「動画やアニメーション」という書き方に「違和感がある」とした人が半数を超えました。しかし、「何となくわかる」人も含めると「そのままの表現でも大丈夫」という人が8割で、受け止め方としてはそれなりに違いも意識されているようです。

「動画」と「アニメーション」の意味に差を感じるか伺いました。

8割はそれなりに許容

デジタル教科書の「動画やアニメーション」――この書き方はどうですか?
動画はアニメーションも含むので、違和感が強い 20.6%
違和感はあるが、何となくわかるので許容範囲 34.6%
「3次元を撮影したもの」と「2次元」と受け止め、違和感はない 33.2%
「録画の再生」と「CGで描き出すもの」と受け止め、違和感はない 11.6%

 

「違和感がある」とした人が半数を超えました。しかし、許容範囲も含め「そのままの表現でも大丈夫」と考える人が8割と、そこまでダブり感を気にしなくてもよかったのかなと思っています。

出題者としては「動画」と「アニメ」はなんとなく別物のイメージだったので、初めは違和感なく読んでいたのです。そもそも文部科学省のデジタル教科書についての説明では「動画・音声やアニメーション等のコンテンツ」と分けて表記されています。

「動画」と「アニメ」は違う? 同じ?

では、動画とアニメーションの境目はどこにあるのでしょう。【アニメーション】を辞書で引くと、多くの語釈に「動画」と書かれています。また「動きのない絵や人形を一こまずつ撮影して、映写したときに動いているように見せる映画」(明鏡国語辞典2版)とも。2次元のイラストからなる作品の他に、ストップモーションといった、いわゆる3次元の物を少しずつ動かして撮影する技法で制作された作品もアニメーションの一種です。「ピングー」や、最近ではテレビ放送中の「PUI PUI モルカー」などが話題ですね。

一方の【動画】を辞書で引いてみると、興味深いことに「①アニメーション」(明鏡)とあります。この説明を読む限りはまったくのイコールと言ってよいでしょう。②は「動きのある映像。特に、デジタル映像で、静止画に対していう」。動画とアニメーションの書き分けに「違和感はない」とした人は、「動画」に対して②のような印象を持っていたのではないでしょうか。

「コマ」があるものが「動画」か

しかし広辞苑7版を見ると、【動画】の②で少し違った説明をしています。「一定時間間隔で撮影された一連の画像を、短い間隔で連続表示することにより得る動きのある映像」としています。一定時間間隔? これって、どういうこと?

思い当たったのは、フィルムの時代の動画の説明なのではないかということ。いわゆる2次元のアニメも、今ではデジタルイラストを合成する手法が主流ですが、昔はセル画と背景を文字通り「撮影」して動画にしていたのでした。この考え方だと、「動画」はアニメーションを含むもの、ということになります。

また、人など3次元のものを撮影するビデオもフィルムに焼かれており、1秒に何コマ撮影できるかが決まっていたため、確かに「一定時間間隔で撮影された一連の画像」に違いないのです。それらが磁気テープになり、DVDになり、スマートフォンなどに保存されるデータになりと変遷する中で、元々の「動画」の意味から少しずつ印象が変わっていったのだと思います(あまり関係ないですが、レコーダーのリモコンの「巻き戻し」表記がいつのまにか「早戻し」になっていたという怖い話も思い出しました)。

「動画」が手軽になった時代

現在わたしたちがスマホなどで撮影する動画も、実際には1秒あたり何コマもの静止画から成っているのですが、フィルムの時代ほどその姿は可視化されていません。撮影も再生も、写真を撮ったり見たりするレベルの手軽さになりました。

現在の「動画」は単に「デジタル映像で、静止画に対していう」もの、という感覚が一般的になり、いわゆる「アニメ」のように人の作業がはっきりしたものとの差異化が進んで、今回の「8割がそのままの表現でよいと感じた」という結果につながったのではないでしょうか。

受け止め方の動く言葉

また、職場で相談したところ「CGとの差異化もあるのでは?」との声もありました。デジタル教科書を扱う会社のウェブサイトを見ると、たしかにCG映像が「アニメーション」として扱われていました。近年はCGのアニメ映画も増えていますね。「デジタル映像」という点では「動画」に近いのでは?という気もするのですが、録画を再生するものではなく、端末を操作する都度に新たに描き出す映像として、使い分けの意識が働いている可能性があります。

いろいろと理由をくっつけて納得しようと試みましたが、出題者の中ではいまだに「やっぱり別だ!」「いや同じだ!」という声がせめぎあっています。「動画」という言葉は、技術の変化とともに、私たちの受け止め方も変化の途中にある言葉かもしれません。個人的には、現実世界(3次元という意味で)とそうでない世界を分けたい気持ちと、理屈とのはざまで右往左往したというのが今回の疑問の出発点だったと言えそうです。

(2021年03月05日)



質問に際して

元の文は、デジタル教科書の機能を説明するもので「学習内容に関連した動画やアニメーションを端末に映し出す」とありました。初めは「アニメーションはいわゆる2次元のものを指しているのかな」などと思いながら読んでいたのですが、映像(静止画でない)をはめこむことができるという機能を説明する際に、動画とアニメを分けて考える必要があるのだろうか?と疑問が湧きました。

そもそもアニメーションは動画の一種なのでは? 「アニメーション」を辞書で引くと、多くの語釈に「動画」と書かれていました。ならば単に「動画」としてしまってもこと足りるはず。場合によってはダブり感を与えかねない……と思い、「やアニメーション」を削ろうかと考えました。

しかし、よくよく考えてみるとアニメーションにもいろいろありそう。「そもそも動画とは……?」と自分の認識も疑い始めてしまったのですが、それについては結果のまとめで改めて。みなさんはどう思われましたか?

(2021年02月15日)

 

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