「本拠地を置く」を許容できるという人が、どちらでもよいという人も含め半数。一方、「本拠を置く」の方がよいという人が最多で、やはり半数程度。辞書にあるのは「本拠を置く」の方で、もし迷うなら「本拠」を使うのが無難かもしれません。

「本拠地を置く」という表現についてどう感じるか伺いました。

「本拠」を推す人が最多、「本拠地」許容も半数

〇〇球団が「本拠地を置く」××市――この使い方、どうですか?
問題ない 28.9%
「本拠を置く」の方がよい 48%
「本拠地を置く」でも「本拠を置く」でもよい 23.1%

 

どちらでも構わないという人も含め「本拠地を置く」許容派が半数を占めた一方、「本拠を置く」の方がよいという人が最多で、やはり半数程度という結果になりました。記者の書いた原稿や他社の記事を読んでいると「本拠地を置く」をしばしば目にすることもあり、許容派が多数になるのではと予想していたので、少々意外でした。辞書に採用されているのは「本拠を置く」の方であり、「本来」の言い方に忠実な人が多いと言えそうです。

「本拠を置く場所」が「本拠地」だが

「本拠」は「活動の主なよりどころ。また、その場所。根拠」(大辞林4版)という意味の単語です。そして「本拠を置いた場所」が「本拠地」であるのだから、わざわざ「置く」の目的語に「本拠地」を選ぶ必要はないように思えます。「本拠地」を生かすのであれば、「本拠地にする」を使うという方法もあります。

「本拠地を置く」という言い回しが広まったのは、「本拠地」だけでなく「本拠」も場所を表すため、両者で意味が重なる例もあることが理由の一つではないでしょうか。質問の例で言えば、「本拠」は球場、「本拠地」はそのホームタウンを指すことが多いように感じますが、「甲子園を本拠地にする」のように「球場=本拠地」とする書き方に出くわすこともあります。

類似の語と用法が混同されたか

さらに言えば、「本拠」は「本拠を置く」「本拠にする」のどちらも使われますし、同様に「拠点」も「拠点を置く」「拠点にする」と双方の表現があります。論理的に考えれば「本拠地」を「置く」としない方がよいとしても、これらの言い回しと混同されるのも無理はない気がします。

また、「本拠地を置く」は「本拠を置いた場所を置く」となってしまうとはいえ、文法的に誤りだとは言えません。例えば、水を沸かしてお湯にすることを「お湯を沸かす」というように、日本語は動作の結果を目的語にとることがあります。「本拠を置いて本拠地にする」をまとめて表した語だと考えることは可能です。

迷うようなら「本拠」がおすすめ

毎日新聞の記事データベース(東京本社版)で使用例を検索してみると、「本拠地を置」は286件、「本拠を置」は754件でした。「本拠地を置く」もそれなりに使われており、誤った表現だとは言えません。とはいえ、ほとんどが「本拠を置く」と直して問題がないケースのはずなので、悩むようだったら今回の結果を参考に、「本拠」に直してしまうというのも一つの方法だと考えます。

(2020年07月31日)



質問に際して

「被災した仙台市に本拠地を置く楽天」「ISが本拠地を置くシリア」のように、「本拠地を置く」というフレーズに時々出くわします。ただ職場にある辞書を見てみても、「本拠地を置く」を載せたものは見当たらず、いずれも「本拠を置く」としています。

「本拠」とは「根本のよりどころとなる場所。根拠」(大辞泉2版)、「活動などの主なよりどころとなるところ」(明鏡国語辞典2版)。また大辞林4版によれば「本拠」=「活動の主なよりどころ。また、その場所。根拠」、「本拠地」=「本拠とする場所」。

「本拠」自体に「場所」の意があるため、そのまま当てはめると、「本拠地」=「よりどころとなる場所とする場所」となってしまうのでは?という気もしますが、「拠点を置いた地域・地区」といった意味で、「仙台市」「シリア」など実際の地名を指す際に「本拠地」を使うことが多いように思います。球団ならば「本拠」は球場で、「本拠地」はそのホームタウンとなるでしょうか。

「本拠を置いた場所」が「本拠地」であるなら、「本拠地を置く」ではなく「本拠を置く」が正しいような気もします。とはいえ「本拠地を置く」もよく見聞きする表現であるため、違和感を持たない方もそれなりに多いのではないかと予想します。

(2020年07月13日)

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