予約キャンセルが「入る」というのは、会話では違和感はないとの回答がトップで約4割。そもそも「違和感はない」という人も合わせると3分の2に達しました。ただし文章の場合には、こうした省略のある表現には注意が必要とも感じます。

「キャンセルが入る」という言い回しについて伺いました。

「会話なら」も含めると「違和感なし」が3分の2

予約キャンセルが入る――この言い方、違和感ありますか?
違和感がある 32.1%
会話でなら違和感はない 42.3%
違和感はない 25.6%

 

予約キャンセルが「入る」というのは、会話では違和感はないとの回答がトップで4割を占めました。出題者自身も「会話でなら普通に使うかな」と考えていただけに納得できる結果でした。「違和感はない」という人も合わせると3分の2に達し、文章に書く場合でなければ、さほど気にする必要はない表現と言えそうです。

会話では自然に情報が補完されている

校閲のTwitterではこの質問に対し、「『予約キャンセル(の連絡)が入る』ので違和感はない」「実際にキャンセルの電文が入るので問題はない」などのコメントが寄せられました。前者は無意識的に情報の補完がなされる、とする考え方。後者は実際の経験に基づく考え方と言えるでしょう。元々の原稿は宿泊施設に関する話だったので、取材先の人にとっては日常的な言い回しを、記者がそのまま文字に起こした可能性もあります。

一般的には、多くの人は会話の中で、前者のコメントのように情報を補完し、理解しているのではないでしょうか。しかし情報を補完できるのは、会話の流れや、それまでの経験や知識があってのこと。子どもから大人まで幅広い職業・年代の人々に読まれる新聞では、できるかぎり伝わりやすい文章で書くことが求められるため、省略しすぎと感じる場合は手を入れられないか検討します。

文章では物事のつながりを明示したい

新型コロナウイルス関連の記事でも、しばしば「省略しすぎかな?」と思うものが見られます。例えば「新型コロナウイルスで公演が中止され……」と書かれていた場合はどうでしょうか。新型コロナの影響を受けたのだとはわかりますが、やはり「新型コロナウイルス感染拡大の影響で」などと手を加えたいところです。

新型コロナの感染拡大がもたらした影響は、いまや全国で認識されているため、「コロナで」とあれば何となく話が通じてしまうかもしれません。しかし、会話なら話が進むうちに「何となく」の部分がはっきりする場合もありますが、文章ではそうはいきません。物事のつながりをなるべくきちんと示す必要があります。

「新型コロナウイルスで公演が中止され」と書いただけでは、感染者が出たせいで中止になったと受け取られる場合もありそうです。演劇やコンサートの中止なども、感染者の有無とは関係なく、社会的な感染拡大のあおりを受けてというケースが大半なのですから、それが分かるような書き方を心がけたいと思います。

とはいえ、会話で気にならない部分は文章になっても違和感を持ちにくいもの。本当に説明が足りているのかと自問しながら、記事に向き合いたいと思います。

(2020年08月07日)



質問に際して

話題の「Go Toトラベル」関連の記事で目にした表現です。会話で出てきてもあまりひっかからないように思うのですが、印刷された文ではやや違和感がありました。

「入る」というと、動作の受け手の立場からだと「邪魔が入る」「目にごみが入る」など、外から何かがやってくるイメージになると思います。「予約が入る」であれば枠が押さえられる(=枠に入る)ことを指すので違和感はないのですが、キャンセルは逆に「出ていく」印象があります。「キャンセルが出る」と言う場合の「出る」は「発生する」という意味ですが、「予約が入る」と対になっているようにも見えます。

冒頭の記事の書き手は「予約」に引っ張られたのかな?などと考えつつ、結局「キャンセルがあり……」と直したのですが、みなさんはどう思われましたか?

(2020年07月20日)

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