「オンライン上」という言い回しに違和感があるという人は8割弱、ただし、その中でも「許容範囲」という意見がやや優勢でした。一種の省略表現とも考えられ、ぜひとも直すべき表現とは言いにくいかもしれません。

「オンライン上で」という表現について伺いました。

8割は「違和感あり」も「直したい」は4割弱

通信回線の利用に関して「オンライン」といいますが、「オンライン上で」という表現はどうですか?
違和感がある。「オンラインで」と直したい 37.1%
違和感はあるが、許容範囲 41.6%
違和感はない 21.3%

 

違和感はないという答えはわずか2割。残り8割近くの方は違和感を持つものの、許容範囲と考える方が「直したい」をやや上回りました。
 

「オンライン上」は重複表現か

インターネットなどの通信回線を通して行う「オンライン会議」や「オンライン飲み会」が話題になる昨今、オンラインという言葉が原稿に登場する機会も増えています。出題者が戸惑ったのは、回線をつないだ状態で何かをするというときに「オンライン上で」と表現するのを目にしたときです。「~の上」を表すオンと「上で」がダブっているのでは? 「オンラインで」あるいは「ネット上で」などとしたほうが据わりがよいのでは?と思ったのです。

ところが、近くにいた同僚に聞くと、意外にも「直す必要を感じない」という反応で、実際に例えば「日本学生野球協会はオンライン上で審査室会議を開き……」「芸術家の活動の場としてオンライン上に美術館と奏楽堂をつくり……」など少なからず紙面化しています。

「オンライン上」に見る「暗黙の省略」

思いつくところがあって、国語辞典を引いてみました。「オンライン〔名〕コンピューターで、回線を通じて他のコンピューターとつながっていて通信可能な状態。『──システム』⇔オフライン」(明鏡国語辞典、一部省略して引用)。やはり、ここに考え方のヒントが二つもみつかりました。

一つは、オンラインのオンは「オン/オフ」(つながっている/外れている)のオンであって、「上」の意味とは限らないこと。もう一つは、オンラインシステム(オンラインで処理を行うシステム)を短く言うようなつもりで「オンラインシステム上→オンライン上」と解釈する余地があること。このいわば暗黙の省略がしっくりくるかどうかで、違和感の有無の差が出るのかもしれません。

「直すべし」とは言い切れず

違和感があるという声が計8割弱、ただし直したいほどではないとの意見が優勢。このあたりのあいまいさを踏まえると、ぜひとも直すべき表現とは言いにくいと感じます。実際の対応としては直すか直さないかのライン上をさまよう日が続きそうです。

(2020年07月17日)



質問に際して

オンライン会議やオンライン飲み会などが話題になる今日このごろ。新聞記事でも「オンライン」という言葉を目にする機会が増えていますが、「オンラインで」と書けばよさそうなところを「オンライン上で」と書く原稿を見かけます。

出題者は当初、英語の「オン」が持つ「~の上」という語感との重複から、「オンライン上で」には引っかかりを覚えました。ところが、同僚に聞くと「そのままでよい」との反応が思ったより多く、実際に少なからず紙面化しています。

直すべき表現として今さらあげつらうべきものではないかもしれませんが、「言われてみれば重複感がある」と思う方がどのくらいいるのか、一度調べてみたいと考えた次第です。

(2020年06月29日)

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