「素敵」表記が6割を超えました。「すてき」は4分の1強。語源がはっきりせず漢字との関係も明確ではありませんが、「素敵」が一般には主流のようです。また選択肢になかった「ステキ」も一定の支持がありそうでした。

「すてき」という言葉の表記について伺いました。

スポンサーリンク

「素敵」が6割を占める

「すてき」を「素敵」と書くのは当て字だといいます――でも、どう書きますか?
すてき 26.8%
素敵 60.5%
素的 4.4%
素適 8.4%

 

「素敵」強し。当て字であると質問でまず断ったにもかかわらず、「素敵」が6割を占めました。ひらがな書きが4分の1強、その他は1割にも届かず。「素敵」の表記を認めた他社の方針も、ゆえなきにあらずと言えそうです。

「素」の字も根拠は曖昧だが

回答から見られる解説で、日本国語大辞典(2版)の「すてき」の語源説、「『すばらしい』の『す』に『てき(的)』のついたものという。『素敵』はあて字」というくだりに触れました。しかし日国では触れていませんが「素晴らしい」の文字遣いも由来ははっきりしないようです。

ジャパンナレッジの神永暁さんのコラム「日本語、どうでしょう?」から、「『すばらしい』はいい意味ではなかった!?」を見ると

「すばらしい」の語源は、小さくなる、狭くなるという意味の動詞「すばる(窄)」からだという説がある。「すばる」には「すぼる」という語形もあり、その形容詞形「すぼし」は古くから、みすぼらしい、肩身が狭いという意味で使われていた。

とあります。なんと「素晴らしい」は「みすぼらしい」の類縁語という説もあるとのこと。とすれば「素晴らしい」と書くこともあくまで慣用に基づくものであって、「すてき」が「すばらしい」+「的」という成り立ちの語だとしても、「素」を使うこと自体の根拠が崩れそうです。

現状は「素敵」が優位

しかし文化庁の「言葉に関する問答集12」(1986年)の「『すてき』か『素敵』か『素的』か」を見ると「明治以降の文学作品には、『すてき』『素的』『素敵』三様の表記例が見られるが、その中では『素敵』が最も多いようである」と言います。

「現代日本語書き言葉均衡コーパス 少納言」で、すてき▽素敵▽素的▽素適の四つをそれぞれ検索してみると、すてき=752件▽素敵=2553▽素的=27▽素適=8――と、「素敵」が際立って多くヒットします。特にインターネット上で多く、「少納言」が対象としている「Yahoo!知恵袋」「Yahoo!ブログ」では、「すてき」78件に対し「素敵」が1598件と圧倒的です。

「問答集」は「この語〔すてき〕の語源が明らかでないことから考えると、『すてき』と仮名書きにするのが最も無難であろう」と言いつつ、「特に『素敵』のほうは、現在でもかなり見かける表記であるように思われる」としています。その傾向はむしろ拍車が掛かっていて、一般の使用実態としては「素敵」が主流になっているようです。

「当て字」だが十分に定着か

回答からの解説では、毎日新聞では「甚だしい当て字」については使用を控えている旨を記しました。しかしこれは、当て字を全く認めないということではなく、「無駄」や「乙女」は使いますし、「可愛い」(「顔映ゆい」から変化した語)も当て字ですが使用します。要はどれだけ定着したかということなのですが、アンケートの結果から見ても、「素敵」は当て字としても確かに定着度の高い語だと考えられます。

ところで選択肢に「ステキ」がない、とツイッターで指摘をいただきました。これは毎日新聞用語集をもとにして項目を考えたため。実は上述の「少納言」では、「ステキ」が「すてき」に迫る数字(519件)になっており、ことネット上では277件と「すてき」を上回っていました。「ステキ」も選択肢にあれば「素敵」の優位も揺らいだかも? しかし新聞には、「ステキ」の表記が似合う記事はあまり出てこないだろうと思われます。これもツイッターで言及のあった「とんでも戦士ムテキング」の主題歌では、確かに「ステキ ステキ」と連呼していたと記憶しますが……。

(2019年02月08日)

質問に際して

日本国語大辞典(2版)は「すてき【素敵・素的】」の項目の冒頭で「『すばらしい』の『す』に『てき(的)』のついたものという。『素敵』はあて字」としています。「素晴らしい的」の略だとすれば「素的」がよい? しかし項目中の「語誌」では「スバラシイとの関係は明確でない」ともしており、「素的」が無条件によいということでもないようです。毎日新聞用語集の「すてき」の項目は「(素敵、素的、素適)→すてき」としています。用語集では「甚だしい当て字に類する語は仮名書きにする」というルールがあり、例えば「無茶→むちゃ」「野暮→やぼ」のようなものが当てはまります。

「当て字」とは「漢字の持つ本来の意味にかかわらず、音や訓を借りて当てはめる表記」(広辞苑7版)。「無茶」でいえば「茶が無い」ということではありませんから当て字です。「素敵」も漢字の意味が明確でなく、当て字と言えます。

しかし最近、他社の用語集で「素敵」の表記を認めたと、毎日新聞の用語担当者から報告がありました。えーっ、と思わなくもないのですが、毎日新聞でも漢字表記を制限しているのは「甚だしい当て字」です。「無駄」のような語については当て字でも漢字の使用を認めているので、十分に歴史があって定着したと考えられれば、当て字の使用も排除されるわけではありません。

「すてき」という言葉のすてきさは表記が違っても変わらないとは思いますが、どう表記するのがしっくりくるでしょうか。

(2019年01月21日)

スポンサーリンク

twitter