「チャネル」と「チャンネル」。ともに「channel」という英語のカナ書きだと承知しつつも、意味によって使い分けるという人が最多で半数弱を占めました。毎日新聞用語集は「チャンネル」のみを載せていますが、表記を統一すべきでしょうか。

「チャネル」と「チャンネル」の使い分け・表記揺れについて伺いました。

「同じ言葉」だが表記は「使い分ける」人が最多

情報などの「チャネル」と、テレビなどの「チャンネル」、この二つの語は……。
元々違う言葉で、使い分ける 19.7%
元々同じ言葉だが、意味によって使い分ける 47.6%
同じ言葉で、できればチャネルにそろえたい 11.2%
同じ言葉で、できればチャンネルにそろえたい 21.5%

 

「チャネル」と「チャンネル」というカタカナ語。元々は「同じ言葉」だが、意味によって表記を使い分けるという人が最多で、半数弱を占めました。表記をそろえたいという人では「チャンネル」が優勢でしたが、「違う言葉」と考える人も合わせると使い分ける人が3分の2で、表記の統一は簡単ではなさそうです。

水路やルートを意味する「channel」

「チャネル」「チャンネル」ともに英語の「channel」をカナ書きしたもので、元々は同じ言葉というのが正解です。「channel」の意味として最も古いのは「河床、川底、流床」(ランダムハウス英和大辞典2版)。そこから水路や海峡のような、水の流れる場所を指すようになり、転じて「(物の通過・経由する)径路、ルート、(移動する)道筋、路線」(同)を意味するようになりました。

「チャンネル」という言葉で一番なじみ深い用法は、テレビやラジオの放送局(の周波数帯)だろうと思います。これも特定の周波数帯が、それを利用する放送局の番組を伝えるルートであることからチャンネルと呼ばれるわけです。

「チャンネル」は「文字読み」

しかしこの「チャンネル」という表記、新明解国語辞典(8版)の当該項目を見ると「〔channel『=ルート』の文字読み〕」と記されています。channelというつづりを見たままに読むから「チャンネル」になっているだけで、本当は違うという趣旨でしょう。実は毎日新聞用語集の「外来語表記の原則」を見ても

 はねる音「ン」は原音ではっきりしているもの以外は省略する。ただし外来語として「ン」を入れることが一般化しているものはそれに従う。
[例] イニング、コミュニケ、サマータイム
〈例外〉チャンネル、ハンマー

とあります。「例外」というのはすなわち、原音では「ン」が発音されないのだが、表記としては「ン」を入れるということ。つまり発音に従えば「チャネル」がよい、ということになります。

また、新聞でも日本経済新聞社だけは用語集で「流通関係限定用語」として「チャネル」を載せています。「販売チャネル」のように使います。「販売ルート」でもよさそうですが、「オムニチャネル」(ネットや実店舗などあらゆるルートで顧客に商品を売るような商法)のように「チャネル」表記が定着している語もあります。

定着進みつつある「チャネル」

2020年に出た明鏡国語辞典3版は「チャネル」と「チャンネル」の両方を見出し語として立てています。「チャンネル」の方は▽テレビ・ラジオの各放送局に割り当てられている周波数帯に付けられた番号▽テレビ受像機のリモコンなどに表示されている番号▽放送を選択するためのつまみ――といった具合で、テレビ・ラジオに関しては「チャンネル」が優勢、という説明です。

一方の「チャネル」は▽コンピューターの入出力の制御を行う装置など▽商品などの流通経路▽情報などの伝達経路――といった具合。「チャンネル」とも、と付言されてはいるのですが、放送関連以外では「チャネル」が定着していると主張しているように見えます。

新聞では「複数のチャンネルを使って北朝鮮と接触を試みた」のように、放送関連以外の用法で「チャンネル」が使われることも多く、二つの表記が並び立つということには、簡単にはならないようにも思います。しかし、「ハンチング」(帽子)と「ハンティング」(狩猟)のように、一つの語を二通りに表記する例がないわけではありません。「使い分ける」という人が3分の2に上ることや、最近の辞書の記述から見ても「チャネル」の定着は進んでおり、新聞も対応を迫られる可能性はあります。

(2021年03月23日)



質問に際して

最近使い始めた情報共有のためのグループウエアが、何かにつけ「チャネル」を参照するよう促すので戸惑っています。アプリ自体に慣れないせいで戸惑うことは言うまでもありませんが、「チャネル」という呼び方がモヤモヤを誘います。

言葉としては「channel」です。テレビの「チャンネル」などと同じ言葉。ただし、流通関係などでは以前から「チャネル」という表記が使われているようです。日本新聞協会「新聞用語集」のカタカナ語表記には「チャンネル」しか載っていませんが、日経新聞の用語集には「流通関係限定用語」として「チャネル」が載っています。

しかし最近は、上記のグループウエアの例にも見るように、「チャネル」が勢力を増大させているように感じます。以前は、テレビの場合以外でも「チャンネル」にそろえようとしていたこともあるのですが、今では無駄な抵抗という気持ちも強くなっています。

皆さんはこの二つの表記についてどう感じるでしょうか。もしかすると別語と捉えている人もいるかもしれないと、今回伺ってみました。

(2021年03月04日)

 

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