読めますか? テーマは〈地獄〉です。

『地獄草紙』断簡 咩声地獄(シアトル美術館蔵)に描かれる馬頭羅刹
無間地獄
(2012年08月06日)
選択肢と回答割合
むかんじごく | 9% |
むけんじごく | 79% |
むまじごく | 13% |
奪衣婆
(2012年08月07日)
選択肢と回答割合
だいばあ | 11% |
だついば | 22% |
だつえば | 67% |
冥官
(2012年08月08日)
選択肢と回答割合
えんかん | 2% |
みょうかん | 43% |
めいかん | 55% |
闇穴道
(2012年08月09日)
選択肢と回答割合
あんけつどう | 63% |
ぎょうけつどう | 27% |
やみあなみち | 10% |
牛頭馬頭
(2012年08月10日)
選択肢と回答割合
ぎゅうとうばとう | 29% |
ごとうまとう | 6% |
ごずめず | 65% |
◇結果とテーマの解説
(2012年08月19日)
この週のテーマは「地獄」。
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by dishhh |
そのきっかけは東村アキコさんの「ママはテンパリスト」という子育て漫画で、子供にこの絵本を見せたらおびえて悪さをしなくなったということ。「いい子にしてないと地獄に落ちるよ」とこの絵本を見せることがしつけになるとテレビなどで取り上げられるようになり、人気に火がついたとか。東村アキコさんの作品はこの漢字クイズでも以前「海月」の解説で取り上げましたが、こんなに影響力を持った人とは知りませんでした。
絵本「地獄」にはこの週で取り上げた「牛頭馬頭」も「奪衣婆」も「無間地獄」も出てきます。奪衣婆のページあたりからかなり残酷な絵が続きます。ここに掲げた画像は「東京大仏」のある寺として知られる東京都板橋区・乗蓮寺の奪衣婆像です。庭にあるので気軽に拝観できます。
今回最も正解率が低かったのは「冥官」。「冥府」が「めいふ」だから「めいかん」と読みそうですが、実は「冥府」には「みょうふ」という読みもあります。それに対し「冥官」は「みょうかん」の読みしか見あたりませんでした。
なお「冥官」の解説で触れたのは芥川龍之介「地獄変」ですが、「平家物語」にも用例が見えます。「牛頭馬頭」「闇穴道」もそうですが、芥川作品と「平家」は地獄関連で共通項が多いようです。というより、地獄のイメージは昔から日本人に共通してあって、芥川作品ではたまたまそれが顕著に表れた結果、共通する言葉が多くなったというべきでしょう。芥川には「孤独地獄」という短編や「人生は地獄よりも地獄的である」という「侏儒の言葉」の一節もあります。なぜか地獄に引かれていたのです。
しかし、彼は地獄の描写の中で最も美しい場面をも提示しています。「杜子春」で、仙人になるため声を出すことを禁じられた主人公が、責め苦に苦しむ母親に思わず駆け寄り「お母さん」と叫んで涙を落とす場面。絵本「地獄」で子供をおびえさせてしつけるのもいいのですが、こういう心にしみる名作も読み聞かせてほしいですね。