「タイムリー」は「適時」という意味でのみ使う人が9割近くを占めました。「即時」の意味で使うのは無理と考えた方がよさそうですが、「早ければ早いほど望ましい」という場合には「即時=タイムリー」と考えられてしまうのかもしれません。

「タイムリー」の使い方について伺いました。

「適時」のみ、が9割弱占める

「タイムリー」を「即時(すぐ)」という意味で使いますか?
即時という意味でのみ使う 2.4%
適時(ちょうど良い時)という意味でのみ使う 88.9%
即時、適時の両方の意味で使う 8.7%

 

「適時という意味でのみ使う」という人が9割近くを占めました。「タイムリー」を「即時」という意味で使うのは無理がある、という捉え方が主流であることが分かりました。

ちょうど良いのが「タイムリー」

ご存じのように、野球の「タイムリー(ヒット)」は、得点のチャンスが訪れた場面で打つ安打(適時打)のことです。当たり前ですが走者が出る前に打ってもタイムリーとは呼ばれず、つまり早く打てば良いというものではありません。

このように、早すぎず遅すぎずちょうど良いタイミングで物事が行われるさまをタイムリーと言い、例えば「建設工事の状況を把握して資材をタイムリーに納入する」というふうに使います。

しかし、次のような例はどうでしょう。「実態をタイムリーに表す」「変化する降雨をタイムリーに捉える」「データベースにより新薬情報をタイムリーに把握する」――。これらは過去の記事にみられた表現です。いずれもタイミング良くという意味からずれて、「常に最新の情報を反映」「素早く、すぐに(即時)」といった意味合いを表すのに使われているとみられます。

新聞記事以外でも、「金利・為替動向をタイムリーに捉え収益力の強化に注力」「政府の統計調査では捉えられない経済活動の動向をタイムリーに把握」「安否確認システムによりタイムリーに通報」など、即時の意味と思われる用例が少なからず見受けられます。

早ければ早いほど良いなら「即時=タイムリー」か

解釈の余地として、出題者は次のように考えました。一つには、「タイミングが良い」の意味を広く捉えた結果なのではないか。早ければ早いほど望ましいような内容なら、「即時=良いタイミング」として表現したくなるかもしれません。

もう一つは、「タイムリーな対応のために状況を把握する」ことを短く言おうとしてつい「タイムリーに状況を把握する」と言葉足らずになったのではないか。あくまで根拠に乏しい推測に過ぎませんが、これと似通ったパターンの用例が多いというのが実感です。

辞書を引いても、タイムリーに「即時」の意味があるという記述はほとんど見当たりません。例外的に「用例でわかるカタカナ新語辞典」が「タイムリー・ディスクロージャー」を「企業情報の早期・適時開示」と説明しているのが見つかったくらいで、他の例を見つけるのも大変そうです。

不自然な用法は言い換えたい

今回のアンケートで示された結果を見ても、タイムリーを「即時」という意味で使うのは、読者に広く受け入れられるような定着した用法とは言えないでしょう。「タイムリーに」を「タイミング良く」に置き換えてみて不自然になるような原稿に出合ったら、「リアルタイムで」「即座に」などと言い換える方向で対応していきたいと思います。

(2020年09月11日)



質問に際して

「実態をタイムリーに表す」「変化する降雨をタイムリーに捉える」「データベースにより新薬情報をタイムリーに把握する」――これらは過去の記事にみられた「タイムリー」の使用例です。

いずれも「常に最新の情報を反映する」という意味合いで使われており、従来の用法である「適時(遅すぎず早すぎず、ちょうど良いタイミング)」からずれた使い方のように出題者は感じます。

カタカナで言うなら「リアルタイム」と言うところではないかと思うこともあるのですが、皆さんのご意見はいかがでしょうか。

(2020年08月24日)

 

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