体に「のしかかる」重い荷物――この使い方に「違和感がある」という人は7割超、「言い換えたい」とする人は4割を占めました。荷物は自分で体を伸ばしたりしないためか、「のしかかる」という言い方はなじまないと感じる人が多いようです。

「のしかかる」という言葉の使い方について伺いました。

4分の3は「違和感あり」

体に「のしかかる」重い荷物――どう感じますか?
違和感があり、言い換えたい 42.8%
違和感はあるが許容範囲 33.6%
違和感なく読める 23.6%

 

「違和感がある」と感じる人が全体の4分の3、「言い換えたい」とする人は4割にものぼり、やや驚いています。荷物が「のしかかる」という言い方は、あまりなじまないと感じる人が多いようです。

「のし」は「伸びる」の意

「のしかかる」は漢字で書くと「伸し掛かる」となります。「伸す(のす)」は常用漢字表にはない読み方(表外読み)なので、新聞などでは基本的に見かけない書き方だと思います。国語辞典では、読んで字のごとく「からだを伸ばして相手の上におおいかぶさる」(大辞泉2版)などと説明するものが多く見られます。この場合、「のしかかる」主体は人、少なくとも生き物です。

「のしかかる」のもうひとつの意味としてよく挙げられるのが「責任・負担などが身の上におおいかぶさる」(同)です。これは抽象的な概念が、人の身の上にかぶさってくるように感じるということ。上に挙げた、人が主体になる使い方との共通項はあるでしょうか。

「荷物」には感じられない「のし」の要素

責任・負担といった重圧が「のしかかって」くる時、人はその感覚に包みこまれ、さまざまな角度からの圧を感じるのではないかと考えます。単純に肩や背に負うというよりは、身動きが取れないように押し包む感じでしょうか。

一方、人が「のしかかって」くる場合はどうでしょう。出題者は子どもが乗ってくる様子を想像してちょっとほのぼのとしてしまいますが、大人がわざわざ体をのばしておおいかぶさってくるというのであれば、身動きが取れないようにと、相手を抑え込むような形になるのではないかと考えます。

こうした、形を変えつつかぶさってくるものに対し、出題時の例文である「荷物」や「コンクリートの板」は基本的に形を変えず、その重さに押しつぶされる感覚はあっても「のし」の含む「のびる」「ひろがる」という動作性とは結びつきそうにありません。そのあたりが「のしかかる」との結びつきに違和感がある原因かもしれません。

言い換えも検討したい

出題時の解説でも触れたとおり、「押しつぶすような重みがかかって来る」(新明解国語辞典8版)などのように広義に取れる語釈もあるにはありますが、質問文のような場合は、やはり言い換えたほうが納得できる人の多い言葉であるようです。次回登場した際は、ぜひ言い換えを検討したいと思いました。

(2021年10月01日)



質問に際して

原稿で目にしたのは「○○さんにのしかかるコンクリート板」という文章でした。状況をイメージできるため、はじめは違和感なく読んでいたのですが、手元にある辞書で「のしかかる」をひくと「①体をのばし、体重をかけて相手の上におおいかぶさる ②責任・負担などが身の上にかかる」(明鏡国語辞典)とあり、物には使用しないほうがよい可能性が出てきました。

たしかに、「重圧が重くのしかかる」「子どもがのしかかってくる」のように使うことが多く、「のしかかってくる側」として物が登場するのはめずらしいように思えます。

とはいえ「使用できない」といえるほどの根拠があるわけでもありません。新明解国語辞典の「押しつぶすような重みがかかって来る」という語釈が広義に取れると考え、誤読の心配もないことからそのままにしました。でも、また登場したらその時も迷ってしまいそうです。みなさんは物に対しても使用しますか?

(2021年09月13日)

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