卒業生への「おくる言葉」をどう表記するかは「贈る言葉」を選んだ人が半数超に上りました。「どちらでもよい」を含めると4分の3を占め、「送る」よりも好まれていることがうかがえます。やはり海援隊のあの歌の影響が大きいのでしょうか。

卒業生への「おくる言葉」はどのように書くか、うかがいました。

「贈る言葉」が半数占める

卒業生への「おくる言葉」。どのように書きますか?
送る言葉 23.1%
贈る言葉 50.5%
どちらでもよい 26.4%

 

「贈る言葉」を選んだ人が半数超に上りました。「どちらでもよい」を含めると4分の3を占め、「贈る」の表記がより好まれていることがうかがえます。

「送」「贈」いずれでも伝わる場合も

まず「送る」と「贈る」の意味の違いについて考えてみます。広辞苑7版によると、「送る」は「こちら側の事物をあちら側の別の所に動かして移す」「去りゆくものに対し惜しみながら別れる。見送る」、「贈る」は「気持をこめて人に物をとどける」ことを表します。「送る」は「配送」「送別」のように移動を表現するときに用いられ、「贈る」は「贈与」「寄贈」のように相手にプレゼントをする行為に重きが置かれる、といった差があります。

しかし、この使い分けに照らしてみても、「送」と「贈」のどちらがいいのか悩ましいケースはあります。例えば「義援金をおくる」は、相手に義援金を届けると考えれば「送」、お金をプレゼントすると考えれば「贈」になり、「メッセージをおくる」も同様です。プレゼントを「贈る」行為は、自分から相手に「送る」移動も伴うため、どちらを使っても意味が伝わる場合があるのです。

あなた「を」送るか、あなた「へ」贈るか

卒業生への「おくる言葉」もその一例といえるでしょう。質問時にも触れたように、毎日新聞では「送る言葉<送別>」「贈る言葉<賛辞、激励など>」という使い分けを示してはいます。ただし、卒業生への送別=卒業生を送る言葉と考えるのか、はたまた卒業生に向けてプレゼントする祝辞=卒業生に贈る言葉だと捉えるかで、どちらの表記も使うことができます。

それでも「贈る言葉」派の方が多いのは、やはり海援隊の名曲に慣れ親しんでいるからでしょうか。ちなみに歌詞をみてみると「去りゆくあなた」に対しての言葉であるようです。送別(=去りゆく人を送る)のシチュエーションではありますが、「あなたへおくる」ということばのつながりから考えると、こちらはやはり「贈る」の方がふさわしそうです。

この春「送る言葉」を贈られて新生活を始めた人、大切な仲間を「贈る言葉」で送った人――。みなさんの新たな始まりが彩りのあるものになりますように。

(2021年04月13日)



質問に際して

桜の花とともに、今年も出会いと別れの季節がやってきました。新たな世界へと旅立っていく卒業生に向けた「おくる言葉」は、「送る言葉」と「贈る言葉」どちらの表記を使うのがよいでしょうか。

毎日新聞は用語集に、「送る言葉<送別>」「贈る言葉<賛辞、激励など>」「…の言葉を贈る」という使い分けを載せています。卒業生を送り出す言葉だと考えれば「送る」の方が適切な気もしますが、はなむけの賛辞だと捉えれば「贈る」を使うこともできそうです。

とはいえ実際の原稿では「贈る言葉」を目にすることが多いように感じます。やはり海援隊の曲「贈る言葉」に慣れ親しんでいるからでしょうか。

(2021年03月25日)

 

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