「赤坂自民亭」についての毎日新聞記事で、文中「飲み会」、見出しは「宴会」、写真説明は「懇親会」と分かれたことがきっかけで、「飲み会」は用語としてどうか、議論になりました。

「数十人が集まり酒食などで楽しむ会」を表す言葉について伺いました。

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「宴会」が7割強。「飲み会」は多くの辞書が近年まで採録せず

数十人が集まり酒食などで楽しむ会をなんと言いますか?
宴会 72.2%
懇親会 15%
飲み会 12.8%

 

「宴会」が最も支持を集めました。

物議を醸した豪雨警戒中の会合「赤坂自民亭」についての毎日新聞記事で、文中「飲み会」、紙面の見出しは「宴会」、写真説明は「懇親会」と分かれたことがありました。別の記事では「飲み会」の見出しになっていました。これについて社内で「日常会話ではよく使う『飲み会』だが、新聞記事であまり目にした記憶がないので気になった。新明解国語辞典に載っていなかった」という指摘がありました。

そこで職場にある辞書の「飲み会」の採用状況と語釈を調べてみました(古い版がなく初めて載ったのが第何版か不明のものは「既にある」と表記)。

広辞苑…何人かの者が酒をくみかわして楽しむ会。2008年第6版で採用。

大辞林…酒を飲むための集まり。酒宴。2006年第3版で採用。

大辞泉…仲間が集まって酒を飲む会。2012年第2版で採用。

三省堂国語辞典…酒を飲んで楽しむ、小人数の会。1992年第4版に既にある。2001年第5版で(小人数の)会とカッコつきに。

明鏡国語辞典…酒を飲んで楽しむための会。2010年第2版で採用。

新選国語辞典…酒を飲みながら懇談して楽しむ会。2002年第8版に既にある。

日本国語大辞典…酒をくみかわして楽しむ、少人数の会合。2001年第2版で採用。

新しい言葉を積極的に採用する三省堂国語辞典が早くから載せていますが、その他は21世紀に入って採録した辞書が多いようです。

しかし、広辞苑に泉鏡花の例、日本国語大辞典に1939年の岩倉政治の用例があり、戦前からあった言葉ということは明らかです。ただ、辞典編集者の目に留まらなかったか、留まっても辞書には必要ないと判断されたかは分かりませんが、載せない辞書が比較的最近まで多かったのです。

毎日新聞校閲グループの最古参に聞くと「若い頃は『飲み会』なんて使わなかったな」。とすると、言葉としては昔からあったけれど、一般的に使われだしたのは比較的最近なのかもしれません。いずれにせよ今では一般的になった言葉と思われます。

だから新聞に使うこと自体は不適切とはいえないでしょう。ただし問題の赤坂自民亭を説明する語としてはどうか。報道によると数十人が集ったといいます。三省堂国語辞典がカッコつきとはいえ「小人数」、日本国語大辞典も「少人数」と書いていることからすると、数十人というのは単なる飲み会というにはややイメージが違う気がします。

書き手の側では「飲み会の方が実態を表している。むしろ、宴会の方が災害とからめて批判的なトーンに感じる」という、ニュートラルな立場から「飲み会」支持の意見がありました。しかし、ツイッターでは「飲み会はオトモダチ感がある。新聞でそれを目にしたら、あえて違和感を狙ってますね、とうがった見方をするかも」という投稿もありました。書き手の意識とは受け取り方が異なる例といえるかもしれません。

(2018年08月14日)

質問に際して

ことのきっかけは「赤坂自民亭」。豪雨への警戒が呼びかけられていた晩に、東京・赤坂の議員宿舎で行われた自民党議員の会合です。集まりの様子をツイッターに投稿した議員が反省の意を表した、という記事中の「『赤坂自民亭』と称する飲み会」というくだりに社内から疑問符が付きました。「飲み会」は日常的に使う言葉ではあるが、文章語として問題のない言葉なのか、と。

広辞苑で採録されたのは第6版(2008年)が初めてですが、用例には泉鏡花晩年の作品「薄紅梅」から、「宴会」に「のみかい」という読みがなを付けたくだりが引かれていました。同作が書かれた1939年には既に、酒を飲む集いという意味で「飲み会」が使われていたと分かります。

とはいえ古い用例はあまり見つかりません。あくまで口頭語だったのかとも推測されますが、今ではすっかり市民権を得たのではないかとも思われます。「赤坂自民亭」のような集まりに一番しっくりくる言葉はどんなものか、皆さんのご意見はいかがでしょうか。

(2018年08月14日)

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