「ラグい」については「分からない」とする人が3分の2を占めました。ただし「意味は分かる」とする人が3分の1というのは決して少なくはありません。コロナ禍によりオンライン化が進む中で広まりつつあることばと言えるかもしれません。

「ラグい」ということばについて伺いました。

「分からない」が3分の2占める

「ラグい」――意味は分かりますか?
分かるし、使う 18%
意味は分かるが、自分では使わない 15.1%
分からない 66.9%

 

「分からない」とする人が3分の2を占めました。ただし、「意味は分かる」とする人が合わせて3分の1、「分かるし、使う」とする人も2割弱と一定数を占めるという結果になりました。

通信で生じる「ずれ」を表す語

「ラグい」とは英語の「ラグ」(lag)を形容詞化したもので、辞書には載っていません。語源の「ラグ」は「遅れ。ずれ」(大辞泉2版)のこと。「互いに関連する事柄の間に起こる、時間のずれ」(同)を意味する「タイムラグ」という形で用いられることが多く、「直しが反映されるのにタイムラグがある」などと使います。

「ラグ」から派生した「ラグい」も「時間のずれがある」という意味で使われます。インターネット回線の混雑などで通信が遅れ、画面の動きが遅くなったり固まったりしたときに使い、これまでは主にオンラインゲームの世界で用いられていたようです。

「YAHOO!知恵袋」で2005年に「ラグい」の意味を尋ねる質問が見受けられたことから、ことばとしては15年以上前から存在していたと考えられます。その後、2020年からの新型コロナウイルス禍でウェブ会議などが普及したことにより、それらの画面の動きの遅れにも「ラグい」を使うなど使用の幅が広がったといえます。

増えている? 外来語由来の形容詞

これまで外来語が形容詞化したことばは「エロい」「グロい」「ナウい」の3語くらいだといわれており、形容詞の形になるのは珍しいことでした。しかし、ここ最近は増えてきているようです。

2016年、「三省堂辞書を編む人が選ぶ『今年の新語』」の第2位に「エモい」が選ばれました。「エモい」はすでに辞書にも採用されており、2019年に改訂された大辞林4版には「<感動を意味するエモーション(emotion)から>(主に若者言葉で)心に響く。感動的である」とあります。8年ぶりに改訂された三省堂国語辞典8版(昨年12月17日発売)にも「心がゆさぶられる感じだ」という意味で収録されました。出題者の周りでもよく聞くようになりましたし、複数の辞書に採録されたことからも普及が進んでいるといえるでしょう。

また「今年の新語2021」の大賞には「チルい」が選ばれました。「チルアウト」(chill out、落ち着くこと。気を静めること=デジタル大辞泉)の「チル」を形容詞化したもので、「気持ちが落ちついてくつろげるようす」などの意で使われるようです。三国8版には「チル」の見出し語で「のんびりとくつろぐこと。(中略)<形容詞化して『チルい』、動詞化して『チルってる』とも>」と掲載されました。出題者は耳にしたことがある、という程度で意味は知りませんでしたが、今後定着するのか注目されます。

「ラグい」についても「今年の新語2021」の候補に挙がりましたが、選出されませんでした。ことばとしては以前から存在しているため「今年の新語」とは言いにくい、というのが選ばれなかった理由のようです。

普及の途上にあることばか

今回のアンケートでは「分からない」が多数を占めたことから広く浸透しているとまではいえないものの、出題者の予想よりは「分かるし、使う」人が多いと感じました。ちなみに20~30代の同僚に「ラグい」について意味が分かるかどうか質問してみたところ、約4割が「分かる」と答えました。

1年目の社員2人はどちらも「分かるし、自分でも使う」ようで、「ラグってる」とも言うとのこと。出題者はコロナ禍で動画サイトを見る機会が増え、ゲームの実況をする動画の中で耳にしたのですが、同じようなシチュエーションで知ったという人もちらほらいました。アンケートでも「意味は分かる」という人が一定数いたことを考えると、普及の途上にあるともいえそうです。

(2022年01月07日)

質問に際して

インターネット回線の混雑などで起こる「ラグ」。通信が遅れ、画面の動きが遅くなったり動かなくなったりする現象です。画面が固まった時に「ラグがあるね」などと使うのですが、最近では「ラグい」と形容詞化され、「回線が遅い」などの意味で使われることがあるようです。▲新型コロナウイルス禍でテレワークやオンライン授業が推進され、ウェブ会議システムを利用する機会も増えました。出題者は会社の会議で利用しているだけでなく、今でも遠方の友人と定期的に「オンライン飲み会」を開いて交流を深めています。そんな中で気になるのが「ラグ」。発生すると「ラグい」と言いたくなる気持ちも分かります。▲特にオンラインゲームの世界では以前からよく使われている語のようですが、ウェブ会議などが普及した今、どれくらい広まっているのかうかがってみたいと思います。

(2021年12月16日)

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