読めますか? テーマは〈地獄〉です。

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無間地獄

答え
むけんじごく
(正解率 79%)

「むげんじごく」とも読む。間断なく責め苦を受ける地獄。阿鼻(あび)地獄ともいう。何の罪もない市民を「阿鼻叫喚の地獄」(井伏鱒二「黒い雨」)にさらしたのが、広島、長崎に落とされた原爆だった。8月6日は「原爆の日」。

(2012年08月06日)

選択肢と回答割合

むかんじごく 9%
むけんじごく 79%
むまじごく 13%


奪衣婆

答え
だつえば
(正解率 67%)

「脱衣婆」などとも書く。三途(さんず)の川のほとりで死人の衣服を剥ぎ取る鬼のこと。その服を木にかけ、生前の罪の重さを量る。それによって地獄か極楽かが決められるという。閻魔(えんま)像の近くに奪衣婆の像を置く寺は少なくない。

(2012年08月07日)

選択肢と回答割合

だいばあ 11%
だついば 22%
だつえば 67%


冥官

答え
みょうかん
(正解率 43%)

冥府の官人、つまりあの世、特に地獄の役人のこと。冥は「めい」とも読むが、「みょう」は奈良時代以前からある古い読み方で、仏教的な用法が多い。芥川龍之介「地獄変」で地獄の絵に描かれたものとして出る。

(2012年08月08日)

選択肢と回答割合

えんかん 2%
みょうかん 43%
めいかん 55%


闇穴道

答え
あんけつどう
(正解率 63%)

「暗穴道」とも書く。「平家物語」では重罪人が通る暗い道という。芥川龍之介「杜子春(とししゅん)」にも出てくる。この世と地獄との間にある冷たい風の吹く道。芥川の有名な作品にはなぜか地獄の描写が多い。「蜘蛛の糸」もそうだ。今年は芥川生誕120年。江戸東京博物館では8月11~15日に企画展がある。

(2012年08月09日)

選択肢と回答割合

あんけつどう 63%
ぎょうけつどう 27%
やみあなみち 10%


牛頭馬頭

答え
ごずめず
(正解率 65%)

頭が牛や馬の形をした地獄の鬼。「平家物語」では火の燃える車で平清盛を迎えにくるという夢を妻の時子が見る。車の前には「無」という札があり、清盛は無間地獄に落とされることが宣告される。芥川龍之介「地獄変」にも出てくる。

(2012年08月10日)

選択肢と回答割合

ぎゅうとうばとう 29%
ごとうまとう 6%
ごずめず 65%


◇結果とテーマの解説

(2012年08月19日)

 この週のテーマは「地獄」。

by dishhh
「地獄」という題の絵本が売れていること、ご存じでしょうか。書店の絵本コーナーに限らず入り口の目立つ位置に平積みにするところも少なくないようです。生々しい地獄の情景を描いたこの絵本、1980年発刊ですが、今年突然ちょっとしたブームになりました。

そのきっかけは東村アキコさんの「ママはテンパリスト」という子育て漫画で、子供にこの絵本を見せたらおびえて悪さをしなくなったということ。「いい子にしてないと地獄に落ちるよ」とこの絵本を見せることがしつけになるとテレビなどで取り上げられるようになり、人気に火がついたとか。東村アキコさんの作品はこの漢字クイズでも以前「海月」の解説で取り上げましたが、こんなに影響力を持った人とは知りませんでした。

絵本「地獄」にはこの週で取り上げた「牛頭馬頭」も「奪衣婆」も「無間地獄」も出てきます。奪衣婆のページあたりからかなり残酷な絵が続きます。ここに掲げた画像は「東京大仏」のある寺として知られる東京都板橋区・乗蓮寺の奪衣婆像です。庭にあるので気軽に拝観できます。

今回最も正解率が低かったのは「冥官」。「冥府」が「めいふ」だから「めいかん」と読みそうですが、実は「冥府」には「みょうふ」という読みもあります。それに対し「冥官」は「みょうかん」の読みしか見あたりませんでした。

なお「冥官」の解説で触れたのは芥川龍之介「地獄変」ですが、「平家物語」にも用例が見えます。「牛頭馬頭」「闇穴道」もそうですが、芥川作品と「平家」は地獄関連で共通項が多いようです。というより、地獄のイメージは昔から日本人に共通してあって、芥川作品ではたまたまそれが顕著に表れた結果、共通する言葉が多くなったというべきでしょう。芥川には「孤独地獄」という短編や「人生は地獄よりも地獄的である」という「侏儒の言葉」の一節もあります。なぜか地獄に引かれていたのです。

しかし、彼は地獄の描写の中で最も美しい場面をも提示しています。「杜子春」で、仙人になるため声を出すことを禁じられた主人公が、責め苦に苦しむ母親に思わず駆け寄り「お母さん」と叫んで涙を落とす場面。絵本「地獄」で子供をおびえさせてしつけるのもいいのですが、こういう心にしみる名作も読み聞かせてほしいですね。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

当サイトの「読めますか?」をもとに、季節にちなむ言葉を厳選し加筆しました。

さまざまな文学作品が築いてきた味わい深い日本語の一端を紹介しています。

美しい季節の言葉を味わいたい方、間違えずに使いたい方におすすめです。

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