読めますか? テーマは〈石川啄木〉です。
啄木鳥
答え
きつつき(正解率 93%)「けら」とも読む。啄の字は音読み「タク」で、鳥がくちばしでつついて餌をとる意。石川啄木(本名・石川一)は18歳ごろから啄木の号を用いるようになった。啄木には「啄木鳥に」という題の詩もある。2012年は啄木没後100年。
(2012年04月09日)
選択肢と回答割合
きつつき | 93% |
くまげら | 5% |
つぐみ | 2% |
猶
答え
なお(正解率 66%)「尚」とも書く。相変わらずという意味。石川啄木の最も有名な歌の一つ「はたらけど/はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る」などに使われている。
(2012年04月10日)
選択肢と回答割合
たる | 8% |
なお | 66% |
またたび | 26% |
為事
答え
しごと(正解率 34%)現在「仕事」と書くが「仕」は当て字であり、明治時代にはこの表記が少なくなかった。石川啄木は東京朝日新聞の校正をしていたころ「自分の机の上に、一つ済めば又一つという風に、後から後からと為事の集って来る時ほど、私の心臓の愉快に鼓動している時はない」と記している。生活のためというより、純粋に校正が好きだったのだろうか。
(2012年04月11日)
選択肢と回答割合
いじ | 26% |
しごと | 34% |
ためごと | 40% |
閲する
答え
けみする(正解率 63%)「えっする」とも。よく調べること。「検閲」「校閲」の閲である。「けみ」は「検」の転じたものらしい。石川啄木は歌集「一握の砂」の序文で「この集の見本刷を予の閲したるは汝(なんじ)の火葬の夜なりき」と記した。汝とは亡児のこと。
(2012年04月12日)
選択肢と回答割合
かんする | 10% |
けみする | 63% |
よみする | 26% |
夭折
答え
ようせつ(正解率 68%)若い時に死ぬこと。夭逝(ようせい)、早世・早逝(ともに「そうせい」)も同じ意味。石川啄木は100年前の1912年4月13日、26歳(数えで27歳)で没した。親交のあった若山牧水が臨終に居合わせた。
(2012年04月13日)
選択肢と回答割合
そうせい | 4% |
ようせい | 28% |
ようせつ | 68% |
◇結果とテーマの解説
(2012年04月21日)
この週のテーマは4月13日の没後100年に合わせ「石川啄木」でした。
彼の短歌の中からいくつか選ぼうと思っていたのですが、今では使われない当て字を除くと、さほど難しい漢字は使われていないことに気づきました。啄木の歌が今でも愛されている理由は、このあたりにもありそうです。
結局、短歌から選んだのは「猶」のみ。「はたらけど/はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る」からです。今では「尚」を使うことが多いせいか、3人に1人は正解できませんでした。
「啄木鳥」はもちろん啄木の号にひっかけた問題。鷗外、子規、暮鳥など、昔の文学者の号には鳥にちなむものが目立ちますね。
そして短命の人が多い。「夭折」はよく漢字の読みの問題になるのですが、この3択に関する限りでは「ようせい」にひっかかった人が28%と少なくありませんでした。同じ意味の「夭逝」と紛らわしかったのでしょう。
「閲する」は校閲関係者なら読めてしかるべきでしょうが、たしか出題者も校閲をやるようになって初めて覚えた読みのような……。
この週で一番難しかったのは「為事」。なるべく難問奇問は避けるようにしていますが、啄木が朝日新聞で校正の仕事をしていたことを解説文に書くために出題したようなものです。現在「仕事」としか書かないので読めなくても全く問題ありません。
ところで、啄木の校正の仕事ぶりまでは調べていませんが、二葉亭四迷全集の校正を任されたくらいですので、一目置かれていたのでしょう。
出題者の個人的な回想ですが、啄木が校正の仕事をしていたことが新聞校閲を職業に選んだきっかけの一つでした。朝日新聞は落ちましたけどね。
これから新聞社などに入社試験を受ける方がいらしたら、頑張ってください。筆記試験の漢字の問題の勉強にもなるよう、出題者も頑張ります。
では最後に、啄木の短歌から。
こころよく/我にはたらく仕事あれ/それを仕遂げて死なむと思ふ