「改竄(かいざん)」の表記でなじむのは、という問いは、交ぜ書きが4割でルビ付きと均衡しました。何かと評判の悪い交ぜ書きですが、「改ざん」に関しては読みにくさはあまり感じられないようです。

「改ざん」という言葉の表記について伺いました。

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「改ざん」交ぜ書きが4割 ルビ付きと均衡

書類などを書き換えてしまう意味の「かいざん」。どの書き方がなじみますか?
改竄 15.9%
改竄(「かいざん」とルビ付き) 42.1%
改ざん 41.2%
かいざん 0.9%

 

漢語の一部をかな書きにする「交ぜ書き」が4割強、読みがな(ルビ)付きを含め漢字表記が6割弱という結果になりました。ただし、ルビなしで多くの人が「竄」を読めるかには疑問もあり、ルビ付きと交ぜ書きが4割強で均衡したと見るべきかもしれません。

「かいざん」については、日本新聞協会の用語集が「変造、改変、改ざん」という言い換え・交ぜ書き表記の例を載せており、新聞・通信各社の用語集もそれに従っています。(産経新聞社だけは交ぜ書きを使わずに「改竄(かいざん)」というルビ付きの表記を載せています)

何かと評判の悪い交ぜ書きですが、以前よりは随分減りました。2010年に常用漢字表が改定され、メディアで使用できる漢字が増えたことも大きな要因です。しかし「竄」は常用漢字に採用されず。入らなかった理由としては▽現在では「改竄」以外での使用例がほとんど無い▽文字の成分である「鼠」(ソ、ねずみ)も常用漢字に入っていない――といったものが考えられます。結果的に「改ざん」は、今も生き延びている交ぜ書き語の一つとなりました。

交ぜ書きにすると著しく読みにくい語はルビを使用することが多いのですが、「改ざん」に関しては「改ざんが発覚」「公文書を改ざんする」などの使用例において、読みにくさはあまり感じられないのではないでしょうか。ルビを入れるのは技術的には容易になりましたが、新聞の文字自体を大きくする傾向が続くなか、小さい文字を進んで使いたくはないという事情もあります。

穏当な手段は協会の用語集が挙げているように「変造、改変」といった言い換えを使うことではないかと思います。ただ、近ごろ話題の森友学園がらみの問題では、財務省が政府に都合よく決裁文書を書き換えていたため、「かいざん」の持つ「多く不当に改める場合に用いられる」(広辞苑7版)という含意を生かす必要があり、他の語を使う可能性は閉ざされることになりました。

アンケートで、交ぜ書きの方がなじむという人が多ければ少々ほっとしたかもしれませんが、結果はある程度予想した通りでした。必要な漢字はルビ付きでも使うべきだ、文字の必要性は常用漢字という枠に縛られるべきではない、というのは一つの立場として理解できます。また、現在の傾向が続くならば交ぜ書きは減ってゆき、「改ざん」もルビ付きで漢字表記になる可能性はあります。

ただし、それはあくまで紙の新聞を想定した場合。横書き主体で小さい文字がつぶれやすいデジタル端末で読みがなをどうするかは、いまだに試行錯誤が続いています。読みやすさを追求するなら、安易に「ルビ付き」を答えとするわけにもいきません。また交ぜ書きが駄目だからといって全て言い換えにしてしまうと、それによって消える言葉が出てくることにもなるでしょう。当面は交ぜ書きも、手段の一つとして残しておくことが必要だろうと考えます。

(2018年05月11日)

質問に際して

学校法人「森友学園」の問題に絡んで、財務省の公文書改ざんが発覚。政府を揺るがすスキャンダルになっていますが、ここでは言葉の表記について。漢語の中の一部をかな書きにすること、いわゆる「交ぜ書き」は新聞においてもだいぶ減ってきているのですが、例外的に使用されているものがいくつかあります。現在の毎日新聞用語集でも、50あまりの語については交ぜ書きも使えると決めています。漢字制限の産物として、またマスメディアによる日本語の改悪例として、交ぜ書きは評判が良くないのですが、活版印刷時代には活字を管理しやすくすると同時に、読み仮名(ルビ)を振る煩雑さを避けるという点で、交ぜ書きにも合理性があったと考えます。1990年代ごろからコンピューター製版が当たり前になり、また新聞の文字が大きくなるにつれてルビも読みやすくなったため、交ぜ書きは必然的に減りつつあります。それでも「竄」の字は日常的になじみのない文字なので、交ぜ書きにしてもさほど違和感はないと思うのですが、いかがでしょうか。

(2018年04月23日)

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