読めますか? テーマは〈建物〉です。

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答え
いらか
(正解率 89%)

切り妻屋根の頂上の部分。また、瓦屋根そのもののこと。童謡「鯉(こい)のぼり」の歌い出し「甍の波と雲の波」や井上靖の小説「天平の甍」で知られる。

(2012年05月28日)

選択肢と回答割合

いらか 89%
おにがわら 8%
しゃちほこ 3%


銀傘

答え
ぎんさん
(正解率 79%)

アルミニウムなどで造った銀色の屋根。特に甲子園球場の内野席を覆う屋根を指す。しかし手近の辞書では、この語を載せるのは「三省堂国語辞典」しか見あたらない。 甲子園の銀傘には太陽光発電設備もある。

(2012年05月29日)

選択肢と回答割合

ぎんがさ 17%
ぎんさん 79%
ぎんしゃり 4%


主屋

答え
しゅおく
(正解率 69%)

「おもや」とも読むが、その語は普通「母屋」と書かれる。屋敷の中心の建物のこと。このほど、京都大学が所有する「清風荘」について主屋など計12棟が国の重要文化財になることが決まった。主屋(しゅおく)は辞書に見あたらないが、文化庁のデータベースでの読みは、今回に限らず「しゅおく」としている。

(2012年05月30日)

選択肢と回答割合

あるじや 14%
しゅおく 69%
しゅや 17%


鴟尾

答え
しび
(正解率 66%)

「とびのお」とも読む。古代の宮殿や寺院などの屋根の上に付ける魚の尾の形などをした飾り。しゃちほこの原形になった。国の文化審議会は唐招提寺金堂の旧鴟尾を国宝に指定するよう文部科学相に答申した。

(2012年05月31日)

選択肢と回答割合

しび 66%
ていび 23%
とうび 11%


屋上屋を架す

答え
おくじょうおくをかす
(正解率 44%)

屋根の上に屋根を重ねることから、余計なことをする意味の慣用句に。「屋下に屋を架す」が元の形。「屋上屋を重ねる」は広辞苑が第6版から載せるなど認める辞書もあるが、少数にとどまる。「おくじょうや」と言う人もいるが、これはさすがに載せる辞書はないようだ。

(2012年06月01日)

選択肢と回答割合

おくじょうおくをかす 44%
おくじょうやをかす 44%
やがみやをかす 12%


◇結果とテーマの解説

(2012年06月10日)

この週のテーマは「建物」。

各週のテーマは偶然の重なりで決まることが多いのですが、この週もそうです。一つのきっかけは文化審議会の国宝・重要文化財指定答申の発表に難しそうな建物関連語が含まれていたこと。もう一つは、仕事の話で同僚が「屋上屋」を「おくじょうや」と言ったことです。すぐ訂正してあげるのが親切なのかもしれませんが、出題者は「いや、もしかしたらそういう読みもあるのかもしれないぞ」と思って、後で辞書で確認。そういう読みがなさそうだと分かっても本人に言わず、「これは建物のテーマにふさわしい」と漢字クイズに出したわけです。嫌な出題者ですね。

それはともかく、「おくじょうや」という誤答が正解と同数という結果には、同僚と同じ誤解をしている人の多さを思い知らされました。もしかしたらいずれ、その読みも辞書に載るかもしれません。

というのも、解説にも書いたように広辞苑で「屋上屋を重ねる」という表現を認めた事実があるからです。「毎日新聞用語集」をはじめ誤用を示す本では、多くの場合「屋上屋を重ねる」は間違いで「屋上屋を架す」に直すべきだとされています。しかし実は、大本の表現は「屋下に屋を架す」でした。出典は中国の「顔氏家訓」。日本でも長く「屋下に屋を架す」が使われていたそうです。「屋上屋を架す」が歴史も権威もある言い方でないのなら、そのバリエーションとして「屋上屋を重ねる」を認める立場だってありうるわけです。

表現にそういうぶれがあるなら、読みだって変わっていき、やがては「おくじょうや」という読みの方が多くなってそちらが正しいとされていく日が来ないとも限りません。それが望ましいと言っているわけではないし、校閲の仕事で「おくじょうや」なんてルビをふった原稿があればもちろん直します。ただ漢字には、「捏造」は本来「でつぞう」だったのに「ねつぞう」という「慣用読み」が辞書に載るなどの例が少なくありません。「おくじょうや」が将来そうならないとは誰も言えないと思います。それを日本語の変化ととらえるか、日本語の乱れと取るかは難しい。校閲の仕事はどちらかといえば保守的に規制する立場なのですが、辞書に先を越される形でいつのまにか容認されてしまうこともあるのです。

辞書といえば「しゅおく=主屋」や「銀傘」が辞書になかなか見いだせないことも今回の「発見」でした。新聞ではそれなりに出てくるのですが……。「辞書の言葉と新聞の言葉」には実は深い溝があるのかもしれません。

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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