柿について「オレンジ色」という他の果物の色で表現するのはどうか。「おかしい」とする人が4分の1を占めた一方、過半数の人が「違和感はあるが、許容範囲」としました。色の名前は物に由来するものが多く、表現に悩む場合もあります。

色を表現する言い回しについて伺いました。

過半数が「違和感あるが、許容範囲」

「オレンジ色の干し柿のカーテン」――この表現、どう感じますか?
問題ない 18.6%
違和感はあるが、許容範囲 56.1%
おかしい 25.3%

 

柿という果物を加工する場面で、オレンジ色という別の果物に由来する色名を使うことをどう感じるか。「おかしい」という人は4分の1程度と一定の数を占めており、新聞にこうした表現が出た場合にご意見をいただくのも無理のないことと考えられます。最多は「違和感はあるが、許容範囲」で、過半数の人がこちらを選びました。色を言葉で伝えるということには難しい面もあり、やむを得ないと判断する人が多いというのも理解できます。

色の名前は大半が「物」か「他の色」

色の名前は多くが物に由来するか、他の色の名前を組み合わせたものです。サクラの絵の具「マット水彩12色」の色を見ると、レモンいろ▽きいろ▽ちゃいろ▽おうどいろ▽しゅいろ▽あか▽きみどり▽みどり▽あお▽あいいろ▽くろ▽しろ――とあります。

「レモンいろ、ちゃいろ、おうどいろ」は物に由来する色の名前です。「しゅいろ=朱色」の「朱」は木の切り株の色とも、鉱物の「辰砂(しんしゃ)=丹朱(たんしゅ)」の色ともいいます。「あいいろ」は植物の藍の染料の色を指します。「みどり」は「草木のつややかな新芽やその色をいうのが原義」(「古典基礎語辞典」角川学芸出版)で、やはり物の名前です。「きみどり」は黄と緑の中間色なのでおくとして、残ったのは▽きいろ▽あか▽あお▽くろ▽しろ――の、古くから言うところの「五色」です。

「あか」は「明るい」に通じ、「くろ」は「暗い」ないし「クリ(涅、水の底に澱〈よど〉む黒い土)」(同)に通じるといいますが、「あかい」「くろい」とも基本的な色の表現です。「きいろ」「あお」「しろ」は由来もはっきりとは分からないながら、古くから色の表現に使われています。物の名前に頼らずに色を表現するとしたら、これらの基本的な色の名前まで立ち戻らなければならなくなり、現実的とは言えないようです。

同系統の物で色を表現すること

色を表すのに物の名前が使われるのは仕方のないことだとして、「オレンジ色の干し柿」には「ネズミ色のゾウ」や「桃色の桜」のような居心地の悪さを感じます。やはり、同じカテゴリー(果物、動物、花など)に属する物をくっつけるのは、たとえ色名という修飾語だとしても違和感をもたらします。

「オレンジ色」に近い色を「色の手帖」(小学館)を手がかりに探すと――だいだい色、みかん色、黄赤、柑子(こうじ)色など。柑橘(かんきつ)系の果実の色が多く挙がり、結局「オレンジ色」と同じことに。「黄赤」は一応どんな色かは分かるのですが、見慣れない言い方ですし何だか素っ気ない感じがします。やはり、奇をてらわずに「オレンジ色」とするのがまだしもでしょうか。

物の名前という意識が薄ければ、違和感は消えるのかもしれません。例えば「ピンク」は「ナデシコ科ナデシコ属植物の総称で、(中略)色はセキチクなどの花のような色を言う」(色の手帖)とありますが、「ピンク」といって花のことを考える人は多くないのではないでしょうか。実際、「ピンクの桜」のような表現はさほど違和感なく使われているようです。

書き換え方はケース・バイ・ケース

少し前に原稿の中で見かけた、干し柿作りについての「オレンジ色の実が……」というくだりでは、色の形容をするのは諦めて「鮮やかな色の実が……」としました。写真を説明するような記事だったので、この書き方でも大丈夫だろうという判断からです。実際の書き換え方はケース・バイ・ケースということにならざるを得ないでしょう。

今回のアンケートでは過半数の人が「オレンジ色の干し柿」も「許容範囲」としており、例として挙げたこの書き方が全面的に否定されるものでもないとは言えそうです。ただし、4分の1の人が「おかしい」と感じていることを踏まえると、書き手の工夫が必要であるのも確かでしょう。本当に他の言い方がないのか、よく考えることは欠かせないと考えます。

(2019年01月10日)



質問に際して

「どこがおかしいの?」と思う人もありそうですが、これは以前、実際に毎日新聞の紙面に出たことがあり、読者の方から注意を受けた表現です。「柿の色を、同様に果物である『オレンジ』色と表現するのはおかしいのではないか」というのがその趣旨でした。

「その通り!」とも思うのですが、ではどう表現すればよいかとなると、言葉に詰まります。実は今年も「オレンジ色の実がカーテンのように連なっている」というくだりにぶつかり、直しを入れようとして赤ペンを持つ手が止まりました。「だいだい色」では同じことだし、「黄色と赤の中間色」ではお話になりません。

「柿は『柿色』では?」という声もあるかもしれませんが、柿について「柿色の実」と書いてしまっては噴飯物でしょう。それに柿色は「カキ(柿)の実の色。また、カキの渋の色に似た赤茶色や、弁柄(べんがら)に少し黒を入れた色も言うことがある」(「色の手帖」小学館)と説明され、干し柿にすべく皮をむかれた柿よりは渋い色を指すものです。

色の名前はそもそも、原色以外は物の名前に由来する場合が多いので「オレンジ色」になったとしても仕方がない、という考え方もあるかもしれません。皆さんはどう感じるでしょうか。

(2019年12月19日)

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