大阪で開いた「日本語力を磨く 校閲講座」。さまざまな方にご参加いただき、校閲の技術は社会のあらゆる場面で必要とされているということが分かりました。一字一句逃さない校閲の読み方や、適切な言葉を選ぶ校閲的な視点を学ぶ。この講座は4月も行います。

講師プロフィル
沢村斉美(さわむら・まさみ) 2007年毎日新聞社に校閲記者として入社。現在、校閲センター大阪グループ副部長。学生時代から短歌に親しみ、「塔」編集委員を務める。06年角川短歌賞、08年歌集「夏鴉」で現代短歌新人賞・現代歌人集会賞受賞。13年の歌集「galley」は校閲記者の仕事を題材にした作品も多い。朝日新聞の「天声人語」(16年10月5日)で“校閲歌人”として紹介された。

 

 大阪の毎日文化センター(毎文)で2月8日、校閲の一日講座を行いました。題して「日本語力を磨く 校閲講座」。寒い日でしたが教室は約60人で満員。静かな熱気が満ちるなか、参加の皆さんには校閲を体験していただき、言葉について一緒に考える1時間半となりました。

 

 

 毎文からの提案で動きだしたこの企画。私は講師を引き受けたものの「はたして需要はあるのか」と半信半疑で準備を始めました。毎文からの注文はシンプルなもので「楽しく学べる、役に立つ内容」の一点です。受講の動機がおそらくさまざまな参加者が、校閲を楽しく学び、しかもその後に生かせるようにするにはどうしたらよいか。考えた結果、講座の目標を次の2点に絞りました。

 

①校閲の読み方を学ぶ
一字一句逃さないように線を引きながら読む。ローラー作戦のような読み方を体験する。

②言葉についての校閲的な視点を学ぶ
適切な言葉を選ぶとはどういうことか実例に即して考え、校閲的な視点を持つ。

 

 ①については、わざと誤りを盛り込んだフェイクのゲラ刷りを一人一人に配布し、実際に校閲にチャレンジしていただきました。誤りは12カ所。答え合わせをしながら、校閲独特の読み方や、見逃しやすいポイント、発生しやすい誤りなどについて解説しました。

 

 

 ②についてはまず、ニュース写真とそれについてのキャプション(説明)を複数例提示しました。例のなかには使い方に迷う言葉が盛り込んであります。どれが適切だと思うか皆さんに手を挙げていただき、言葉の意味を確認するという参加型クイズのようなコーナーです。さらに、短い原稿例をいくつか読んでもらいました。いずれにも校閲としては引っかかる一語が盛り込まれています。どうして引っかかるのか、どのようにすればより良くなるのかというお話をしました。

 

 

 うなずきながら聞く方、熱心にメモをとる方、「これどう思われますか」と問いかけると即座に声を上げて答えてくれる方など皆さんの反応が良く、熱く楽しい雰囲気の1時間半となりました。質疑応答の時間がなくなってしまったため「講座後に質問を受け付けます」と言ったところ、20人ほども行列が!

 ありがたいことです。一人一人にお答えしました。この質問タイムでの交流が私にとってもたいへん勉強になりました。分かったのは、社会のあらゆる場面で校閲の技術が必要とされているということです。翻訳の仕事、小説の執筆など文筆に関わる方はもちろん、管理職で文書のチェックをしなければならないという方、介護の報告書をまとめる仕事をされている方、所属する団体のために生まれて初めて機関紙を作り始めたという方もありました。また、ウェブの記事の編集・校閲をされている方、広告の校正者、フリーの校正者もいらっしゃり、同じ校閲者として悩みを分かち合いました。校閲に興味を持っているという高校生が参加してくれたこともうれしかったです。

 

 

 生活のあらゆる場面、社会のあらゆる場面で校閲の技術と視点が必要とされているのであれば、さらに何かお役に立てることはないかと思案しているところです。

 4月にも今回と同じ名称の講座を行います。内容の骨格は同じですが、新聞校閲体験で使うフェイク紙面や原稿例は大きく変えていきたいと思います。ぜひご参加ください。

【沢村斉美】

日本語力を磨く 校閲講座

次回は大阪の毎日文化センターで4月26日(日)の10:30~12:00。受講料は2860円です。

2月の参加者は、「文を書くことに興味がある、趣味としているから」が8割、「文章関連の仕事をしている」方が2割。「短歌に興味がある」という人もいらっしゃいました。

文章を書くことを趣味としている一般の方々にもおすすめします。

フォローすると最新情報が届きます

Twitter