)白い喜助」という用例がある。なお「痩せぎす」の「ぎす」は語源がわからず、「肉」に当てる例も見当たらない。

(2012年10月09日)

選択肢と回答割合

やせがた 10%
やせぎす 29%
やせじし 60%


体する

答え
たいする
(正解率 16%)

心にとめて守ること。「首相の意を体する」などと使う。2010年ノーベル化学賞受賞者の鈴木章氏は文化勲章受章時「この栄誉を体し」一層精進すると述べた。

(2012年10月10日)

選択肢と回答割合

からだする 1%
たいする 16%
ていする 83%


胸椎

答え
きょうつい
(正解率 94%)

脊椎(せきつい)の一部。タレントのスギちゃんは9月、番組収録中に胸椎骨折の重傷を負ったが、このほどコルセットを付けて復帰した。椎は2010年に常用漢字に追加されている。

(2012年10月11日)

選択肢と回答割合

きょうすい 6%
きょうつい 94%
むなしい 0%


答え
あご
(正解率 22%)

「顎」が2010年に常用漢字になったが、元は鼻筋の通ったさまを表した字という。日本でいう「あご」を指す字は本来「顋」だった。11月3、4日に秀明大学で初公開される芥川龍之介の短編「鼻」の完成原稿では、冒頭で「顋」が使われている。

(2012年10月12日)

選択肢と回答割合

あご 22%
かんばせ 17%
こめかみ 61%


◇結果とテーマの解説

(2012年10月21日)

この週は体育の日にちなみ「体」がテーマでしたが、「ちなみ」というほどには体育とは関係ない言葉が並びました。

「体する」なんて、「体」という漢字を使っているだけで体育どころか「からだ」そのものとも関係ありません。解説もノーベル化学賞の鈴木章さんについてでしたからね。しかし、それを書いたのは山中伸弥さんの受賞が決まる直前でしたから、出題者もびっくりの絶妙のタイミングになりました。

その「体する」の正解率はわずか16%。谷崎潤一郎の「文章読本」には「むずかしい文字よりはやさしい文字の方が却(かえ)って間違えられる」とありますが、それを体現する結果となりました。「体」は「てい」とも読み、「ていする」は「呈する」という同音異義語があることが紛らわしさを生んだと思われます。

これは漢字そのものは平易なのに読みが難しい例。これに対し正解率22%の「顋」は漢字そのものが難しい例です。なるべくこういう見たこともないような字は問題に出さないようにしているのですが、今回は「あご」の漢字についての偶然がきっかけで披露することとなりました。

「常用漢字にない漢字の辞典」(杉本つとむ、1986年刊)では「顎は、実をいうと“あご”の意味ではない。どこでどう間違ったか、元来、鼻筋の高くとおったところを顎というのだ」としたうえで「顋」こそ「あご」と一致するとあります。これを読んで「ほお」と思った直後、芥川龍之介「鼻」の完成原稿の写真が毎日新聞に載り、はっきりと「顋」の字が認められたのです。本来の字を用いるところはさすが芥川というべきでしょうか。

「痩せ肉」について「太り肉の方が使われる」とツイッターで反応をいただきました。まさしくその通りで、解説には反対語は太り肉と書きましたが、太り肉に対応する常用語は「痩せぎす」ではないかとも思います。それで「やせぎす」という選択肢を仕込んだのですが、ひっかかる人はそれなりにいたといえるでしょう。

「胸椎」は今回最も正解率が高い語。3択クイズは選択肢の設定によって正解率が上下するものですが、これは読み間違えようがなかったようです。「むなしい」を無理やり仕立てましたが、0%と出題者にはちょっとむなしい結果でした。

それではお体に気をつけて。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

当サイトの「読めますか?」をもとに、季節にちなむ言葉を厳選し加筆しました。

さまざまな文学作品が築いてきた味わい深い日本語の一端を紹介しています。

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