「晴れ間が広がる」という表現は「次第に雲が減り晴れてくる」と捉えた人が半分強、「青空が広がり晴れ渡る」が半分弱で、割合はほぼ半々でした。受け手の解釈が分かれるため、予報用語としては使われていないとのことです。

「晴れ間が広がる」という表現をどう受け取るか伺いました。

ほぼ半々に分かれる

「明日は晴れ間が広がるでしょう」という天気予報。どう理解しますか?
青空が広がり晴れ渡る 46.4%
次第に雲が減り晴れてくる 53.6%

 

「次第に雲が減り晴れてくる」と捉えた人が半分強、「青空が広がり晴れ渡る」と捉えた人が半分弱。辞書にある通りの意味で受け取る人の方が若干優勢ですが、ほぼ半々といっていいでしょう。

本来は「雲の多い状態の中で…」

「NHK気象・災害ハンドブック」では、「晴れ間が広がる」とは「雲の多い状態の中で雲のすきまが多くなってくることを言う」と説明されています。気象庁のサイトを見ても「晴れ間が広がる」は「雲の多い状態の中で、雲のすき間が多くなってくること」とほぼ同じ記述。「晴れ間が広がる」状況は、感覚的にはむしろ「曇り」に近いかもしれません。

というわけで、単に広く晴れ渡ることを「晴れ間が広がる」というのは本来の用法ではありません。しかしこの用法は新聞などでも使われている、とマスコミ各社の用語懇談会で問題提起がなされました。出題者も気にしたことがなかったため毎日新聞の過去記事を見てみると、「暑い日が続いている。東海地方は15日も晴れ間が広がり……」という具合に、「雲が多い状態」とは思えない例が多く見つかりました。本来でない用法を新聞が助長してしまっている可能性もありそうです。

「気象・予報用語としては使わない」

ところでNHKハンドブックの「晴れ間が広がる」には、「放送では気象用語としては使わない」という意味の×マークが付いています。「天気予報では、『しだいに晴れてくる』と言う」のだそうです。また気象庁のサイトによると、この表現は「報道発表資料、予報解説資料などに用いる用語」であり、「予報用語としては『次第に晴れてくる』を用いる」とあります。

NHKも気象庁も一般向けの予報には使いません、というわけですから、やはり誤解されるおそれがある表現だと考えているのでしょう。実際に今回のアンケートでは受け取り方がほぼ半々に割れました。

当サイトでは「雨模様」という言葉を何度か取り上げました。本来は雨が降りそうな様子のことですが、小雨が降っている様子だと捉える人もかなりいて、こちらも誤解を生みやすい表現です。そのため毎日新聞用語集では、どちらとも解釈できるような文脈で使わないように注意喚起しています。気象庁も「『雨もよう』、『雪もよう』または『~もようの天気』などは意味がいろいろにとれるため用いない」との立場。確かに本来の使い方をしても、「予報では『明日は雨模様でしょう』と言っていたのに雨が降らないじゃないか!」なんていう苦情が来るかもしれません。

同様に「明日は晴れ間が広がるでしょう」との予報を聞いて雲一つ無い青空を期待した人が翌朝、辛うじて雲のすきまから見える青空を見上げ、だまされた気分になるかもしれません。雨が降る降らないという違いに比べれば被害は小さいかもしれませんが……。

言い換えも検討したい

テレビ局の中には「晴れ間が広がる」という放送原稿があれば、雲がある状況なのか、「晴れるでしょう」ではいけないのか確認しているところもあるそうです。こうした姿勢やNHK、気象庁の考え方は参考になります。そもそも解釈が分かれる表現だと理解した上で、「次第に晴れてくる」「青空が広がる」などの明快な表現への書き換えも検討するのがよさそうです。

(2021年08月13日)



質問に際して

天気を表すのによく見かけるフレーズですが、「晴れ間」を辞書で引いてみると、「①一時的に雨・雪がやみ、または霧が消えている間。②雲の切れ目に見える青い空」(岩波国語辞典8版)といった説明があります。「広がる」という言葉につながるのは②の「雲の切れ目の青空」の方でしょうから、雲のすきまから見えていた青空がだんだん広がってくる、というような天気を表すはずです。

しかし毎日新聞の過去記事を見ると、「各地で晴れ間が広がり、行楽地に人出が戻った」「晴れ間が広がった霞が関では、上着を着用せずに出勤する職員らの姿が見られた」といった用法が見つかります。どうも本来の意味からズレて、単に広く晴れ渡っている状態を表しているように読めてしまいます。そもそも雲があってこその晴れ「間」だとは思うのですが……この「間」を意識しないという人も多いかもしれません。

(2021年07月26日)

 

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