「車窓を楽しむ」という言い回しには、言葉を補いたいという人が半数超。「違和感あり」とした人は8割に達しました。書き手はどうしても「わかっている」部分で言葉をはしょりがちですが、それでは意味が通じにくくなることもあります。

言葉が足りないように見える表現について伺いました。

「違和感あり」が8割超す

「車窓を楽しむ」という言い回し、どう感じますか?
問題ない 17.2%
違和感はあるが、意味は通じるので許容範囲 30.2%
違和感が強い。「車窓の眺めを楽しむ」などとしたい 52.6%

 

今年のお正月は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により家で過ごした方も多かったのではないでしょうか。長いこと新幹線や特急にも乗っていないので、そろそろ列車の旅が恋しくなってきました。大阪でホ○ワーツ特急に乗って写真を撮りたいなあ……。

さて、今回取り上げた「車窓を楽しむ」との言い回しは、「違和感がある」とした人が合わせて8割。言葉を補って「車窓の眺めを楽しむ」などとしたい、という人だけでも半数を超えました。

「車窓」とは読んで字のごとく「(自動・電・汽)車の窓」のこと。この場合は単語から情景を思い浮かべれば、わくわくと窓のほうに向けた視線の先に何か(景色とか……)が足りないことに気がつきます。窓だけで楽しめる人は、そんなに多くないのでは。「車窓」の一言に外の景色の意味も込めた、一種の比喩とも言えるかもしれませんが、新聞ではもう少し丁寧に書かなければならないと思います。

何が足りない?を探す仕事

最近では他にも「協会の決定をおもんぱかった」という言い回しに「言葉が足りないのでは」との声があがりました。

「おもんぱかる」を国語辞典で引くと「よくよく考える。考えはかる。思いめぐらす」(広辞苑7版)。決定について思いをめぐらす、という意味なら通じるような気もするけど……。しかし元の記事が言わんとしているのは、発言者が協会の決定を尊重し、理解を示しているというニュアンス。決定の背景に思いをめぐらせているのだ、と考えると「背景」の部分が足りないという指摘ももっともです。「決定の意図をおもんぱかった」と補うことになりました。

このように、字面からでは推測できない、辞書をひいてもしっくりこないという場合には、文章の全体のニュアンスを見て足りない部分を探すことになります。

書き手は「わかっている」ことこそ要注意

出題者も、自分で書く文章は「なんか説明が足りないんだよなあ」と言われることがあります。「自分ではわかっている」「なんとなくわかってしまう」ことだけに見落としてしまいがちな「言葉」。人に伝えるために言葉を尽くす努力は、いくらしても足りないのです。

(2021年02月05日)



質問に際して

「世界の車窓から」というテレビ番組を思い出すフレーズです。新型コロナウイルスが流行中の今は、テレビや動画配信サイトを見て旅行気分を楽しんでいますが……。それはさておき、このフレーズ、どことなく物足りない感じがしませんか?

「車窓」とは、「列車・自動車などの窓」(大辞林)のこと。文章だけを見ると単純に窓を楽しむことになってしまいます。

そのままの文でも言わんとしていることはわかりますし、文章のテンポを考えると「車窓を楽しむ」としたかった筆者の気持ちもわかります。しかし冒頭に挙げた「世界の車窓から」という番組名にもあるように、車窓を通して何を見ているか、というのが本質かと思います。「車窓の眺めを楽しむ」とするのがよいのではないかと考えました。

(2021年01月18日)

 

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