「同級生」はどれほどの範囲に及ぶのか。「学級」すなわち「クラス」が同じ人とする回答は3分の1強にとどまりました。同じ学校の同学年という人が4割で最多でしたが、使う人や場合によって示す対象にバラつきのある言葉と言えそうです。

「同級生」という言葉が示す範囲について伺いました。

「クラスが同じ人」は3分の1強

「同級生」と言う場合、どこまでを指しますか?
クラスが同じ人、過去に同じだった人 35.9%
同じ学校で同じ学年の人 40.6%
学校が違っても同じ学年の人 23.6%

 

「同級生」を、「学級」すなわち「クラス」が同じ人という意味に限定する回答は3分の1強にとどまりました。同じ学校の同学年という人が4割で最多。学校が違っても同じ学年なら使えるという人も4分の1程度おり、場合によっては何を指す言葉かをきちんと明示した方がよさそうです。

「同学年」は認めない辞書も

「同級生」の指す範囲については「毎日ことば」のサイトでも過去に取り上げたことがあります(「同級生」はクラスメートだけか)。そこでも紹介していますが、国語辞典の中にはクラスメート以外について「同級生」を使うのは誤りだとしているものがあります。明鏡国語辞典2版の説明は以下の通り。

同じ学級の生徒。クラスメート。「高校時代の―」[表現]同学年、同期生の意で使うのは、本来は誤り。「×学校は違うが同年生まれの―だ」

「本来は誤り」というのはこうした用法の存在は認めつつも、黙って認めるわけにはいかない、ということでしょう。

また三省堂現代新国語辞典6版は「同級生」の項目で「[俗用で]同じ学年である(・であった)者(どうし)。同学年」と説明します。俗用、というのはやはり正式には認めがたいということ。また、そもそも「同級」「同級生」の項目で「同じ学年」ということに触れていない辞書も多く、「クラスメート」以外の意味を認めない傾向が存在するのは確かなようです。

広辞苑などは「学年が同じ」を新規に採用

一方で、回答から見られる解説でも触れましたが、広辞苑のように最近新たに「同学年」の意味を載せるようになった辞書もあります。6版(2008年)の「同級」の説明は「①同じ等級。②同じ学級。『同級―』」というものでしたが、7版(18年)では「同級」の項目中に「同級生」の子項目がつくられ「同じ学級の生徒。また、学年が同じ人」と説明しています。

三省堂国語辞典も5版(01年)では「①同じ学級。『―生』②〔文〕同じ等級」という説明でしたが、08年に出た6版では②として「同じ学年。『彼とは―だ』」という説明が加えられました(5版で②だった部分は③に変更)。7版(14年)も同様です。

古い辞書にも見られる「同学年」

ではこうした「同級(生)=同学年」という使い方は新しいものなのかというと、そうではありません。角川類語新辞典(1981年)は「同級」の説明を「同じ学級(年)」としていますし、古い辞書の大言海は「同級」の項目を「(一)階級ノ同ジキコト。同ジ等級。(二)同ジ学年」(当該の巻は1934年)と説明します。

もっとも平凡社の「大辞典」(1936年)は「同級生」を「学校にて、同じ学級に属する生徒。クラスメート」としていますから、「同級(生)=同学年」という考え方が古くから広く行われていたとは言えないかもしれません。それでも、「同級生」をクラスメート以外の意味で受け止める場合もあったのではないかと考えられます。

交流の度合いで「同級」の意識は変わるのでは

しかし、実は今回のアンケートで最多を占めたのは、国語辞典には何も書かれていない「同じ学校で同じ学年の人」という選択肢でした。「同窓生」という言葉では、同じ学校であれば学年が違う人をも指してしまうため、それよりも狭い範囲を示す言葉として「同級生」が選ばれたようです。その一方で、学校が違う人に関しては学生時代の交流がないので「同級」という意識が働きにくいということでしょう。

一方で野球の選手などは、「同級生」という言葉で他校にいた同学年の選手も指す場合が少なくありません。これは、部活動の対外試合などで交流するとともに、データの分析などを通して学年をも強く意識するため、在籍する学校にかかわらず互いに深い関わりを感じているためではないでしょうか。

現状の使われ方やアンケートの結果から見て、「同級生」をクラスメート以外の意味で使うことを誤りと断定するのは難しいのではないかと考えます。ただし、使用する人や場面によって、使われ方にバラつきがある言葉であるのは確かです。誤解を招かないためには「彼とは学校は違うけれど『同級生』で~」のように、何を意味しているのかを明示するような使い方が望ましいと言えるでしょう。

(2020年06月23日)



質問に際して

「同級生」という言葉の扱いに戸惑うことがあります。シンプルに考えればクラスメートのことを指すのですが、そうでない場合もあるからです。

これについては過去の「毎日ことば」でも取り上げたことがあります。

特に野球界で多い使い方なのかもしれませんが、学校は違っても同学年の人を指して「同級生」と言います。

先日の毎日小学生新聞に載ったインタビュー記事で、阪神の近本光司選手が「同級生の活躍はチェックしています」と言っていましたが、この「同級生」は他チームの、出身校も異なる選手たち。やはり単に学年が同じ人たちのことでした。

辞書を見ると、広辞苑は2018年に出た7版で、「同級」の項目の中に「同級生」を新たに項立てし、「同じ学級の生徒。また、学年が同じ人」と説明しています。「同級」だけなら「同じクラス」を指しがちですが、「同級生」はそれを踏み越えて使われていることに目配りしたようです。皆さんはどうお使いでしょうか。

(2020年06月04日)

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