「校閲の一番の勉強は、他人のゲラをみること」と言われます。どういう点に気をつけ、何をどう指摘するか。ベテラン校閲者が実際に読み、直しや疑問を書き込んだ“答え”をお見せします。そこには、学びのエッセンスが詰まっています。

まず自分でやってみたい方へ

“答え”を見る前に、まず自分でやってみたいという方は、書き込みが入っていないこちらをご利用ください。実際にあった原稿を基にしたダミーです。行頭の句読点など禁則処理は考慮不要です。(クリックで拡大します)

 

 

校閲記者による「答え」

ベテラン校閲者が書き込んだ“答え”はこちら。指摘は11種類あります。(クリックで拡大します)

 

 

指摘の説明
矢先:「物事が始まろうとするちょうどその時」に用いる(毎日新聞用語集)ので、「解除された矢先」のように過去のことについていうのは本来の使い方ではない。言い換えを検討してもらう。「緊急事態宣言が解除されたばかりだが~」「緊急事態宣言は解除されたが~」といった形が候補。

146→164?:インターネット上で厚生労働省の発表資料を探し、「都道府県別の変異株(ゲノム解析)確認数について」というページを発見。その中の当該日のデータを探し(→こちら)原稿の数字と突き合わせる。「164」を「146」と打ち間違えた可能性が高いため筆者に確認する。

変異株:生物学的に「新型コロナウイルス」という種と別物になったわけではないので、「変異種」と書くと誤解を招く恐れがある。他の箇所で使われている「変異株」にそろえる。

(ふるい分け):見慣れない用語にカッコ書きで説明を付けるのは読者に親切でよいことだが、せっかくなら初出の箇所につけたい。

約6割程度:「約」と意味が重複するので「程度」は不要。「およそ1万人ほど」といった表現も重複表現なので避ける。

3日4日:日付の数字が正しいかに気を取られると、単位などの誤りを見落としやすいので注意。

ポイント:「%」の数値同士を比較するときに「%」を使うと、たとえば「50%から10%アップしたら60%? それとも55%?」と読者を迷わせてしまうので、基本的には「ポイント」で比較している。

上昇。:一文が長すぎると読む方が大変なので、適宜切って短くする。毎日新聞用語集では、一つの文は原則「5行以内を目安とする」としている(新聞の1行は主に12字)。

アドバイザリーボート:「会議」などを意味するboardなので「ボード」が適切。新聞の過去記事でも「アドバイザリーボード」であることを確認して直す。寝床の「ベッド」が「ベット」(賭ける)になったり、イラクの首都が「バグダット」になってしまったり、濁点の欠落は多い。

脇田隆宇:読み方が難しい固有名詞、珍しい固有名詞では、似た字と取り違えて入力してしまうこともある。厚生労働省が発表しているアドバイザリーボードの議事概要(→こちら)を参照して、誤っているのではないかと筆者に確認する。

同志:毎日新聞用語集によると「同士」は同じ種類、仲間であることを示し、「同志」は「志を同じくする者」の意味。文脈上「子ども同士」が適切。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

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