「違和感を感じる」という表現に「違和感なし」とした人は2割に満たず、書き言葉に関していえば8割超が「違和感あり」と回答しました。「重言ではあるがおかしくはない」との考え方も説得力がありますが、文章では避ける方がよさそうです。

「違和感を感じる」という表現に違和感があるか伺いました。

8割以上は「違和感あり」

「違和感を感じる」という表現に違和感はありますか?
違和感はない 16.4%
話し言葉ならよいが、書き言葉だと違和感あり 42.1%
話し言葉でも書き言葉でも違和感あり 41.4%

 

「違和感はない」は2割に満たず、書き言葉に関していえば8割以上が「違和感あり」と回答しました。「感」の重なりが気になるという人が予想以上に多いという結果となりました。

「おかしくない」とする辞書も

機械的に「違和感がある」もしくは「違和感を覚える」にするというルールを作ってしまえば楽かもしれません。しかし簡単にはその措置に踏み切れない理由を並べ立ててみましょう。

明鏡国語辞典3版には「『違和感を感じる』は、重言だが広く使う」とあります。明鏡には「重言のいろいろ」というコーナーがありますが、「違和感を感じる」は「『不適切な重言』ではないもの」という区分に入っています。重言であることは認めるけれども、表現としてはおかしくないという立場です。

明鏡国語辞典3版から

三省堂国語辞典8版では「『違和感を感じる』は重言とされるが、『快感を感じる』など、同様の言い方は昔からふつうに使われる。『違和感を覚える』とする方法もあるが、意味は同じ」と説明しています。

用語担当者の間でも議論に

2021年11月に開催された日本新聞協会の新聞用語懇談会でも同様の意見が出ました。「罪悪感を感じる」「危機感が感じられない」といった表現でも「感」は重なっているのにあまり問題とされず、「違和感を感じる」だけがやり玉に挙げられている▽「感じる」と「覚える」で意味が変わるわけではない以上、「違和感を覚える」に直すのは小手先のその場しのぎに過ぎない――。

どうでしょう。「違和感を感じる」は全て「違和感を覚える」「違和感がある」に直してしまえ、というのはためらわれませんか。

「理屈ではそうだとしても、やっぱりくどい」という人もいるでしょう。安心してください。実際にアンケートでは多くの人がそう感じていますし、新聞・通信社の中には「違和感を感じる」を使わないようにしているという社も一定数あります。

文章では避ける方がよさそう

文化庁の文化審議会国語分科会が2021年に出した報告「新しい『公用文作成の要領』に向けて」の中でも、「違和感を感じる」は「違和感を覚える、違和感がある」に直すように例示しています。ただしこれは「冗長さを避ける」という項目の中で、「むやみに用いないようにする」と説明されているものです。誤った表現ではないけれども、冗長であるため公用文にはなじまないというわけです。

公用文に限らず、他人に見せる文章で「違和感を感じる」を使うと「冗長だな、洗練された文章ではないな」と思われてしまうかもしれません。読者になるべく違和感を与えないことを目指す校閲記者としては、今回のアンケートを踏まえ、「違和感を感じる」は基本的に避けたほうがよさそうです。ただし「これは誤用だ! 使ってはいけない!」とは断定しない。それぐらいのスタンスが妥当ではないかと感じます。

(2022年01月04日)



質問に際して

後で後悔する、炎天下の下、被害を被る――。この三つのように、同じ漢字が繰り返される重複表現は多くあります。毎日新聞用語集ではこういった重言の例を挙げて、避けるように注意喚起しています。▲上に挙げた例に限らず、校閲というものは、同じ漢字が近くに複数並んでいるとどうも気になってしまうのです。「違和感を感じる」は毎日新聞用語集には掲載されていませんが、校閲記者の間でも直すべきなのか意見が分かれる表現です。ある新聞社では以前「違和感を感じる」を使わないというルールを決めたものの、その後撤廃したそうです。▲文字通り「違和感」を「感じて」いるのだから全くおかしくない、直す必要はないという考え方がある一方、「違和感を覚える」「違和感がある」などにしてしまえば同じ漢字の繰り返しを避けられて読者に違和感を持たれにくい、という意見も。はっきり結論を出すのが難しい問題ですが、アンケートの結果次第では、今後の我々の「直す/直さない」の判断の指針ができるかもしれません。

(2021年12月13日)

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