長らく「四〇歳の異称」(広辞苑7版)とされてきた「初老」は、三省堂国語辞典7版が「おもに六十代」としている通り60代という回答が最多でしたが、40代と50代も合計で半数以上を占めました。

「初老」のイメージについて伺いました。

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「初老」は60代が最多でも40代と50代合わせ半分超

「初老」というとどれぐらいをイメージしますか?
40代 25.5%
50代 30.8%
60代 38.8%
70代 4.8%

 

回答は40代、50代、60代と少しずつ増え、70代は少数派という結果になりました。出題時の解説で紹介した三省堂国語辞典(7版)が「おもに六十代」としている通り、60代という回答が最多でしたが、40代と50代を合計すると半数以上を占めました。

NHK放送文化研究所が2010年にウェブ上で行った同様のアンケート(→こちら)では平均57歳という結果で、57%の方が60代(「60歳から」と「65歳から」の合計)と回答していました。対して40代は10%、50代は26%。これだけを見ればむしろ8年前よりも今回の結果の方が「初老」の年齢意識は下がっており、単純に上昇し続けるわけではないのかもしれません。

同辞典の「初老」の語釈では「老年に近づいてからだがおとろえかける時期」ともあります。健康寿命こそが大事だと叫ばれ、若々しさや健康を求める傾向が強くなった現代において、逆に自分の体の状態を厳しく判定し、以前の自分と比較して衰えたなあと感じてしまうことによって40代や50代でも初老だと考える方も増えているのでは……などと、もうすぐ40代の出題者は考えてしまいました。

一方で昨年には日本老年学会などのワーキンググループが、高齢者の定義を65歳以上から75歳以上に変えるべきだという提言を出しました(→こちら)。

ツイッターのコメントでは、現在の医療制度では65~74歳が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者とされていることから初老は60代では、と推定した方もいましたので、今後制度として高齢者年齢の定義が引き上げられることによって初老と考えられる年齢も上がる、ということもあり得ます。

余談ですが、太宰治の未完の小説「グッド・バイ」の冒頭には、主人公の田島と歩きながら話す「初老の不良文士」が出てきます。34歳の田島は彼より「ずっと若い」と表現されているので、書かれた1948年当時でも「初老」が40歳ということはなかったでしょうが、現代の人が読んだら当時よりこの2人の年齢が離れているように思い浮かべるかもしれません。言葉の持つイメージが変化することによって、文章の受け取られ方も変わっていく一例でしょう。

(2018年05月29日)

質問に際して

3月に、縄文時代の40代女性の顔が復元され話題となりました。それに関する原稿で、女性は「当時としては初老に当たる」という表現が。しかし縄文時代にそれほど長く生きる人が珍しかったことを考えれば、「老境に入りかけた年ごろ」(広辞苑7版)との意味からしてふさわしくありません。結局「当時としては高齢」という表現になりました。

「初老」は長らく「四〇歳の異称」(同)として使われてきました。縄文時代から数千年後、平均寿命は延び続けているのはご存じの通り。三省堂国語辞典6版(2008年)は初老を「おもに五十代」とし、さらに7版(2014年)では「おもに六十代」と遅らせました。

原稿の筆者は「現代では、40代はまだ初老ではない」という意識で「当時としては」と書いたのでしょう。ここまでは多くの人に共通の考えだと予想しますが、「人生100年時代」などと言われる今ではどこまで上がるでしょうか。

(2018年05月10日)

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