「半端ない」に違和感のある方は6割でした。ただ2011年度の文化庁世論調査では10代後半の7割近くが使うと答え、20代では47%。今回の許容派も4割で、逆転は時間の問題かもしれません。

「半端ない」という言葉についてどう感じるか伺いました。

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「半端ない」に違和感は6割。でも逆転は時間の問題?

程度が甚だしいという意味の「半端ない」。違和感はありますか?
違和感はない 39.5%
「半端ではない」とすればよい 27.8%
「ものすごい」などと言い換えたい 32.6%

 

今回の選択肢の中では意見が分かれましたが、「半端ない」に違和感のある方は6割。まだ多数派でした。

回答の際の解説で触れた松尾貴史さんのコラムでは、「『半端ない』では、『適切ない』気がするのだ」と書かれています。この例のように、「半端だ」「適切だ」といった形容動詞を否定形にした「半端ではない」「適切ではない」から、さらに「では」を抜いて「半端ない」「適切ない」のような形容詞に変身させることにはやはり無理があるようです。「尋常(では)ない」「有能(では)ない」などもそうでしょう。「仕方ない」「たわいない」「造作ない」などのまっとうな(?)形容詞は、「仕方(=方法)がない」「たわい(=思慮・分別)もない」「造作(=手間・面倒)もない」など、<名詞+助詞+ない>という構造から助詞がなくなった形です。理屈としては「半端ない」はおかしな言葉と言わざるを得ません。一般的な言葉として新聞で使うのは避けるべきでしょう。

ただ新聞の難しいところは、模範的な日本語で書かなければならないけれども、流行のフレーズを取り入れるといった工夫も求められること。プロ野球・広島カープの緒方孝市監督の発言から2016年の流行語大賞になった「神ってる」についても、同年の記事にしばしば登場し、その度に「神ってる(神がかっている)」のように説明を付けるなど記者も苦労していました。今回も「半端ない(半端ではない)」と少々間の抜けた注釈をつけることもあるのだろうか、などと考えていましたが、アンケートでは「半端ではない」でも不十分で、「『ものすごい』などと言い換えたい」とする方が3割を超えました。言葉を補うにしても再考の必要がありそうです。

文化庁の2011年度「国語に関する世論調査」では、2割の人が半端ではないことを「半端ない」と言う、との結果でした。16~19歳に限れば7割近くが使用し、20代で47%、30代で35%と年代が上がるごとに下がっていきました。この傾向からすると、「半端ない」を許容する人は今後も増えていくと予想されます。今回のアンケートでは、自分が使うかどうかはともかく許容派が4割。逆転は時間の問題かもしれません。

ちなみに新語・俗語が充実している三省堂国語辞典(7版)には、さすがというべきか、「半端ない」の省略形「パねえ」まで記されていました。ハンパではない→ハンパない→ハンパねえ→パねえ、という流れでしょうが、ここまでくると「半端ない」が可愛く見えてしまいます。

(2018年09月07日)

質問に際して

サッカー日本代表の大迫選手の活躍から流行語になった「〇〇半端ない」というフレーズ。この「半端ない」は以前から議論になっていた言葉です。

松尾貴史さんは2012年に毎日新聞のコラムで「ハンパない」という表現への「違和感は半端ではない」と書いていました。やはり若者言葉・俗語であり、新聞でこの表現を使うことは普通なく、芸能記事やコラム、話し言葉の引用などに限られます。

少し前までは、話し言葉で「半端ない」が原稿に登場したときに、「せめて『半端ではない』ぐらいにしようか」などとささやかに抵抗する同僚もいましたが、今の「半端ない」ブームではそれもためらわれます。しかし逆にこの表現になじめない人もいるのではないでしょうか。

(2018年09月07日)

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