「親分」に続ける場合の「気質」の読み方は、「きしつ」を選んだ人が「かたぎ」をやや上回りました。「~かたぎ」はある程度定型的な言い回しと考えられます。読み方に迷うくらいなら「親分肌」という言い回しを選んでもよいかもしれません。

「気質」という言葉の読み方について伺いました。

「きしつ」がやや優勢

あの人は親分「気質」で面倒見がよい――どう読みますか?
かたぎ 35%
きしつ 47.3%
上のどちらでもよい 17.7%

 

親分らしい頼りがいある性質を表す、親分「気質」。読み方は「きしつ」を選んだ人が「かたぎ」をやや上回りました。いずれかが正解と決まっているような問いではありませんが、こうしてみると「~かたぎ」というのはやはり、ある程度定型的な言い回しなのだと考えられます。

「かたぎ」がなじむ語は限定的

メディアでの一般的な使われ方は、NHK「ことばのハンドブック第2版」が詳しいようです。「かたぎ・気質〔キシツ〕」の項目を見ると、

「かたぎ」は、その職業、グループなどに特有な気分・性格を示すもので、ある程度、伝統性のあるものや古風なものに使うことが多い。
「気質〔キシツ〕」は一般的に性質や性格を示す。
(注)「かたぎ」は主として次のような複合語の場合に使われる。
   ①昔~(の老人) 書生~
   ②職人~ 学者~
  ②の場合は、文脈によっては「気質〔キシツ〕」を使う場合もある。

とあります。「かたぎ」は複合語として使うが、伝統や古めかしさを感じさせる言葉につく表現だということです。ある程度は文脈による、とも。「親分」という言葉には渡世人風という感じもあって古めかしい印象も受けますが、「職業、グループ」のように考えることができるか、というのが「かたぎ」がなじむかどうか判断するに当たってのポイントでしょう。

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新聞では表外訓の「かたぎ」は仮名書きに

明鏡国語辞典3版も「きしつ【気質】」の項目で、「かたぎ」と「きしつ」の読み分けについて説明しています。

「きしつ」「かたぎ」は和語・漢語のどちらにも付き、また「芸術家気質・町人気質」など両方で読まれるものもある。「昔気質・田舎気質」はふつう「かたぎ」と読む。

この説明も結局「気質」の読み方は、その付く語によって決まってくるとするものです。親分「気質」の場合は、どう読むかに迷いが出るという時点で既に、「両方で読まれる」語として受け止めた方がよいように思います。

ところで「気質」を「かたぎ」と読むのは、常用漢字表の熟字訓(2文字以上で訓読みする読み方)に含まれていない読み方なので、新聞で書く場合は「昔かたぎ」のように仮名書きになります。「親分気質」のような読み方がどっちつかずの語については、筆者に「どう読ませたいか」という意向を確認する場合もありますが、それができないなら「気質」のままにしておくのがよいと考えます。あえて「かたぎ」と仮名書きにして読み方を限定するよりも、いずれの読み方も間違いにならない以上、読者に読み方を選んでもらっても問題は生じないためです。

「親分肌」に言い換えてもOK

一方で「親分」らしい様子を表す言葉としては、「親分肌」という語が大抵の辞書に用例ないし見出し語として載っています。「人の面倒をよくみて頼りになるような気性であること」(大辞泉2版)。「親分気質」のような、ちょっと読み方に迷ってしまう語を使うくらいなら、もっとすんなりと読める伝統的な言い回しがある、と提案してみてもよいかもしれません。

(2021年03月09日)



質問に際して

どちらかが間違いという質問ではありません。原稿で見かけた表現について、皆さんがどう読むのかを知りたいと思い、伺いました。

基本的には「きしつ」でも「かたぎ」でも意味に大きな差はありません。辞書で「きしつ」の項目を引くと「きだて。かたぎ。気性」(広辞苑7版)などと説明するものもあり、言葉としては別語であっても、同じように使う場合もあると示しています。

ただし、現在では「かたぎ」は単独で用いられることは少なく、たとえば「職人かたぎ」のように「身分・職業・年齢などに相応した特有の類型的な気風」(同)を表す使い方が多いようです。

「親分気質」をどう読むかはちょっと迷います。「かたぎ」とするのは「昔かたぎ」「職人かたぎ」のような定型的な言い回しが多く、「親分かたぎ」がなじむかどうか。「親分きしつ」でも親分っぽい性格を表すには問題ないように感じます。皆さんはどちらの読み方を選んだでしょうか。もっとも、そもそも「親分肌」にすべきだろう、という意見も出るような気はしますが……。

(2021年02月18日)

 

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