「アンケートをとる」が3分の2を占めました。「調査」を意味するフランス語「enquête」からの外来語であることを踏まえて「する」が自然な形という見解がありますが、使用実態は「とる」が「する」を大きく上回っています。

アンケートに関する言い回しについて伺いました。

9割近くが「とる」を使用

皆さんの意見を伺うこと。どの言い方を使いますか?
アンケートをとる 67.3%
アンケート(を)する 11.3%
いずれも使う 21.4%

 

「アンケートをとる」が3分の2を占めました。「いずれも使う」を含めると9割近くの人が「アンケートをとる」を使うということ。現在の主流は「とる」のようです。

「する」が「自然な形」との見解も

文化庁「国語に関する問答集10」(1984年)は「『アンケートをする』か『アンケートをとる』か」という項目で、「アンケート」が「調査」を意味するフランス語「enquête」からの外来語であることを踏まえて、次のように述べています。

「調査」の場合は、「調査をする」「調査を行う」「調査を実施する」などと言う。そこで、「アンケート」の場合も、「アンケートをする」「アンケートを行う」「アンケートを実施する」というのが自然な形と言えるだろう。

今回のアンケートの結果とは食い違う話です。「調査をとる」とは言わないのだから「アンケートをとる」も不自然だろう、という理屈になります。しかし実際には「アンケートをとる」も使われていることについて、「問答集」は以下のように理由を推測しています。

「アンケート」は、回答を求めるための調査の意であるが、回答の方に意味の重点が移ると、「回答をとる」との類推から、「アンケートをとる」と言ってしまうものと思われる。あるいは、更に回答を整理するところまで含めて「統計をとる」などの言い方の影響があるのかもしれない。

なるほど、確かに「統計をとる」と言います。この「とる」は「数値を集めて計算する」(大辞林3版)という意味。アンケートも結果をまとめて集計する点では統計と似ており、それが使い方にも影響を与えているのかもしれません。

使用実態は「とる」が優位に

辞書編集者の神永暁さんは「微妙におかしな日本語」(草思社、2018年)の「アンケートをする/アンケートをとる」の項目で、上記のような議論に触れたうえで「『アンケートをとる』はかなり広まっているが、改まった文章などでは、『アンケートをする(行う・実施する)』を使った方が無難であろう」と結論づけています。

しかし、「実際には『アンケートをとる』という言い方はかなり広まっている。国研〔国語研究所〕のコーパスでも、『アンケートをとる(取る)』の方が、『アンケートをする』よりも2倍近い頻度数になっている」とも述べており、使用実態の逆転を示しています。

今回のアンケートでも、「いずれも使う」を重複して計算すると「とる派」対「する派」は3対1となり、実態としては「とる」の優位が顕著になっています。「アンケートをとる」は比較的新しい言い回しかもしれませんが、現時点ではすっかり定着したと考えてよさそうです。

(2019年03月08日)



質問に際して

毎週皆さんに質問の答えをいただいている立場としてはお恥ずかしい限りですが、「アンケートをとる」「アンケートする」ないし「アンケートをする」でどれを使うのがよいか、きちんと考えたことがありませんでした。

例によって職場の国語辞典を引いてみます。13点に当たったところ、7点は用例がないか、ちょうどよい記述がありません。残り6点のうち「アンケートをとる」という用例を載せていたものが5点。「アンケートをとる」「アンケートした」を両方載せたものが1点。「アンケート」に動名詞として「する」が付くと示しているものが4点。この結果からすると「アンケートをとる」「アンケート(を)する」のどちらも良さそうに思えます。

「アンケート」はフランス語で「調査」を意味する「enquête」に由来します。日本語で「調査をする」などと言うように、アンケートの場合も「アンケートをする」の方が、「アンケートをとる」よりも本来は自然なはずです。しかし「アンケートをとる」は既に広く行われている書き方なので、辞書もとがめないのでしょう。過去の当ブログの記事を見ると、出題者も「アンケートを取る」と書いていることが多いのですが、現在では許容されると考えてもよいでしょうか。

(2019年02月18日)

フォローすると最新情報が届きます

Twitter