足の親指の隣の指を「人さし指」と呼ぶことをどう感じるかは、「問題ない」が「おかしい」の2倍という結果に。足の指の呼び方は手の指からの類推で考えられており、実際に人をさすことがないとしても「人さし指」で通用すると言えそうです。

足の第2指を「人さし指」と呼んでよいと思うか伺いました。

「問題ない」が「おかしい」の2倍

足のこの指、「人さし指」と呼んでよいでしょうか?
問題ない 67%
おかしい 33%

 

「問題ない」が「おかしい」の2倍程度という結果となりました。何の憂いもなく「足の人さし指」を使ってよいと断言できるほどではありませんが、ひとまず多くの人は「ああ、あの指のことね」とすぐ分かってくれそうです。

足の第4指は「薬指」?

回答時の解説では、「親指」は手足のどちらにも使われると書きました。中指は「五本の指のまんなかの指」、小指は「手足にある、一番外側の、一番小さい指」(いずれも岩波国語辞典8版)で、やはり手にも足にも使えます。対して人さし指は元々「人を指し示す指」のことで、手の指だとする辞書が目立ちます。

では薬指はどうか。同辞典には「手の中指と小指との間の指」とあり、人さし指同様に「手の」という限定がついています。ちなみに薬指という名前の由来は、「塗り薬を付けるのに使ったことからなどの説がある」(新明解国語辞典8版)そうです。他にも薬を水に溶かしたからだとか、薬を混ぜるのに使ったからだとか。薬指には呪術的な力があると考えられていたようですが、それと関係があるのでしょうか。人さし指の方がやりやすいと思うのですが……。

それはともかく、足について小指の隣の指を「薬指」と呼ばない方がよいのか。足で薬を塗ったり混ぜたりすることはまずないでしょう。しかし、岩国以外の多くの辞書では「中指と小指の間の指」(新明解)などと手に限定していません。国語辞典では、薬指は人さし指ほど「手に限る」という意識が強くはないようです。

足の指の呼称は手の指からの類推

そもそも「指」といったとき、足ではなく手の指を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。それは普段、我々が足の指より手の指を圧倒的に多く使うから当然です。個々の足の指を意識するのは、マメができたときや、机の脚にぶつけて泣くほど痛いときなど限られた場面だけです。このように意識される機会が少ないからこそ、足の第2指や第4指には、手の指における「人さし指」「薬指」のような特別な名前が付かなかったとも言えるでしょう。

足の指を表す漢字としては「趾」があります。「外反母趾(ぼし)」に使われる字ですね。「止」の部分があしゆびの形なのだそうです(白川静「字統」)。医学大辞典(医学書院)にも「趾」という項目があり「足指」と説明されていますが、「指」の項目を見ると「足の場合は母指(趾)、第2~5指という」とのこと。足だから「趾」を使わねばならない、というわけではありません。漢和辞典を見ても、手へんの「指」について「手足の指」という説明が付いています。もちろん基本的には、「指は肉を執って食すべきものであった」(白川静「字通」)というように「指」といえば手の指だったのですが、それを足の指に拡張して使うのは自然だということでしょう。

そうだとすれば、辞書が「人さし指」を手の指だと限定しているとしても、その呼び方を拡張して「足の人さし指」と呼ぶことにそれほど不都合はないのではと考えます。明鏡国語辞典3版では、指の位置から「足の人差し指」などという、と説明していますし、類推に無理はないでしょう。アンケートでも問題ないとする人が多数派でした。語源がこうだから、などといちいち考えることはなかったのかもしれません。

正確を期するなら書き方に工夫を

ちなみに毎日新聞の過去記事では、足の指の付け根部分に炎症が起きる「モートン病」について医師が解説する記事で「足の人さし指に当たる第2指」のような表現も見つかりました。医学的な話をする場合など、正確に記したほうがよい場面では、こういった書き方も選択肢の一つになりそうです。

(2021年10月22日)

質問に際して

今年の東京パラリンピック、アーチェリーでは両腕のないマット・スタッツマン選手(米国)の超人的な技が注目されました。毎日新聞の記事いわく、「右足の親指と人さし指の間に矢をはさむ。弓にセットすると、右肩付近に固定した器具に弦を引っかけ、後方に力を加えて矢を放つ」――。▲ネット上の動画で実際にそのすごさを確認しましたが、少々悩んだところがありました。それは、右足の「人さし指」という表現。元は「人を指し示す指」のことですから、足の指にも使っていいものなのか。岩波国語辞典8版では、親指が「手足の、一番太い指」と説明されているのに対し、人さし指は「手の、第二指。親指と中指の間の指」とあります。人さし指はやはり手について使う言葉のようです。▲とはいっても、「足の第1指と第2指の間に……」などとすると逆に分かりにくそう。明鏡国語辞典3版では、足の第2指を手の指になぞらえて「足の人差し指」などという、と解説を付けています。多くの方に理解してもらえる表現ではあると思うのですが、違和感が強いという人はどれぐらいを占めるでしょうか。

(2021年10月04日)

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